中堅調査会社が併設する探偵養成所に、決して笑わぬ美少女・紗崎玲奈が入校する。探偵のすべてを知りたい、しかし探偵にはなりたくない、という彼女には、自分から言えぬ過酷な過去があった。調査会社社長・須磨は玲奈の希望を汲み、探偵を追う“対探偵課”の探偵として彼女を抜擢した。怒涛の書下ろしシリーズ開幕。
(「BOOK」データベースより)
松岡圭祐の本は「千里眼」シリーズを愛読してましたが、あまりにも超大作になってしまって新シリーズの途中で挫折した過去があります。
平岩弓枝の「御宿かわせみ」シリーズも然り。流石に20冊超えると、どこからどこまで読んだのかわかんなくなってきちゃうのよ。
しかし松岡圭祐のシリーズはどれもこれも、長い!沢山読めて嬉しいのにも限度がありまっせ全くもう。少年ジャンプの連載じゃないんだからさあ。
最近遠ざかっていたものの、久しぶりに松岡圭祐でも読んでみるべかと自室のベッドに転がしておいた「探偵の探偵」を見つけた我が娘。『あっ、探偵の探偵だ』
娘に教えられて、はじめて北川景子主演でドラマ化されていた事を知りました。
ドラマ自体は視聴率とれず不評に終わったそうですが…似合ーう!北川景子、似合ーう!
主人公の紗崎玲奈は、かつて中学生の妹をストーカーに殺されました。妹の死に由来して、彼女は“探偵”を恨んでいます。
遠い親戚を頼ってストーカーの知らぬ場所に引っ越した妹の行く先を、どうやらストーカーは探偵をやとって突き止めたらしい。
明らかに犯罪目的と思われたストーカーの依頼を、報酬のために請け負った探偵。
妹を殺したのは実行犯のストーカーだけでなく、その探偵事務所も同罪だと考えた玲奈は、“探偵の探偵”になることを決意しました。どこかも分からぬ探偵事務所を見つけ出し、復讐を果たす為に。
小説の展開やヒロイン紗崎玲奈の行動は、他シリーズと同様の松岡圭祐ワールド。マンガチックというか深夜アニメ系。
暗い過去を持ち、決して笑顔を見せない美少女が、殴られ蹴られ満身創痍でも常に冷静さを保ち、自らも容赦ない暴力をふるい、悪辣なオトナの罠にかかって殺されそうになりながらも、敵を倒して炎の中で立ち尽くす…ねっ?深夜アニメパターンでしょ?
マンガだアニメだを馬鹿にしてる訳じゃありません。では映像的と言えばOKかしら。
男が悲鳴をあげて身をよじらせると、人体の側面に点在する弱点を容赦なく狙い、本の角で打撃しつづけた。こめかみ、わきの下、肋骨の下。男がうずくまるや、玲奈は椅子を持ちあげ、男の後頭部に振りおろした。流血が床にひろがり、男は突っ伏したが、まだ失神には至っていないらしい。起きあがろうともがいている。玲奈は男の脇腹に蹴りを何発も食らわせた。足の甲が感覚を喪失するまで蹴りつづけた。
逆に、玲奈がテコンドーの道場でリンチを受けるシーンなども、映像的かつ懇切丁寧に、ねっちょりと暴力シーンが描かれます。SにもMにも幅広いサービスを展開、松岡圭祐は多角経営ね。
極端なまでの状況設定と、あくまでもクール&タフネスなヒロイン。周囲の味方はワカッテマスヨ系のオッサンと次元大介チックな仲間、途中からは癒し系ドジっ娘も登場し、バンバンスピーディに話は進む。
潮風に体温が低下する。肌が冷えきっていた。顔から滴り落ちるのが海水か涙か判然としない。玲奈はひたすら漆黒の闇のなかを歩きつづけた。泣き崩れないよう、心も感情も遠く彼方へ追いやった。虚ろな身体のみを、一歩ずつ前方へと運んでいった。
ね?映像イメージ湧きやすいでしょ?
確かにドラマにしたら面白そう。で、やっぱりヒロインは北川景子ですね。あのキッつい美人顔が殴られて青アザだらけになり、唇から血を流す姿に、サディスティックな欲望が刺激されないと誰が言えましょう。
そして、そのキッつい美人顔の北川景子ちゃんに鉄パイプで打たれ足蹴にされて、背中を踏んだおみ足にマゾヒスティックな欲望が刺激されないと、一体誰が言えましょう。
観もしなかったドラマ版「探偵の探偵」により、不埒な妄想が脳内を駆け巡る。
再放送があっても、観ちゃいけないな。観てしまったら、自分の身の内に秘めていた怪しい性癖が引っ張り出されて、新しい世界に旅立ってしまうかもしれない。
ああ、今日のさくらさん危険だわ。
すいません、キッつい美人顔が、好きでねえ。