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ジーン・ウェブスター「続あしながおじさん」

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“あしながおじさん”と結婚したジュディ(ジルーシャ)は、夫からクリスマスに、彼女が育ったジョン・グリア孤児院を理想的に改造するための莫大な資金を贈られる。彼女は大学時代の親友で、なに不自由ない家庭で育った若くて美しいサリーに、院長になってくれるように依頼した。新任院長として赴任したサリーは、毎日の出来事をジュディに書き送るが……。笑いと涙の名作。
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きゃー!(ズダダダダダ)

きゃー!きゃー!きゃー!(ドドドドド)

ロッ、ロッ、ロマンチックが止まらない!(song by C-C-B!)

「あしながおじさん」のようなエロい話を児童文学のカテゴリに入れて良いものかと悩みましたが、続編はアレですよ。本編どころの騒ぎじゃないエロさですよ。

昼メロのごとく、世の女性方をメロメロにするエロさ全開。

しかし昨日今日とブログにエロエロ書きすぎて、このブログがアダルトサイトと勘違いされないかがちょっと心配。

とはいえ、「続あしながおじさん」は本編よりもさらにロマンス要素がパワーアップしている点には間違いがありません。

登場人物の年齢も、今回の主人公サリーは20代後半、お相手役“敵さま”は30代終わりのアラフォーと、とってもオ・ト・ナ。

なおかつ、主人公は本書の途中で別の男と婚約をし、“敵さま”には妻も子もいる身の上。

児童文学でW不倫を扱うなんて、なかなかに豪胆なチョイスじゃないか。

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「続あしながおじさん」は、原題は「Dear Enemy」と言います。だから“敵さま”ね。

今回の主人公は、前作「あしながおじさん」でジュディの友人役として登場した、サリー・マクブライドさん。

大学を卒業してのんびり花嫁修業していましたが、めでたくジャーヴィス・ペンドルトン氏と結婚したジュディの拝命により、孤児院ジョン・グリア・ホームの院長先生をする羽目になってしまいました。

ちょっと小金持ちの家に生まれた、いわゆる普通のお嬢さんがいきなり孤児院経営をまかされ、見るもの聞くこと全てがはじめての環境に戸惑いながらも忙しい日々が手紙に綴られていきます。

あ、ちなみに「続」も前作同様に、サリーが色々な人に書く手紙形式です。手紙の宛先はジュディと、ジュディの夫ペンドルトン氏と、婚約者のゴルドン・ハロック。

そして、孤児院の嘱託医、ドクトル・マックレイ。通称“敵さま”

孤児院の経営方針をめぐり、様々なところでサリーとマックレイ医師が丁々発止のバトルを繰り広げます。

敵対している男女がいつの間にやら…と言ったら、メグ・ライアンの映画「ユー・ガット・メール」的展開のロマンチックコメディを思い浮かべますよね。その認識は正しい。

あれやこれやの難問と、お互いの立場と、勘違いと、角突き合いがあって。

二伸
こんな事を申し上げましてもお許し下さいますわね。実はあなたは私の崇拝するタイプのドクトルではいらっしゃらないのです。私はまるまると肥ったにこにこしたドクトルが好きなのでございます。

うーん、ロマンチックが止まらない。song by C-C-B。

メロメロのロマンスだけでなく「続あしながおじさん」ではサリーの孤児院経営や、それぞれの孤児についても多く描写されています。

作者のジーン・ウェブスター自身が大学で福祉関係を学んでいましたので、この本の中には理想的な孤児院の組織や、子供の成育環境、さらには遺伝子による優生学への意見などが反映されているようです。

あなたは食堂の入り口の上にあった、飾り文字の聖句「神は恵みたもう」を覚えていらっしゃるでしょう、私たちはあれを塗りつぶしてしまって、そのあとに兎を何匹も描きました。
まともに両親や家庭のある普通の子供達にそういう信仰を教えるのは、たやすい事ですが、困り果てて寝るところは公園のベンチに避難所を求めるよりほかない者には、もっと戦闘的な信仰を身につけさせなければなりません。
「神は二本の手と一つの頭と、それを使う広い世界をお与えくださった。それを良く使えば報いをいただける。悪く使えば飢えてしまう」
これがここの信条で、それも条件つきです。

だが、まあ、しかしだな。

そうは言っても「続あしながおじさん」の真髄は、昼メロ的オトナきゅんきゅんの炸裂に有りですよ。

サリーの孤児院経営も少しずつ軌道にのり、仕事が楽しくなってきたところで恋人のゴルドン・ハロックさんからのプロポーズ。

プロポーズを受けてはみたものの、ニューヨークで政治家を志すハロックの妻になったら、これまで通り孤児院の院長を続けることは出来ない。

仕事をとるか家庭をとるか。いまから100年近く前でも、変わらぬ女性の悩みです。

そして“敵さま”マックレイ医師。独身男の一人暮らしとばかり思い込んでいたものが、実は妻子がいる既婚者であったことが判明。

妻は精神を病み、ずっと精神病院に入院していると、マックレイ家の家政婦から知らされました。なおかつ、彼の娘も母親の“精神病の遺伝子”を受け継いでいることも。

自分の悩みとマックレイ医師の秘密に混乱するサリーでしたが、ある夜、急性アルコール中毒になった孤児を夜通し看病した明け方に…。

ドクトルは青ざめやつれて、精根つきた様子をしていらっしゃいました。私はあの方のお顔を見たときに、あの方が他人を救うためにどんなに必至になってお働きになったか、それでいて決してご自分を救おうとなさらないことだの、何の慰めもないあの方の陰気な家庭、あの方の生活の背後にひそんでいる恐ろしい悲劇などの事を思いました。
—(中略)—
すると突然に——どうしてかわかりません——何か電気のようなものが起こったのです。次ぎの瞬間、私たちは抱擁していたのです。

「恋の吊り橋効果」は正しい。

世の片思い中の男女よ!ターゲットと新たな地平に踏み入れたいと願うならば共に夜通し看病するべし!緊張感と疲労が、愛の電流をスパークよ!

「ああ、サリー、あなたは私が鉄でできていると思っているんですか?」

きゃー!(ズダダダダダ)

きゃー!きゃー!きゃー!(ドドドドド)

ロッ、ロッ、ロマンチックが止まらない!(song by C-C-B!)

しかしこんなメロドラマばりの台詞を吐きながらも、二人はその後も『院長』と『嘱託医』の域を出ません。引っ張るなぁもーうw

W不倫の二人が互いの障害をクリアして結ばれるには、もひとつふたつ、事件が起こる必要がありまして。
最たるラストの事件というのが、ジョン・グリア・ホームで起こった火災。

燃えさかるホームに取り残された赤ん坊を救うために、火の中に飛び込んでいった“敵さま”マックレイ医師。

赤ん坊と彼の生命は、秘めた恋の行方は如何に?!

—-と、ロマンチック要素がテンコ盛りのメロメロメロメロメロドラマ。

児童文学じゃあ、ないよねえw

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