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星新一「ボッコちゃん」

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スマートなユーモア、ユニークな着想、シャープな諷刺にあふれ、光り輝く小宇宙群! 日本SFのパイオニア星新一のショートショート集。表題作品をはじめ「おーい でてこーい」「殺し屋ですのよ」「月の光」「暑さ」「不眠症」「ねらわれた星」「冬の蝶」「鏡」「親善キッス」「マネー・エイジ」「ゆきとどいた生活」「よごれている本」など、とても楽しく、ちょっぴりスリリングな自選50編。
(Amazon内容紹介より)

このブログで本を取り上げる際は、それが既読の愛読書であっても改めて再読するのを常としています。
しかしながら。この「ボッコちゃん」再読するためページを開くのが怖い怖い。
 

何が怖いって?あんまりにも古くて、読み返しすぎてページがボロボロなのよ。
ブックオフじゃあ引き取ってくれない位のボロさです。売らないけど。
 

「ボッコちゃん」を手に取る時は、細心の注意を払ってページをめくり。
一部外れたページは、他のページから出っ張って紙が破れないように出来るだけ奥まで差し込んで。
しおり紐は裾がほつれないように折り返してはさみ。
出来るだけページは大きく開かず、そっと覗くように眺めて。
既に取り扱いは古文書の域。白い手袋でもはめようかな。
 

だって、仕方ないじゃない星新一なんだから。しかも「ボッコちゃん」なんだから。
これまで30年以上何度も何度も読み返してきたし、この先30年も多分何度も何度も読み返すだろうから。
つまりは、そういう本ということです。

『ボッコちゃん』
『マネー・エイジ』
『ゆきとどいた生活』
『肩の上の秘書』
『おーい ででこーい』

 

上記「ボッコちゃん」のショートショートの中でも、よく我が娘と話題に上るタイトル名。
特に登場するのは『ゆきとどいた生活』ですね。テール氏が朝起きる時間になると、マジックハンドが抱き起こしてくれて洗顔してくれて着替えさせてくれて、朝食の支度もしてくれて靴も履かせてくれて、繭のような移動カプセルで会社まで運んでくれる。
テール氏自体は前夜に病気の発作で死んじゃってるんですけどね。
「朝起きられない~」「支度が面倒~」「寒いから家出たくな~い」と朝グズグズさんの我が娘が『ゆきとどいた生活』に憧れる気持ちもお分かりになりますでしょう?
 

『マネー・エイジ』の、ワイロが合法化されて全世界が“地獄の沙汰も金次第”となった社会での女の子の話も、資本主義経済に生きる二十一世紀生まれの女子としては、金貨の輝きについ目がギラギラとしてしまうところ。
でも娘や。マネー・エイジの女の子は、テストの点を改ざんするために先生にお金を支払うんでっせ。もらうばっかりや、ないのやで。
 

私個人としては『月の光』のリリカルな感じとか好きなんですけど。
でも会社で仕事中に電話をかけたりする時には『肩の上の秘書』のオウムが欲しいな~と願ったりするんですけど。
 

「ボッコちゃん」を昔読んでいた人は皆、それぞれに特別好きなショート・ショートがあったり、登場する未来のお役立ちアイテムが羨ましかったりしてると思うんです。
そう、まるでドラえもんの未来の道具が欲しくなるみたいに。
“タケコプター”“どこでもドア”“暗記パン”どれをドラえもんに出して欲しいか、いつ何処で誰と話しても盛り上がれるみたいに。
つまりは、そういう本ということです。

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