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近藤史恵「タルト・タタンの夢」

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商店街の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。シェフ三舟の料理は、気取らない、本当のフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。そんな彼が、客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解く。常連の西田さんが体調を崩したわけは?フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか?絶品料理の数々と極上のミステリ。
(「BOOK」データベースより)

昨年の11月に当ブログほんのむしで「マカロンはマカロン」を採りあげた際、読んで初めてシリーズ3作目だということを知ったと申し上げました。

で、早いとこシリーズ前2作を読まなくちゃ、ビストロ・パ・マルのコロナ禍騒動が出版される前に追い付かなくっちゃと思いつつ、既に冬は過ぎゆきて春。

ああ、年を取ると月日が経つのがどうしてこんなに早いのか。

「大人になるとあっという間に1年過ぎるのは、人生のトキメキがなくなったから~!」

以前にNHKで、チコちゃんがこう言っておられました…。

そうか…私、既にしてトキメキを失っているのね…。

人生のトキメキを仮想空間で取り戻すべく、読んでみました「タルト・タタンの夢」と「ヴァン・ショーをあなたに」まず今回は「タルト・タタンの夢」の感想から。

率直に言って読んだ感想「『マカロン…』は、ずいぶんシリーズ物としてこなれてきてたんだな~」です。あらずいぶん偉そうな感想だわね。すんまそん。

悪くはないんですよ悪くは。ソムリエの金子さんの趣味が俳句だったとか(そういえばマカロンでは1度も金子さんの俳句が登場してないですね。金子さん俳句辞めたのかしら)三舟シェフのヒゲ面の由来が三船敏郎(世界のミフネ)だったとか、3作目を読んでから1作目を読んで、それぞれのキャラの人となりを後追いで知るのもそりゃ楽しゅうございます。

だが、まあ、正直言ってだな。キャラ紹介の度合いが強めなために、いわゆる“日常の謎”成分が薄まってる感じがいたします。まがりなりにもミステリですし。謎、欲しいですし。

この「タルト・タタンの夢」を先に読んでいたら、後のシリーズ2作に手を出したかどうかはわからない…という訳で、本シリーズが3冊とも未読の人は「タルト」じゃなくて「マカロン」から読むのがおすすめです。あくまでも極私的感想です(逃げ口上)

ぼくは、店でもらったリーフレットを出して、シェフに渡した。
そこには、詰め合わせセットの詳細が書いてある。ぼくが買った二十三個入りの詰め合わせのほかにも、いろんなセットがあった。
いちばん小さいものから、二個入り、三個入り。このあたりは普通なのだが、四個入りのセットがなく、五個入りまで飛ぶ。それから、七個、十一個、十三個となり、その次は十七個まで飛ぶ。十七個とさほど変わらない十九個のセットがあることも不思議だし、二十三個の次は、二十九個まで飛ぶのも謎である。
–(中略)–
リーフレットを眺めていた志村さんが言った。
「素数ですね」

本書の中でお気に入りは上記で引用した『割り切れないチョコレート』です。

ビストロ・パ・マルがある駅の隣駅にできたチョコレート専門店。オーナーはちょっと有名な新進気鋭のショコラティエ。

しかしそこの店、何故かチョコ詰め合わせの個数がすべて素数になっている。これまたどうして?…というお話です。

理由は本書をお読みになってご確認ください…と言いたいところなんだけど、ひとつだけ言わせて。

どちらかと言えば私は、素数のチョコを入れるための特殊形状のボックスをどこの紙業者がいくらで注文受けたのかって方に頭がいきますね。だって変な形のボックス作るの大変よ?型紙から起こさなきゃなんないからコストかかるよ?多分畳めないだろうから保管場所も取るよ?

オーナー鶴岡さん…そこまでして、母への想いを伝えたかったのか…。

ハートフル日常の謎ミステリは、案外コストがかかるものですなぁ。

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