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貴志祐介「クリムゾンの迷宮」

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火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された。死を賭した戦慄のゼロサムゲーム。一方的に送られてくるメッセージ。生き抜くためにどのアイテムを選ぶのか。自らの選択が明日の運命を決める―!
(「BOOK」データベースより)

ゲームブックという本をご存知でしょうか。
さくらが中学生くらいの時分、ゲームブックが流行したことがあったんですよ。

ゲームブック (Gamebook) は、読者の選択によってストーリーの展開と結末が変わるように作られ、ゲームとして遊ばれることを目的としている本である。「アドベンチャーゲームブック」・「アドベンチャーブック」とも呼ばれる。
(Wikipediaより)

「クリムゾンの迷宮」を読む際にゲームブックの存在を知らなくても、まあストーリー的には影響ありません。
ですが、もしゲームブックを楽しんだ経験がある方がいたら、より小説の世界観を楽しんで頂ける事うけあいです。
とはいえ平成の今、ゲームブック自体販売されているのかなあ。小説のの中でさえ昔の流行リモノ扱いですし。そういえば昔、岡嶋二人もゲームブックを出してましたねえ。内容はすっかり忘れましたが…母さん、僕のあのゲームブック、どうしたんでせうね…。
 

主人公は元エリートサラリーマンの藤木。バブルがはじけて会社が飛んで、有り金取られてホームレス生活を経た後、応募したアルバイト先で意識を失い、とある場所に連れてこられました。
 

とある場所とは……たらりらったら~♪火星!
各地のアルバイト先でそれぞれに薬を盛られ、火星の地に置き去りにされた9人。
これから9人が、異星の地で冒険の旅を始めるのです!

…とか言って信じる人は居ないでしょう。さすがに火星じゃ人は住めない。
その前に、アルバイトの雇用主としてもコストがかかりすぎますわ。
 

本当の舞台はオーストラリアのバングル・バングル国立公園。まるで火星のように見える赤茶けた岩肌のイメージにより、今回のゼロサム・ゲームの舞台に選ばれました。
ゼロサム・ゲームって知ってる?生き残るのが只一人の勝ち残り戦ってことよ。
 

主人公の藤木は、火星(本当はオーストラリア)で出会った一人の女性・藍と行動を共にすることになります。
各人に持たされたゲーム端末の指示に従い、東西南北それぞれ選んだルートのチェックポイントをクリアしていくゲーム。
東西南北、どのルートを選ぶのかによって、その後の運命が変わっていくのですけどね。都度の選択によってその結果が変わっていくのは、ゲームブックと同様です。

あのねえ。ゲームブックってね、結構間違えた選択をしたプレイヤーに対して厳しいのよ。「右に行くなら254ページへ、左に行くなら316ページへすすめ」と言われて、左に行こうと316ページを開くと
 

「左の洞窟にはゴーレムが待ち構えていた。首を折られてあなたは死んだ~BAD END」

サクッとバッドエンドで終了。余韻まるでなし。あったまくるんだこれが。
 

藤木は同行者のアイちゃんによる巧みなサジェストにより、北の最適ルートをチョイスすることができました。
もともと希望していた「食糧を求める南ルート」に行けなくて残念ではありましたが。でも、南ルートに行かなくて正解だったのよ藤木くん。最悪のチョイスをしなくてすんだのはアイちゃんのおかげ。
最悪の南ルートがどう最悪なのかは、実際に小説をお読みくださいまし。
超人ハルク?人造人間キカイダー?イカした風貌の、ダイナミックな超人に変貌しますよウキウキ。
 

‘アルバイト’で9人の人間が集められたのは何故か、ゲームの狙いは何なのか、とか、アイちゃんの補聴器に隠された秘密とか、彼らは果たして火星から地球に帰還する事は出来るのか、とか。
小説的にはいろいろと、結末に向けて進んで行きますが。
ここはひとつ「クリムゾンの迷宮」自体が、ひとつのゲームブックであるという終わり方が美しいかもしれませぬ。
ゲームブックはいくつもの選択によって幾通りものゲームの終わりが用意されていますが、全ての選択肢で正しいチョイスをした場合には、ちゃんと真実のTRUE ENDに辿り着くのです。
そのTRUE ENDが、ハッピーエンドなのか、バッドエンドなのかは、わからないけどね。

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