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遠藤功 「現場女子─輝く働き方を手に入れた7つの物語 」

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航空機整備の現場で主任を務める「整備女子」。二輪車のセル生産に取り組む「製造女子」。旭山動物園の人気館に携わった「飼育女子」─男性の現場と考えられていた職場で輝く女性たち。その「女子力」の秘密に迫る。
(「BOOK」データベースより)

男女雇用機会均等法が施行されたのは1986年。

職場における男女の差別を禁止して、採用や昇進、仕事内容などの面で男女を平等に扱うことを定めた法律。

あれからもうすぐ30年。

本当にこの社会、男女均等になったのかな?

私が新卒で入った鉱業関係の会社に「総合職」と呼ばれる女性が入社したのは、確か男女雇用機会均等法の施行後4年ほどたった年。

当時のさくらは、いわゆるフッツーのOLさんでした。

それまでの会社は、男性社員が堂々と『入社するオンナノコは社内の男の嫁候補だから』『たいして仕事しなくて良いからお茶入れて』と言っちゃう旧態依然の固まり。

第一期総合職の彼女達は“会社初の総合職女性!”というモノメズラシサで注目されることが多く、さくら達お茶汲みOL同士は社内食堂で『総合職のヒトってさー』なんて噂とカゲ口の対象にしているばかりでした。

当時の彼女達は、色々と辛かっただろうなあ。

今になってしみじみと、そう思います。

彼女達パイオニアが荒れ野を切り開いていってくれたからこそ、今、女性がちゃんと働ける社会になってきているのだと思います。

まだまだ理想には遠くても、一歩ずつ、前には進んでいる。

この「現場女子─輝く働き方を手に入れた7つの物語」も、彼女達パイオニアの後に続いた女性達の話です。

そして、この本に出てくる女性自身が、パイオニアでもあります。

JALの航空機整備主任、YAMAHAのライン製造職、三菱電機の開発部長etc,etc.

30年前にはおそらく、女性が就くことは出来なかったであろう職種や役職で働いている「現場女子」。

『やりたい!』と思える仕事に就くことができ、充分な成果をあげ、責任とやりがいをもって“楽しく”仕事をしている。

そのチャレンジ精神と、周りを巻き込むパワーと、キラキラと輝く女子力!

女性だから凄いっていうより、純粋に、個人として凄い人達ですよ。

著者の遠藤功さんは「活躍する女性たちに共通するもの」を挙げています。

(1)仕事は「自己表現」の舞台

(2)男女差を感じさせない本気の仕事ぶり

(3)有無を言わさぬ「実績」が男たちを黙らせる

(4)女性ならではの強みを徹底的に活かす

(5)理解ある上司の後押し

特に重要なのは(5)かもなー。いくら有能かつ努力家であっても、チャンスを与えてもらえなければ、活躍しようにも活躍できない。

あ、でも、この本に登場する女性達は、全員が最初からチャンスを与えられてきた訳ではないのです。厚い厚い壁を、それぞれに切り崩していって、自らチャンスをもぎとった人も。
だから、(5)は本当は

(5)理解ある上司に変貌させるコミュニケーション力

なのかもしれませんね。

あとは、仕事をしながらライフイベントもクリアしているところにも注目。

“本気の仕事”と“妊娠→出産→子育て”は、さくら自身の来し方を考えても、両立する事はなかなか難しい。

だけど、全ての人ではないけれど、彼女達はどちらもあきらめない。どっちも諦めたくないから、どっちも手に入れる。

このマルチタスク、ビジネスの最大の武器なんじゃないの?

女って凄いなあ。格好いいなあ。

・・・と、敬意を込めて、登場するパイオニアの女性達に賞賛の声を贈る。

・・・そして、本音を語る。

確かにね、昔に比べて、女性が活躍できる箇所は増えたよ。確かに。

でもまだまだまだまだ足りないのよ!

彼女達は大変な努力をして、男性と同等の仕事を得た。ってことは、男性と同等の仕事をする為には、男性よりもっともっと、何倍も努力をしなければ評価してもらえないってこと。

そもそもその前提、おかしくないっすか?

なおかつ今のオンナは“一億総活躍社会”と労働力を求められながら、“女は産む機械”“女は2人以上出産しろ”とも言われて、出産したらしたで産休・育休の取得のハードルが。

育児休暇をとるはずだったイクメン議員はゲス議員になりかわってしまうし。

仕事に復帰しようと思っても、次に待っているのは保育園の待機児童問題。

なんとか保育園に入園できたとしても、旧態依然の考え方の人間からは三歳児神話を押し付けられ、さらには同世代ママとの間でも『専業主婦VS兼業主婦』のバトルが勃発する可能性だってある。

どうすりゃいいっての?!

女性に選択肢が与えられるようになった、って体で、女性という性に全てが押し付けられているような気がしてならない。

『保育園落ちた日本死ね!!!』のブログでもいうように、なんなんだろうこの八方塞り感。
いっそ、選択肢が与えられていない時代の方が良かったの?

その方がいっそラクだったと、考える人もいるかもしれない。

だからこそ。

女は、働かなくては。

いろいろ辛いこともあるけど、面倒くさいこともあるけれど、それでも、それぞれが道を切り開いていかなくては。

オンナよ、頑張ろう。愚痴りながら叫びながら、前に進もう。

男女雇用機会均等法を作るために尽力した女性達のために。

黎明期に努力したパイオニアのために。

そして、後に続く女性達のために。

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