スペインの誇り高い少数民族バスク人達に独立の日は来るか?殺された家族の復讐に燃えるテロリスト男女と、修道女4人の恐怖のスペイン縦断徒歩旅行が始まる。恋することを禁じられた修道女達にも様々な過去や秘密がある。死にたいほどつらい毎日から逃れ、祈りに救いを見いだしたグラシエラ。“神などくそくらえ”のルチア…。口封じのため彼女達を必死に追跡するスペイン官憲。米国の巨大企業経営者の重大な秘密をスペインに探す幹部社員…。恐怖の中に笑いを盛り込んだ新しいタイプの長編サスペンス。
(「BOOK」データベースより)
アカデミー出版の『超訳』なっつかしーですねー。
『英語の構文にとらわれず、作者の意図を汲んで自然な日本語で表現する』といった意味の、意訳の発展系である超訳。
バブル真っ只中の時代にかなり話題になりました。
で、その『超訳』で当時数々出版されていたのが、シドニィ・シェルダンの小説群。
原文と比較できるスキルもないので、実際にはどの程度『超訳』の効果があるのかは判りかねます。だけど、シドニィ・シェルダンの小説がマジ面白いってのは確実。
中でも一押しが、この「時間の砂」、極私的シドニィ・シェルダン一等賞ですね。
およそ四半世紀ぶりの再読だってのに、ストーリーは判っちゃいてもドキドキ・ハラハラ・ワクワクのエンターテイメントです。
『面白い小説をテキストにすれば、先が気になって読まざるを得ないだろう』というのが、英語教材を主とするアカデミー出版の考え方のようで。
確かに、アカデミー出版御用達のシドニィ・シェルダン先生、小説の中にギューギュー“面白み要素”を詰め込んでいます。
スペイン内戦のくだりでは、ロルカの「血の婚礼」的な陰惨さを盛り込んでいるし。
尼僧院のくだりでは、静謐かつ厳格な佇まいがあるし、ついでに修道女たちが山に逃げるあたりでは「天使にラブソングを…」的なおかしみもあるし。
チェ・ゲバラみたいな革命家のスリルもあるし。
大富豪の跡目争いでは、ちょっとジェフリー・アーチャー的な匂いもしたりして。
ついでに「キャンディ・キャンディ」的な孤児女子の立身出世物語もあるし。
当然、複数の男女にはロマンスが発生して。
多少のお色気要素はスパイスとして振りかけて。
いやいや、あー楽しい。この面白さって『超訳』ゆえなのかしら?それともシドニィ・シェルダンゆえなのかしら?
まあどっちでも良いんですけど、面白いってのは確実。
ということは、『超訳』のアカデミー出版がやっているシドニィ・シェルダン作の英語通信教材「イングリッシュ・アドベンチャー」はやっぱり面白いのかしら。
最近では新聞広告もあまり見なくなったけど「追跡」とか「家出のドリッピー」とか、今でもまだ売ってるのかしら。
『面白い小説をテキストにすれば、先が気になって読まざるを得ないだろう』方式のイングリッシュ・アドベンチャーだったら、私でも英語の長文が読めるようになるのか?それとも「Essential Grammar in Use」と同様に、そもそも荷物を開封すらしないのか?…悩む…悩む…。