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宮部みゆき「桜ほうさら」

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父の汚名をそそぎたい。そんな思いを胸に秘めた笙之介は…。人生の切なさ、ほろ苦さ、人々の温かさが心に沁みる物語。
(「BOOK」データベースより)

かつては私の中で「宮部みゆきといえばミステリ」的な印象をもっていましたが、だんだんと時代小説の方に比重がかかってきました。

以前よりも自分が時代モノに慣れてきたせいもあるのだとは思いますが・・・それよりもねえ、最近の宮部みゆきのミステリって、長すぎるんだもん!

チョー長っげーよ!(ちょーなげーよ)分厚い単行本3冊セットなんて、そうそう買えますか?本屋から買って帰れますか?

本の厚さと重さだけでビビって、未だに『ソロモンの偽証』が未読な私ですよ。ホントにさあ、頼むよ。『レ・ミゼラブル』書いてるんじゃないんだから。文庫本1冊くらいで話まとめよーぜ。

 

さてさて「桜ほうさら」

題名は<ささらほうさら>から派生して、この小説の登場人物が発した造語です。

<ささらほうさら>というのは甲州弁で「いろーんなことがあって大変だこりゃ」の意味だそうな。

で、いまWeblio辞書で<ささらほうさら>を検索してみたらですね。

意味:めちゃくちゃ・悪いことが重なる状態
用例:おまんはいつもささらほうさらずら(きみはいつもめちゃくちゃだね)

「きみはいつもめちゃくちゃだね」って面と向かって言われる状況って一体なに?!

あっ、もしかしてウチの娘の部屋の様子を言ってる?!

たしかに娘の部屋は<ささらほうさら>だ・け・ど!

閑話休題。

で、この本では、実際にはそんなに<ささらほうさら>でもないかなあ?

主人公の笙之介にとってみれば確かに大変なんだけど、何故だか余裕が感じられるのは、周囲が良い人揃いだからなのでしょうか。

いやあ、宮部みゆきって相変わらず長屋大好きだねえ。長屋住まいの人で悪い人(ほとんど)書かないもんねえ。

世話焼きの差配人から、世話焼きのおかみ、わんぱくだけど賢しい子供、ほのかに恋心を抱く町娘まで「THE・長屋人情話」オールスターだ。

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どちらかというとこの小説自体が、全体的なストーリーを追うというより、細かいサイドストーリーを楽しむために作られたような気がします。

そもそも連作短編集の形で、それぞれに人情系エピソードが積み重なっているし。

全体に一本筋を通す、藩の陰謀を回避するために笙之介が受けた密命にかかわる話というのは・・・うーん、まあ、おまけ?最後まとめるあたりでは、宮部みゆきというよりもあさのあつこみたいになってましたしね。いや別にあさのあつこも嫌いじゃないですよ。

ああ、ついでに笙之介の恋模様も、うーん、まあ、おまけ?

人それぞれではございます。

極私的には、お江戸人情話をお腹一杯食べられてよかった。

加野屋の花見余興の食べ比べには、是非ともギャル曽根アンジェラ佐藤に登場して頂きたかったものだわ、と、次元も時も超えて祈念する私でした。

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