大学リーグ四連覇を前に、名監督と言われた監督が急死。チームのあとを受けたのは、ヘッドコーチの七瀬だった。新たな船出となったチームだったが、亡くなった監督の息子であり、キャプテンでもある進藤と七瀬の間で…。四連覇のプレッシャーがかかる中、チームはリーグ戦に挑む―。
(「BOOK」データベースより)
五郎丸~っ!
ありがとう五郎丸さん!貴方のおかげで、この本を読めた!
この小説の文庫本、帯に五郎丸歩選手の写真とコメントが掲載されております。
「激しいプレーでラグビーの魅力を伝えたい
——僕と同じ思いが、この本に凝縮されている」
文庫版の帯で五郎丸選手の写真がなかったら、いくら堂場瞬一のファンといえども私 さくらが手に取ることはなかったでしょう。
だってハードカバー版の表紙と、本のタイトルが、むっさいんだもん。
昨年に起こったラグビーブームの要因も、なんだかんだ言っても五郎丸選手のビジュアルが大きなポイントですよね。
見た目とさわやかさって大事よ。スポーツも書籍も。
でも我が家では五郎丸選手のことをさわやかゴリラと呼んでおりますが…ご、ごめんね五郎丸さん。
「10-ten-俺たちのキックオフ」は、大学ラグビーを題材にしたスポーツもの小説です。
さくらの実兄は高校&大学とラグビー部所属でした。だからラグビーには縁がある…ないない。ある訳がない。
試合も見たことなく、ルールも知らない妹からしたら、ラグビーとは
「洗濯物がドロだらけでいつも怪我をして太腿が太くなるスポーツ」でしかありません。
(ちなみにさくらの兄ちゃんの高校時代のアダナは“モモ田モモ夫”だったよ!)
その私にもラグビー物を読ませるとは、さすがスポーツ小説の手練れ、堂場瞬一であります。
が、「10-ten-」をハードカバー版でお読みになる方がいらしたら、事前にちょっとご忠告。
ハードカバー版「10-ten-」の巻末には、ラグビーのフィールド図解と、ラグビー用語解説がついております。
出てくる用語を頭に入れておきたい御仁は、先に目を通しておくことをおすすめ致します。
私はそれを知らなくて小説を全部読み終えてしまいましたので、出てくる単語が今イチわからないままスルーしておりました。
ちぇっちぇっ、解説あるんだったら先に教えといてくれよなー。
まあ、巻頭に書いてあっても、きっと見ないんだけどね。
ラグビーの専門用語がわからなくても、小説の進行具合には影響ありません(多分)
でも。
でもっ。
正直言ってこの本、前半は読むのがひっじょーにしんどい!
大学ラグビーの名門、城陽大ラグビー部監督の急死により、ヘッドコーチの七瀬が新監督に就任する。
プレースタイルを細かく決めた管理ラグビーに慣れた選手達にとって、七瀬の放任指導は物足りなさと反発が生じる。
監督とキャプテンの軋轢と、OBの横槍と、選手間の不協和音。
空中分解寸前のチームで、果たして城陽大のリーグ四連覇は果たせるのか。
七瀬の狙い、そして、死去した前監督・新藤のラグビーにかけた本当の想いとは…。
新監督の七瀬さん、あっちからもこっちからも突き上げられて正に四面楚歌状態。
「10-ten-」の殆どラスト近くまで、それが延々と続きます。なんだこの女工哀歌。
堂場瞬一なので、きっとこの苦しみは、最後のカタルシスにつながると信じて読みましたけどね。
これが林真理子だったら最後まで読めない。だって突き落として拾い上げずに終わられちゃうもの。
苦しめ。楽しめ。
それこそがラグビーの醍醐味じゃないか。
その点、堂場瞬一は最後ちゃんと救い上げてくれるので安心~。
かといって「リーグ優勝わっはっは、勝てば官軍おめでとう」の、スポーツ勝ちゃあ良いんだろう的な終わり方をする訳でもありません。
七瀬がどうやって、新監督のプレッシャーを乗り越え、チームをまとめあげていったのかについては「10-ten-俺たちのキックオフ」をお読みください。
まあ、個人的には、あれを読ませるのは反則技だと思うけどね。独り言だけどね。
でもやっぱり、ラグビーといえば「スクールウォーズ」だよなあ。
正確には『スクール☆ウォーズ ~泣き虫先生の7年戦争~』星がついていたとは知らなんだ。
オートバイで廊下を走って窓ガラス割るオープニングに流れる、チャーンチャーララッラーラ♪の麻倉未稀HERO。
『オレは、お前達を、殴る!』の山下真司。
あれか?さくらの兄ちゃんの原点は、こっちか?