図書館に閉じ込められた男女五人の恐怖の一夜
閉鎖された市立図書館に忍び込んだ青年二人と少女三人。突然、青色のラジコンヘリに襲われる。姿を見せない殺人者との一夜の暗闘。
(「BOOK」データベースより)
図書館が好きです。
本屋さんも好きですが、図書館は図書館で、また違う面白さがあり好きです。
書店に置いてある新刊図書の、小口の角っちょが揃ってピンッ!としている処が好き。
平積みされている本の表紙が『買って買って!僕を買って!』と騒いでいるのも楽しい。
あ、本屋さんに行くとトイレに行きたくなるのは困ったちゃんポイントですね。
そして図書館。
図書館に置いてある蔵書の、ザラザラしたビニールカバーの手触りが好き。
たいてい入り口付近の雑誌コーナーでおじいちゃんが寝ているのも、風情があっていーね。
あ、図書館の蔵書で、たまに『汚れあり』とか『水ぬれあり』のシールが貼ってあるものも、色んな人に読まれている感をかもし出すので好きなポイントです。でも、借りた本は大事に読まなきゃダメよ。
この「ブック・ジャングル」は、さくらの好きな図書館が舞台です。
取り壊しが決まった市立図書館。
誰もいないはずの、深夜の図書館に忍び込んだ5人。
書架の隙間から襲い掛かるラジコンヘリ。
通路の奥に潜む殺意。
ワックワクじゃあ、あーりませんか!
この小説をミステリと称するのは、おそらく間違ってます。
これはパニック物、もしくはサバイバル物。
言うなれば映画の「キングコング」を、キングコング側から見たバージョン?
主人公(と言って良いだろう)の沖野くんは、パプアニューギニア帰りの長髪&モジャ髭で、正にキングコングっぽいしw
次々と襲い掛かる毒針or爆竹orコショウのセットされたラジコンヘリをどう防ぎ、どう逃げるかを楽しむ本です。
新聞ラックを留めるクリップで防御したりね、マウンテンパーカーで簡易テントのような覆いを作ったりね。
『THE・サバイバル in 図書館』
沖野くん野性味あるな。パプアニューギニアはサバイバル心を育てるか。
ここからネタバレしますと、主犯は(大丈夫。この小説の中で犯人探しは全然重要じゃない)5人の内のひとり百合子ちゃんのお父さんなのですよ。
お父さんが子供の殺害を計画するに至った動機は、百合子ちゃんが、自分の実子でないと知ったため。
・・・そんだけ?
しかも、お父さん、本当に百合子が実子であるか否か、確かめすらしていないのです。
自分の不倫相手の冗談を間に受けただけ。
・・・動機、うっす!
しかし本当に妻に浮気されて子供を拓卵されていたとしても、浮気された夫が殺すのは、どっちかといえば妻の方じゃないの?とか、私は思いますが。
どっちかを殺すとすれば、ですよ。もちろん。
少なくとも子供を殺す合理性はない、ですよねえ?
上の文章“合理性”と言ったのは、実は私じゃありません。
さくらのダンナの発言です。
「ブック・ジャングル」を読了後、殺害動機について全く納得がいかず、男性の意見はどうなのだろう?と思い、身近な男性に質問しました。
『もし自分の娘が実子じゃないって分かったら、私と娘のどっち殺す?』
その結果『合理性がない』という回答が得られたのではありますが。
しかし、不倫と拓卵と殺人計画の話題で“合理性”って単語が出てくるダンナはつくづく理系の人だなぁという感想も抱いたりして。
さらには、説明もなく唐突にさくらがした質問によって、ダンナの胸の内にわきおこる不安と疑心はいかばかりか。
おそらくは今現在、ダンナの心が密林ジャングル。