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金子信久「ねこと国芳」

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猫好きのかゆいところに手が届く、国芳の猫の描写
有名な《其まゝ地口猫飼好五十三疋》にとどまらず、描きに描いた猫の絵の中から、めずらしい素描や、全編に渡って挿絵を描いた猫の冒険物語『朧月猫の草紙』、猫の役者が大勢登場する団扇絵、踊る妖怪猫、猫でできた当字、盆画に粗相をしてしまう子猫など、本邦初公開の作品を含む、たまらなく魅力的な猫たち352匹を紹介します。
(「BOOK」データベースより)

ねこねこねこ ねこ~!
 

かの江戸画壇の奇才、歌川国芳の描く猫を主題とした美術書です。
関係ないけど“描”と“猫”って似てますね。
 

歌川国芳がねこを愛しているというのは言うまでもないけれど、この本の作者(編者というべき?)の金子信久自身も、猫を愛してやまないのが本全体にダダモレに溢れ出てます。
特に金子信久が偏愛しているのは、お尻から揃えた後脚に続くラインらしい。国芳の猫がどこにいても、足を揃えていると目ざとく気付き「胸がきゅんとなる」とオジサンきゅんきゅんしてしまいます。

猫よりも金魚の方が好きな私としては、是非この本の87ページを見て欲しい!中央にいる2本足の金魚がもう、可愛くて可愛くて!
胸がきゅんとなるよ。46歳オバサンきゅんきゅん。

歌川国芳が活躍した時代は、ちょうど水野忠邦が天保の改革を行なった時代と重なります。
はい!ここで質問、天保の改革わかるひと~?
さくらは娘の中学受験の勉強につきあって覚えたよ。
自分の学生時代には「テンポウなにそれおいしい?」状態だったけどね!

天保の改革とは、簡単に言っちゃえば「ぜいたく禁止~!質素倹約~!」というお触れです。
その影響により、小説とか歌舞伎とか、庶民のお楽しみになるものも一切禁止となりました。
絵画への影響も大きい。江戸時代は美人画とか歌舞伎絵なんてのは、当時のジャニーズブロマイドみたいな存在だったので、水野くんが規制をかけないはずがない。

で、禁止されればやりたくなるのが人の常。止められると燃え上がるのが愛
国芳はじめ江戸時代の画家は、規制の網をかいくぐって自分の絵を発表するために知恵をしぼったのです。
猫の顔の中身だけ歌舞伎役者の似顔絵にしたりね。
今におきかえると、ワイモバイル猫の顔だけがキムタク。(しかしそれのどこが嬉しい?)

天保の改革のおかげで、江戸時代の庶民そして今の私たちも、創造力ひらりはためくキッチュでパワフルな国芳の絵を楽しめるようになったので、水野くん感謝。ありがとう水野くん。罷免後は辛い余生を過ごしたらしいけど、君のすっとんきょうな改革を、平成の世で感謝している人もいるのでおとなしく成仏したまえ。
 

さてこの本、ただ「猫が可愛いなあ~」と愛でるだけでも良いのですが、英語圏の人に日本美術を紹介する目的により日本語と英語のダブル表記がされています。
英文は全てすっ飛ばしましたので、ごめんなさい、何が書いてあるのかはわからないわ~。
もしお知り合いの外国人の方に本をプレゼントするんだったら、この「ねこと国芳」おすすめですよ。英文判らないのに偉そうなこと言いますが。
文章を読んで啓蒙するも良し、ただ歌川国芳の絵と猫の後ろ足を楽しむのも良しで、喜んで頂けること請け合い。
あ、その際には是非とも、87ページお見逃しなくともお伝えください。金魚ラブ。ヒラヒララブ。

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