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今野敏「任侠シネマ」

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義理人情に厚いヤクザの親分・阿岐本雄蔵のもとには、一風変わった経営再建の話が次々と舞い込んでくる。今度の舞台は、北千住にある古い映画館!TVやネットに押されて客足が落ち、映画館の社長も閉館を覚悟。その上、存続を願う「ファンの会」へ嫌がらせをしている輩の存在まで浮上する…。マル暴に監視されながら、阿岐本組の面々は、存続危機の映画館をどう守る!?笑いあり、涙ありの「任侠」シリーズ第5弾!
(「BOOK」データベースより)

阿岐本組の任侠シリーズ、ハートフル経営コンサル第5弾。
(みのもんたの下りはもういい加減にカットします)

今回の舞台は「シネマ」そう映画館でございます。

ヤクザの無償経営コンサルもすっかり板につき、子分の健一も稔も真吉もテツも、通常のヤクザ稼業よりよっぽど楽しみにしているようです。

ところで阿岐本組の皆さんって、普段は何のシノギで日銭を稼いでいるんでしょうね?元々は博徒だったそうですが、今は…ほら、ねぇ?

定席である来客用のソファに行こうとして、日村は気づいた。健一たちが、興味津々という顔で日村を見ている。
日村は健一に言った。
「なんだ?何か言いたいことがあるのか?」
「永神のオジキは、映画館の話でいらしたんですか?」
彼らが何を言いたいのはわかっていた。これまでいろいろな業種で立て直しを経験してきた。
出版社、学校、病院、銭湯。
こいつらそれで味をしめやがったな……。

私も好きですとも。これまで4回の経営立て直し作戦で味をしめて、今回の「任侠シネマ」もウッキウキで手に取ったところでございます。

だが、しかし。

だがしかしだ。

前回の「任侠浴場」は過去3作に比べてちと小ネタだと、私は過去のブログで申し上げました。

そして今回の「任侠シネマ」も、引き続き小ネタだと言わざるを得ない。

いや家族経営の銭湯よりも企業規模としてはデカいでやんすよ。ちゃんとした会社の体をなして、シアター以外にも多方面に活動してらっしゃる北千住(立地が地味)の『千住興業』。映画館部門は会社の中の一部門に過ぎない。

んー。なんというかねえ。

会社の一部門を閉めるか閉めないかって話、小ネタとしか言わざるを得ないですよねえ?

「経営者としては、赤字部門を処分しなければならない。もし、それを存続させようとしたら、社員たちに自分の道楽を押しつけることになる。そうお思いなのでしょう」
増原社長が言った。
「おっしゃるとおりかもしれません。映画館をこのまま続けることに、一抹の後ろめたさを感じていたことは事実です」
「それならいっそ、映画館に有終の美を飾らせたい……。そんな思いがおありなんじゃねえですかい?『ニュー・シネマ・パラダイス』の話をしたときにね、そんなことを感じたんですよ」

と、言いつつも。小ネタであろうとなんだろうと面白かったので、読者としてはそれで良しです。

ですが、それで良しとはいかないのが子分の皆さん。健一・稔・真吉・テツのお四方ではないでしょうか。

だってですね。彼ら、今回はまったく映画館に行けないんですよ。組長と日村さんは高倉健の2本立て見てるのに。

「任侠浴場」では阿岐本組の慰安旅行で道後温泉くらいは連れてってあげてるのに、今回は何もなし。少なくとも小説ラストまでは。

うっうっうっ、皆楽しみにしてたのに…。

今野さん、早く任侠シリーズの6作目を書いて、今度はその中で健一・稔・真吉・テツのお楽しみも作ってあげてください。だってこのままじゃ彼らが可哀そうすぎる。

暴対法の影響で出前もロクに取れない彼らに、せめてひと時の夢を。仕事に小さな喜びがあってこそ社員(組員)のモチベーションも高まると思うのですがいかがでしょう。

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