「初めまして、お父さん」。元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の爆弾宣言で一変!突然現れた息子と暮らすことになった大和は宅配便ドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続で…!?ぎこちない父子のひと夏の交流を、爽やかに描きだす。
(「BOOK」データベースより)
ワーキング・ホリデー制度とは,二つの国・地域間の取り決め等に基づき,各々の国・地域が,相手国・地域の青少年に対して自国・地域の文化や一般的な生活様式を理解する機会を提供するため,自国・地域において一定期間の休暇を過ごす活動とその間の滞在費を補うための就労を相互に認める制度です。
(日本ワーキング・ホリデー協会【ワーキングホリデー(ワーホリ)制度とは】より)
…って話なの?と思った方。
全然違います。
突然に坂木司マイブームが沸き起こる2017年、夏。
夏と言えば夏休みですね。夏休みと言えばホリデーですね。「ワーキング・ホリデー」のホリデーは、主人公ヤマトの隠し子、いや“隠され子”?である小学5年生の進クンの夏休みのこと(おお、すばらしい導入だ!)
で、対するワーキングは、主人公ヤマトのお仕事・ワーキングのこと。
『ワーキング』と『ホリデー』を扱ったストーリーだから、『ワーキング&ホリデー』だそうです。
どっかの作者インタビューに書いてありました。ソースってなにそれおいしいの。
売れないホストのあんちゃんの元に、元カノに産ませた子供がひと夏転がり込んでくることになりました。
存在すら知らなかった息子と、突然の共同生活。しかも息子が来た早々に、客を殴ってホストクラブもクビ。ホストクラブの寮として住んでいたマンションも強制退去。
この題材、作者が違えばとんでもなくド底辺の極貧哀歌になってもおかしくなさそうなのに、そこはホッコリーノ坂木司マジック。
ええでえ。まるでおとぎ話のように、優しくって気持ちよくって明るい一冊に仕上げてございますよ。
「……うまいじゃん」
一口食った俺は、進に笑いかけた。畜生、ゴマだれがきゅんきゅんするくらい甘酸っぱいぜ。
ホストクラブをクビ(という体での卒業)になったヤマトパパ。宅配便ドライバーに転職です。いやドライバーじゃないな、人力リヤカーの場合は何て言うのかしら?
シャンパンタワーでイッキ♪イッキ♪の毎日からは180度変わってギラギラ太陽の下で汗を流す健康生活。よくもまあ華麗に転身ができるもんだと。
良いんです。それで良いんです。それが坂木マジック。
良い人と優しい人と温かい環境で、人がすくすく育つ(大人も子供も)それを読むのが、坂木司作品の心地よさと言えましょう。
だからくだくだしいことは言わない。細かいところは突っ込まない。この生きづらい世の中で、小説くらい夢を見たって良いじゃないか。
……でも、ひとつだけ突っ込んで良い?
ビンテージ風のジーンズに白いシャツの胸元をざっくりと開け、シルバーアクセのごついやつを見せる。サングラスは芸能人風で、一歩間違えばお笑いまっしくらの垂れ目系。けど俺は、雪夜よりもそんなコーディネートを着こなす自信があった。
そして一言。
「ところで俺は元ホストなんだけど、お前ら、モテたくないか?」
—(中略)—
「お前らさえ良ければ、俺がモテる秘訣を教えてやるけど」
ついでに髪をかき上げながら、片目をつぶってみせる。今頃こいつらの頭の中には、児童館前でやった俺のパフォーマンスがぐるぐるしてることだろう。
息子の進くん、そして進の友達、シュンとヒデト。
彼等はヤマトパパに「お前らモテたいだろ?」と『沖田大和モテモテ男塾』の塾生になります。
しかし、彼等は小学5年生。
私は男性の皆さんにお聞きしたい。または、小学ダンスィを持つ父母に聞きたい。
小学校高学年のダンスィって、本当に、モテたいと思ってたかなあ?
私は娘しか育てたことがありませんが、一般的には女子よりも男子の方が、心の成長はゆっくりと言われているようです。
つまり、オマセさんな女子に比べて、小学ダンスィなんてまだまだガキンチョってことね。
異性に興味は芽生えつつも「モテたいか?」なんて聞かれたら「マジきもっ!オンナなんてキョーミねーし!」とか痩せ我慢でも言っちゃうのが小学ダンスィなような気が致します。
「うん、モテたい!」なんて答えるオトコノコ、いるの~?本当に~?
あくまでも、これは娘しか育てていない私個人の視点から見た疑問なんでね。実際のところはどうなのかわかりませんよ?
そこで、これは本当にダンスィ心をご存知の皆さんにお聞きしたいのですよ。
「オンナなんていらねー!」とか周囲に話してるのはカタチだけで、実は男同士のあいだでは、小学生でもモテ道を目指しちゃったりするのが現代なのでしょうか?
イマドキのダンスィは、私が思うより第二次性徴(心の)が早いのでしょうか?
男心がわからない、ましてや小学ダンスィにおいてをや。
『沖田大和モテモテ男塾』は、実社会でもニーズがあるものなのでしょうか。