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桜木紫乃「ホテルローヤル」

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恋人から投稿ヌード写真撮影に誘われた女性店員、「人格者だが不能」の貧乏寺住職の妻、舅との同居で夫と肌を合わせる時間がない専業主婦、親に家出された女子高生と、妻の浮気に耐える高校教師、働かない十歳年下の夫を持つホテルの清掃係の女性、ホテル経営者も複雑な事情を抱え…。
(「BOOK」データベースより)

2013年 第149回直木賞受賞作品。

えーと、先にひとつご注意申し上げます。

これは短編集なのでいくつかの話に分かれていますが、バラバラに好きなタイトルから読んではいけません。

ぜひとも、最初の1ページ目から掲載順にお読みあそばせ。

さて。小説の舞台はラブホテル。

ラブホテルの主目的から連想されるようなえっちぃさとは相反して、非常に冷静で、乾いた目線の話です。

マジ読んでるだけでお肌が乾く。冬場の乾燥注意報。

「いまワタシすっごく幸せ!」とか言いそうな人は一人も出てこないし、これから先の未来に幸せが待っているような人も一人も出てこない。

ラブホテルという存在自体が、空虚な存在だという事なんでしょうか?生殖を伴わないセックスの空しさを象徴しているから、なの?

一軒のラブホテルが見つめ続けたものはセックスだけじゃない。

人の繋がりの、危うさと、脆さ。

桜木紫乃乾いた筆致が、登場人物と読者の、肌の温もりを奪い取ります。

作者の桜木紫乃は、実家が営業していたラブホテルを一時期手伝っていた時の体験を基にしてこの「ホテルローヤル」を書いたとの事です。

だからなのか、客室清掃の様子が生々しくリアル。そんなに行数もないのに、妙に情景が目に浮かびました。

作者がラブホテルの仕事を手伝いつつ見ていた情景と、2時間ごとに入れ替わる利用客の人となりは、

この小説のホテルと登場人物と同じように映っていたのかしら。

乾いた目線を保っていなければ、快楽を対象にした商売ゆえの湿度に負けてしまうのかもしれませんね。

乾いていても、湿っていても、心の行き場に困るなあ。

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ところで全然話が変わりますが、若かりし頃に上野のカラオケボックスに行ったんですよ。ビル全体がカラオケボックスの、チェーン系ではないカラオケ店。

受付後にエレベーターで利用階に上がったあたりから、なーんか普通のカラオケ店っぽくないなという印象がありまして。

部屋の扉には覗き窓もないし。

部屋番号が書かれたルームキー(長方形のプラスチックのアレですわ)を渡されるし。

廊下はホテルの廊下っぽいし。

カラオケ用なのに部屋には窓があるし。

部屋の壁には額縁の絵が飾ってあるし。

テレビ台の下には小型の冷蔵庫(空)まであるし。

どうも、なにか、違う・・・。

一緒に入った友達が、部屋の中にある扉を開けたら(そもそも何故部屋の中に扉が)

お・ふ・ろ・が~~~!

はい皆さんもうお分かりですね。

そのカラオケボックス店の前身はラブホテル。

ビジネスホテルじゃなくラブホテルだというのは、お風呂の感じでわかったからですw
どういうお風呂だったのかはヒ・ミ・ツw

ラブホテル居ぬき物件を、内装ほとんど変えずにコスト削減。無駄なくエコなニュービジネスを実感したさくらでした。

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