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世界思想社教学社「『世界思想ゼミナール』について」

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角川文庫講談社文庫、ついでに講談社学術文庫と、かっちょ良くていかしてる「刊行の辞」をかつてご紹介いたしましたが。
最近の文庫は巻末に刊行の辞が入ってなくって、寂しい限り。

あのね、新書系には結構入ってんのよ。でもね、以下2点に関しては、私さくらちゃんとしては不満がありますの。

  1. 署名がない
  2. 旗揚げの声明よりも紹介が主

以下にご紹介する世界思想教学社の「『世界思想ゼミナール』について」も、然り。

ちなみに世界思想教学社ってのは、世界思想社(世界思想ゼミナールのシリーズを出版している)と、教学社の2部門で出来ている出版社です。

んじゃ教学社って何よと聞かれたら…あれ!あれですよ!受験生のオトモダチの赤本

いやー娘がお世話になりました。ありがとうございます。買ったよいっぱい買った。役に立ったかどうかはさておいて。

自然は、人間のために存するのではない。また、人間が自然にさからうことは許されない。自然は人間には関わりはなく、動いているのである。この単純なことを、環境に慣れすぎてみおとしてしまったり、厳しい人間の世界の止むを得ないかもしれない必要性から、自然をみる目が狂ってしまって、恰も、人力で自然をかえうるがごとき錯覚をもったりするところに、人間の破局が訪れてくる。それは、精神的とか物質的とか問わずにやってくるのである。
「世界思想ゼミナール」は、人間が本来の姿にかえることを、眼目においている。つまり、人間という生物を中心とする生態系のそれぞれの系に相当するところの、政治・経済・社会・文化・科学などについて、深く思索し、さらに問いたずねて、その上で、自然と調和し、均衡をもった人間の世界を作りあげていくところの、いとなみの一助であることを切望している。このことが、はじめて「世界思想」の名にそむかぬユニークなゼミナールを可能にすると信ずる。

うーむ…。…すごく正直に言ってよろしいですか?(いいでーす)

若き角川くんと野間のオジサマに比べたら、文章の格は相当に劣る気がいたします。ごめんね書いた人。

だってさぁ!「つまり、人間という生物を中心とする」から「一助であることを切望している。」の一文、長すぎね!?

「みおとして」とか「かえうるがごとき」とかはひらがななのに「恰も」とか「 存ずる」は漢字ってのも、アンバランスじゃありませんか?

いや全く評価しないわけではありませんよ。他の文庫・新書に比べて、刊行における出版社の意図を明確にしてるってだけで極私的なポイントは高い。
「いとなみの一助」って文言も好き。

ですが…何と言ったら良いか。

多分私が欲しいのは、熱量なんです。

若き角川くんと野間のオジサマにあった情熱が、上記の「『世界思想ゼミナール』について」には感じられないところが、私が不満とする所以なのです。

電子書籍の台頭や、全体的な本離れの久しい昨今。
出版業界もさぞ厳しい風を受けていることではございましょう。

しかし!しかしながら!
だからこその今、出版人の情熱を浴びてみたいってものじゃござんせんか!?

という訳で、世界思想社教学社さま。および他の出版社さま方。

今一度、各シリーズの刊行の辞の再掲載を願います。

過去の辞でも、これから書く新たな声明でも構わない。その刊行に携わった人の、その刊行に対する熱き血潮が感じられるものであれば。

まず自分が愛さなければ、人はそれを愛さない。
「紙」についても同じ、だと思う。個人的に。

紙書籍の復興のため、何卒ご検討くださいませ。

以上、紙書籍を愛する読書人の一意見でした。

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