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我孫子武丸「0の殺人」

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物語の冒頭に置かれた〈作者からの注意〉に、驚くべきことに、奇妙極まりない殺人劇の容疑者たち四人のリストが公開されている。この大胆かつ破天荒な作者の挑戦に、果してあなたは犯人を突きとめられるか?ご存知、速水警部補と推理マニアの弟と妹が活躍する、異色の傑作長編推理。
(「BOOK」データベースより)

<作者からの注意>
あなたが考慮すべき容疑者達は、四人だけということになります。しかも、物語が進むに従って容疑者達は減っていくことになるから、範囲はさらに限定されます。極めて簡単な問題ですからほとんどの人は、終幕前に真相を見破られることでしょう―――ほとんどの人は。でも、百人に一人くらいは分からない人もいるのではないでしょうか。

はい、上記の「百人に一人」は、私です。
 

「メビウスの殺人」でも登場した、速水三兄妹シリーズ第二作目。
相変わらず捜査上の機密を家族にダダ洩れする速水刑事と、その弟慎二、妹いちおが喫茶店「サニーサイドアップ」で推理を繰り広げます。
 

「ママは何でも知っている」然り「名探偵コナン」然り、刑事や探偵の親族はいつも事件の謎を解いて、刑事or探偵の成績アップに協力しているパターンが多いですね。
そこで警視庁の人事部に提案なんですが、これからは警察官を採用する際、親族調査で『ミステリマニア』が居そうな人材を採用するようにしてはどうでしょうか。事件解決の早道になると思うんですよねえ。日本の明るい未来のためにいかがでしょう?
 

さて今回の「0の殺人」
この小説、ミステリとしてとっても親切です。
だって、ハナっから容疑者は4名に限定されています。作者が冒頭で宣言してます。
そして起こるのは恐怖の連続殺人。資産家の未亡人宅で起こる連続殺人といえば「閉ざされた山荘」的テーマ。
横溝正史か島田荘司か?それともクリスティか?おどろおどろしい雰囲気の中で、次々と殺される人達…次は、次は私の番なのよぉ~っ!
 

…なーんてことは起こりません。これ、ユーモア・ミステリですから。
 

そして、作者が冒頭で提示した4人の容疑者達も、毒殺、転落死などで次々と死んでいきます。なんと、内ひとりは飛行機事故によって!そもそも飛行機に乗っている人物が、どうやって連続殺人の容疑者にリストアップされているんでしょうねえ?

「ミステリマニアとしてはだね、鉄壁なアリバイを持っているとか言われると、そいつが犯人じゃないかな、と思ってしまうわけだ——悲しい性だね。こうなってくるともはや普通のミステリでは驚けない」

名探偵役の速水慎二が上記のように語るとおり、「普通のミステリでは驚けない」貴方。
そんな貴方のための「0の」連続殺人ですことよ。

ミステリはネタバレすると愛好家から刺されそうなので、話を変えますと。
 

このシリーズに出てくる速水三兄妹。長男の名前は恭三、次男の名前は慎二、そして末っ子長女の名前はいちおと言います。
このいちおちゃん。漢字は「一郎」と書きます。
 

女子で一郎(いちお)
これはDQNネームとかキラキラネームの類に入るのでしょうかね?どこからどう見てもキラキラはしてないんだけど、いちおちゃんがグレずにすんだのは奇跡か、神の配慮か。
しかも兄妹3人で、逆から3→2→1と続く見事な「明るい家族計画」
 

速水さんちのご両親、もし第4子が産まれたらどうするつもりだったんだろうw
3→2→1と続いたら、やっぱり次は0かしら。
 

まさかまさか、次の子供が殺害されて、その事件名が「0の殺人」ってことなんじゃ…ありませんからねー!

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