堂場瞬一「ホーム」

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二十年前、大リーグのニューヨーク・フリーバーズでプレーをしていた藤原雄大。五十二歳となった今は、マイナーリーグの巡回コーチをしている。ある日藤原は、現役時代のライバルで、大リーグ機構上級副社長であるヘルナンデスの訪問を受けた。東京オリンピックのアメリカ代表監督が亡くなったため、代わりに監督をやってくれないかと打診されたのだ。悩んだ末にその依頼を引き受けた藤原は、戦力補強のため、アメリカと日本の二重国籍を持つ大学生天才スラッガー、芦田をスカウトする。しかし、そこには二つの故郷の狭間で苦しむ若者の姿があった―。デビュー作『8年』実に19年ぶりの続編!
(「BOOK」データベースより)

昨今のコロナ禍や森氏ミソジニー問題で、東京オリンピック&パラリンピックが開催去れるかご不安なあなた。

ご安心ください。東京オリンピックは開催されます。パラリンピックはどうかわからないけど、少なくともオリンピックは開催されてます。

てか、もう既にやってます。

2020年に開催済です。

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ただし残念ながら、この小説「ホーム」ではそのオリンピック、野球の試合の模様しかわかりません。水泳も体操もマラソンも、誰が出て誰がメダルを獲得したのか、まったくわかりません。

私としては開幕式くらい見たかったんですけどね。野球だけなの。小説内でいつの間にオリンピックが始まったのか全然わからないのwいつの間にやら第一試合行われてるしw

ぶれない男、堂場。

彼のホーム(主題)は野球だけ。

行動と状況の矛盾…しかし今は、そんなことはどうでもいい。ダグアウトに入っている選手にはそれぞれの思惑があるだろうが、一つだけ、共通した思いがある。
勝ちたい。勝たねばならない。
ここで終わりにするわけにはいかない。

さて、この小説「ホーム」は、過去にご紹介した「8年」の続編にあたります。「8年」のほぼ20年後の話です。

主人公の藤原さんは、以前にはアメリカ大リーグのフリーバーズの選手でしたが、本作では投手コーチやってます。20年も経ちましたから、現役選手はもう引退ですよ。

彼の選手時代には、所属していたフリーバーズもオーナーの逮捕やら経営悪化やらいろいろございましたが、今でもどうにかこうにか継続中の様子です。良かった良かった。

しかしこの20年、藤原さんは亡き娘の墓参りに一切行った形跡がないんですけどね。父親としてどうかと思うよ。妻も亡き子も捨てて野球かよ。

彼の倫理観はさておいて、主題は東京オリンピックですよ。アメリカ代表の野球監督の急死により、突然降って湧いた監督の任務。アメリカ代表の選手たちはマイナーリーグ揃い(だってほらメジャーの選手は国内試合があるからね)で、オリンピックで戦うにはちと役者不足。

そこで目を付けたのが、アメリカ人と日本人のハーフでダブル国籍を持っている大学生の芦田くん。日本の大学が夏休みの間に、アメリカ代表としてオリンピックに出場させようと。

日本人監督(グリーンカード所有)と日本人選手(ダブル国籍)が急遽アメリカの旗の下で野球することに。

彼らのホーム(故郷)はいずこ?

「芦田!」スタンドはざわついているのに、何故か自分を呼ぶ声がはっきりと聞こえる。「裏切り者!」
裏切り者?芦田は思わずタイムをかけ、打席を外した。今の声は、バックネット裏から聞こえてきた。僕が何を—-誰を裏切った?

いや芦田くんも大変なんですけどね。日本に住んで日本の大学に通いながらアメリカ代表として東京オリンピックに出場しちゃったもんだから、ネットでは叩かれるしインタビューでは責められるし、試合中には上記のヤジを飛ばされるし。

みんな…芦田くんを責めないであげて…堂場瞬一の小説の中では、必ず老獪な師匠が存在するの…海千山千の師匠に誘導されたら断る術はないの…わかってあげて…。

ワンボール、ツーストライク。追い込まれてはいるが、芦田は何故か焦りを感じなかった。
自分には一振りしか許されていない。その一振りは、自分の野球人生を終わらせてしまうかもしれないが、今はそれでも構わないという気持ちだった。とにかく打って勝つ。勝てば決勝に進めるのだ。そうすれば自分は、アメリカ代表が優勝を懸けて日本と戦うのを、一番近くで観られる。
二つの祖国(ホーム)の激闘を。

この小説はオリンピック野球試合の決勝戦が終わったところで完結します(だから閉会式もやらないの…しくしく)。

結局オリンピックではどの国が金メダルとったのか、そもそもアメリカ代表は決勝戦に出られたのか、出たとしたら勝ったのか負けたのか、そういう話はここでは明かしません。

だって、メダルの色はここでは重要因子ではなかったりする(いや重要だけどね)。

重要なのは、芦田くんが何を探していたか。そして何を見つけたか。

「探していたものは見つかったか?」
「分かりません」芦田が素直に言った。「そもそも、何を探していうたかも、分かっていなかったと思います」
「いや、君は間違いなく見つけたね」ヘルナンデスが指摘した。「かつて私たちが—-私とミスタ・フジワラが見つけたのと同じものを」
「俺も?」藤原は自分の鼻を指差した。
「居場所(ホーム)だ」

この小説のラストでは、藤原さんが新たな決意を固めてさらなる続編ができそうな予感が感じられますが。

「8年」→「ホーム」の間に20年経ったとすると、次作はまた20年後でしょうかね?

まあ何年たっても、彼らの属するホーム(居場所)は変わらないんでしょうけど。でもこのシリーズがホーム(ベース)に戻って完結するまでには、まだ道は遠い。

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レビュアー: さくら
さくら
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