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スティーヴン・キング「ドクター・スリープ」

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冬季閉鎖中のリゾートホテルの管理人一家を、ホテルに巣食う悪霊たちが襲う。その恐怖と惨劇をおそるべき筆力で描ききった20世紀史に残るホラーの金字塔『シャイニング』。あれから36年、巨匠キングは「その後の物語」を書く。超能力“かがやき”を持つ少年ダニーは、どんな人生を歩んだのか?そして大人になった彼を、宿命は新たなる惨劇へと導くのだ。迫る邪悪と、彼と似た能力を持つ少女の誕生―誰も予想しなかった名作の続編が幕を開ける!
(「BOOK」データベースより)

先日、娘と映画「シャイニング」をアマゾンプライムで観まして。

映画版の「シャイニング」をキング気にいってない話は、過去のブログでもお伝えしたとおり。ハローランさんがねえ…パパもねえ…。

スティーブン・キング「シャイニング」
《景観荘》ホテルはコロラド山中にあり、世界で最も美しいたたずまいをもつリゾート・ホテルのひとつだが、冬季には零下25度の酷寒と積雪に閉ざされ、外界から完全に隔離される。そのホテルに一冬の管理人として住みこんだ、作家とその妻と5歳の少年。が、

で。そのシャイニングの続編をキングが書きまして。それをまた映画にしまして。
続編の監督はもちろんキューブリック御大ではございませんよ。そいで、続編の映画はキング先生えらくお気に入りになられたとのこと。

続編「ドクター・スリープ」の映画は未見なんですけどね。不思議な点がございますですよ。

ほら、原作版「シャイニング」のラストって、あのホテルが爆発してしまったじゃない?大人になったダニーがホテルに舞い戻るって言っても、戻るべきホテルは存在してないでしょう?
また、そもそも、何で戻るねん?

しかし4歳の少年ダニーくんが、その先どんな大人になったのかってのも気になる事実。あのかがやきはまだ持っているのか。それとも失われたのか。どんな人生を歩んで、どんな経緯で“オーバールック・ホテル”に戻る羽目になったのか。

口もとに指先を走らせると、ぽってりと太いソーセージがあるのがわかった。きのうの夕方、ジーンズの前ポケットに五百ドルを少し超える額の現金をおさめた姿で小切手換金屋をあとにしたとき、そこにはまだ唇があった。
《少なくとも、歯は一本残らず無事なのが救い——》
そこまで思ったところで、水っぽい音をたてて胃がでんぐりがえった。ウィスキーの味が混じった酸っぱい粘液が口いっぱいになるほどこみあげてきたが、ダンはそれを飲みくだした。—(中略)—同時に部屋がゆるやかなタンゴを踊りはじめて、体がぐらぐらと揺れた。ふつか酔いで、頭が爆発していて、腹といえば酒を押しこめておくために口にした安い食べ物でいっぱい……

…わー。

4歳の少年ダニーくん、長じてすっげえクズ男になっておりました。
アル中のパパを反面教師にするはずが、自らも超アル中の超クズ男。恐ろしいねDNAって。

とはいえ、それにも理由はあります。理由は割愛。

「ドクター・スリープ」はアル中のクズ男ダニーくんが、こんなこっちゃダメになる(かなりもうダメだけど)とAA(アルコー依存症者団体)に加入し、ホスピスで働き始めて人生立て直し作戦をスタートさせるとことから始まります。

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今回登場するかがやきの持ち主アブラちゃんは、ダニーを遥かに超える輝きっぷり。もー輝きっぱなし。ハロランさん(原作ファンの皆さーん!ハロランさん生きてたよー!)が一般照明だったらダニーくんは女優さんの照明ライト、アブラちゃんは立てこもり事件のときに警察が使う投光器くらいは光ってるんじゃないでしょうか。

そして、その“かがやき”を食料にしている謎のグループ<真結族>が、アブラちゃんに目を付けて……ん?あれ?「ドクター・スリープ」ってホラーじゃなくて、なにこれファンタジー?

そこでローズは取引をもちかけたり懇願したりはせず、下のふたりにむかって挑みかかるように叫びかけた。「くたばりな!ふたりともくたばっちまえ!
少女の恐ろしい笑みがいちだんと大きく広がった。「おあいにくさま。くたばるのはあんたよ」
つづいて響いたのは、材木のきしみではなかった——材木がへし折れるライフルの銃声めいた音だった。つづいて<ローズ・ザ・ハット>が転落していった。

「ドクター・スリープ」の大筋はダニー&アブラと<真結族>の対決をメインとして進んでいきますが、「シャイニング」のおどろおどろしさは全くなく、ジェットコースタームービー的です。21世紀だねえ。

ああちなみに、爆発炎上してしまった“オーバールック・ホテル”は、その後オートキャンプ場に変貌しておりました。なのでダニーくんは正確にはホテルに舞い戻るのではなく、オートキャンプ場でレッツアウトドアすることになります。に、に、21世紀だねえ。

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ダニーくん、改めダンはアブラを救うため、そして過去の自分にケリをつけるために旧オーバールック・ホテル(現オートキャンプ場)に向かい、そこで<真結族>のリーダーと最終対決をし、そして勝利します。

あっネタバレ?ごめんごめん。でもストーリー自体はそんなもんなんだ。
でも、それで物語が全て終わりじゃないのよ。

ダンの戦いも、アブラの戦いも、それで終わったわけではなく。
戦いは一生続くのだと予感されて終わります。

<真結族>との戦いでもなく、ホテルの亡霊との戦いでもなく。
彼らが何と一生戦わなければならないのかってのは、実際に本を読んでお確かめくださいませ。

いやーほんと、一生戦わなければいけないっていうよね、アレ。

小説
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