泉晴紀(作画)&久住昌之(原作)の2人ユニットのデビュー作『夜行』含む「ガロ」「宝島」に掲載した作品を収録した初期短編集。
マイナーすぎてAmazonに書籍の内容紹介が無いという悲しい事実の「かっこいいスキヤキ」英名?は「GROOVY SUKIYAKI」です。きゃーかっこいい。
ちなみにAmazonのカスタマーレビューの中に、イカしたレビューがあったので勝手転載。
絵は下手だし登場人物は自意識過剰だし、下品でナンセンス。読んでも読んでも終わりが見えない。孤独のグルメと並び評するなんておこがましいこと甚だしい。
(amazonカスタマーレビューより)
上記のレビューが、もっともこの本の内容紹介に相応しいような気がしてなりませぬ。
「絵は下手だし登場人物は自意識過剰だし、下品でナンセンス。」だって、この言葉が「かっこいいスキヤキ」の最大の賛辞なんですもの。
泉昌之というユニット名よりも、最近では久住昌之さん単体の方を知っている人の方が多いかもしれません。「孤独のグルメ」という漫画の原作者です。ドラマにもなりました。
この「かっこいいスキヤキ」は「孤独のグルメ」という川の源流とも言える本です。
大きな川もね、源流を辿ってみれば、しょぼくって、しょーもない湧き水なんですよw
やっぱり男はキンピラゴボウよ!
デビュー作「夜行」は、トレンチコートのハードボイルド男(本郷さん)が一人夜汽車で駅弁を食べる、ただそれだけの漫画。
「孤独のグルメ」をご覧になった方にはご想像の通り『パーフェクトな駅弁の食べかた』についてねっちり、こってりと描いています。
ご飯とオカズとのバランス、醤油をかけるのはサバかカマボコか、梅干を食べるタイミング…駅弁ひとつ食べるにも、コダワリとダンドリが必要です。
トレンチコート男(本郷さん)の駅弁ミッションは、ただひとつ鎮座ましますヒレカツを最大級に満喫して味わうために、いかに他のオカズとメシを制して行くか。
めしは少しずつ
そうやって
ハングリーな喰い方をくり返し メシとカツとの感動的ともいえる
出逢いの下地を作っておくのだ
そんな彼が駅弁制覇のフィニッシュでまさかのどんでん返しを受け、ボックスシートで一人涙する男を乗せて走る夜汽車よ、哀れなり。
ところで、現在発売されている「かっこいいスキヤキ」は復刻文庫版なのですが、この文庫バージョンでは単行本に収録されている作品のうちいくつかが削除されているらしいです。
削除されたのはいずれも「ウ○トラマン」が登場する作品でして、どうやら円○プロから物言いが入ったらしいです。
まあ、そりゃあねえ。○谷英二さんも墓から這い出てくるでしょう、ウルト○マンがワイルドな脱皮バージョンで地球に降り立って、巨大な下着姿のオッサンが「シュワッチ」していたら。
ちなみに、昨日のブログ「地下街の雨」でちょっと触れた「狂った肛門」もこの本に収録されています。
「狂った肛門」は、オナラが止まらなくなった男が肛門への復讐のために激辛メニューを食べて、怒った肛門が男を肛門に巻きこんで喰らう話。
途中で出てくる『靴下をクルクルとドーナツにする』ヒトコマが、肛門の復讐方法の説明なんだけど異様におかしい。
未だに靴下がドーナツになる度に「狂った肛門」を思い出す私ですよ。こんな思い出いらないけどw
「絵は下手だし登場人物は自意識過剰だし、下品でナンセンス。」
やっぱりこの言葉が「かっこいいスキヤキ」の最大の賛辞だよなあ。