「おまえは悪魔の申し子だよ」狂信的な母、スクールカーストの最下層…悲劇はその夜、訪れた。巨匠キングの鮮烈なるデビュー作にして、三度の映画化を経た永遠の名作。
(「BOOK」データベースより)
私が持っている新潮文庫「キャリー」の表紙は、福地靖のイラストが載ってます。
この絵が怖くてね~~~!私が「キャリー」をそこいらに置きっぱなしにしてると、娘が怒るんだ。怖いから見せるなって。
↑ 我が家にある福地靖イラスト版キャリー。いまの新潮文庫は表紙絵が変わってますね。
福地靖さん、どうやら他のイラストもこういう白目のちょいホラー系のようです。ネットで調べてもあんまり情報出てこないですね。水戸市の出身らしいですが。いまはもう絵は描いてらっしゃらないのかしら?
福地さん、もしまだ現役でいらっしゃるならば、も、もちょっと怖くないイラストも、たまにはよろしくお願いします・・・。
さて。本題キャリーぱみゅぱみゅ(違う)
初めて読んだのは、多分高校生?くらいの時でした。当時はアメリカのハイスクール卒業生が卒業パーティ(プロム)をやるのが恒例なんてことも知らず、“最終学年の舞踏会”のイメージがつきづらかったのを覚えています。
最近では日本でもプロムやったりする高校もあるらしいですねー!いやーハイカラなことすっぺんなー!
でも日本でプロムやるとしたら、ダンスって踊るの?チークタイムあるの?ドレスにタキシードなの?
日本の風土に合わないような気がするのは、私が古い証拠なの?
この本を一言で言えば「いじめ、ダメ。ゼッタイ」なんですが。
でも大人になってキャリーを読み返して、学生時代とは違う感想を抱きました。
キャリー、この舞踏会で豚の血を浴びなかったとしたら、どんな結果が待っていたのだろう?
舞踏会で華々しい成功をおさめたとしても、ハイスクールの同級生の心からそう簡単に「いじめられっこキャリー」の姿が消える訳じゃない。
トミーはそもそも自分から進んでプロムのパートナーにキャリーを選んだ訳でもないし、ヘレンの妄想のように、ヘレンを捨ててトミーが彼女の恋人にスライドするとは思いがたい。
ハイスクールの卒業後、キャリーはプロムの華やかな一日の思い出だけを抱いて、地味で人目につかない(そして給料が安い)仕事を続けていくのかもしれない。
そもそもキャリーが“いじめられっこ”のタイプになった元凶は、キャリーの狂信的な母親だった訳ですよね。
学校は卒業したら環境も交流関係も一掃できる可能性があるけれど、血縁関係は一掃しようったって、なかなかできるものでもない。
いわゆる“毒親”の類でも、母ひとり子ひとりの肉親の縁は、断ち切るのはとても大変な事だと思うのですよ。
プロムに出発する前に起こった、キャリーと母親との諍いの中で、キャリーは母親からの脱皮をもくろんだけれど。
もしキャリーがプロムから、何事も起こらずに帰宅したとしたら、
多分母親は、何も言わずにこれまでの生活を続ける。
そしてキャリーも、何も言えずこれまでの生活を続ける。
彼女が豚の血を浴びずに、死なずに、そして、母親の呪縛から逃れられれば良かったのになあ。