記事内に広告が含まれています

スティーヴン・キング「いかしたバンドのいる街で」

スポンサーリンク
スポンサーリンク

自動車旅行中、小さな、美しい街に迷い込んだ一組の夫婦。だが、「ロックンロール・ヘヴン」という名のついたその街はどこかおかしい。なぜ、住民が皆、見たことのあるような人たちばかりなのか…?ロック&ホラーの傑作として名高い表題作をはじめとする全6篇を収録。鮮烈な描写、後を引く余韻。キング節が冴え渡る。
(「BOOK」データベースより)

映画「ボヘミアン・ラプソディ」を、ようやっと観に行った私です。
 

良かった…。
鑑賞後数日たっても、それ以外の感想が一言も思いつきません。
映画レビューの才能の無さを痛感する今日この頃。
 

でも、これだけはわかってます。
 

映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観た、フレディーの生前からQueenのファンだった多くの男女は、こう思っていることでしょう。
 

「もう一度(あるいは初めて)フレディー・マーキュリーのステージを生で見たい!」
 

……そんな人は、ロックンロール・ヘブンに行けば良いと思うの。

ようこそ
オレゴン州、ロックンロール・ヘブンへ

 

太平洋岸北西部で
いっちゃんノってる街!
 

青年商工会議所 ライオンズクラブ
エルクスクラブ

表題作「いかしたバンドのいる街で」の主人公メアリー&クラーク夫妻が週末旅行に出かけて、迷い込んだ田舎町ロックンロール・ヘブン。
 

ホラー映画や小説でもよくありがちな“道に迷ってとんでもない場所に行っちゃった”パターンですね。
キングもこの系大好きで、多くの夫婦やカップルがあんな所やこんな所に連れ回されています。可哀想に…。
 

それにしても“ロックンロール・ヘブン”とはいかした町名じゃございませんか。
 

ロック天国
 

この天国とは、ロックンロールファンにとっての天国なのか、それともロッカー自身にとっての天国なのか、果たしてどっちなんでしょう?

「なんてこった……ありゃ……リック・ネルスンじゃないか」クラークがささやいた。「たしかにそうだ、でも、そんなはずがない。リックは六、七年前に飛行機の墜落事故で死んだはずで……でもまちがいない……」
メアリーは口をひらき、そんなのは見まちがいだといって、愚かしい考えを一掃しようとした。しかしメアリー自身、あの赤毛のウェイトレスが、何年も前に世を去ったブルージーなシャウトの天才、伝説のジャニス・ジョプリン本人でないとは、とうてい信じられなくなっていた。

ロックンロール・ヘブンの住人は、既に亡くなった有名ロックンローラー達。
リック(リッキー)・ネルスン然り、ジャニス・ジョプリン然り、ジム・モリソンブライアン・ジョーンズも。
この小説では登場してきませんが、多分いまだったらプリンスデヴィッド・ボウイも登場してくると思うわ。ああ、もちろんマイケル・ジャクソンもね。
 

そして、いかした街ロックンロール・ヘブンの町長さんは、なんとエルヴィス・プレスリー!Oh,ロックンロール!
 

元々の町名がロックンロール・ヘブンであったかどうかは不明。
従来の住人(生者)もいるにはいますが、数多の有名ロックスター達(故人)に押され、町の片隅でコソコソと暮らす日陰の存在です。
 

…いや、日陰の存在とばかりも言えないのかもしれません。
だってステージを行うには、観客の存在って必須でしょ?
 

毎夜毎夜行われるロックンロール・ギグを盛り上げるためには、住人を無理やりにでもオーディエンスとして参加させなくてはなりません。

「今夜はすばらしいコンサートをお目にかけましょう!」“ロックンロール”という単語の創始者といわれるニューヨークのディスクジョッキー、アラン・フリードが、熱っぽい大声でマイクに向かって叫んでいた。「今夜の出演は、ビッグ・バッパーことJ.P.リチャードスン……ロンドンから先ほど到着したフレディ・マーキュリー……ジム・クロウチ……そしてわたしの一のお気にいり、ジョニー・エース……」
メアリーはシシーに顔を近づけた。「あなたはここに来て、どのくらいになるの?」
「わからない……時間の感覚が、すぐなくなったから。最低でも六年ね……ことによると八年かもしれない。あるいは九年かも」

そして、オーディエンスの数は、多ければ多いほど良い。
迷い込んできた新しい生者は、そう簡単には逃さない。
 

すぐ立ち去らせて、せっかくのステージを見逃させる訳にはいかない。
 

だから観客達のために、毎夜毎夜ロックンロール・ギグは続く。
繰り返されるアンコールにお応えして、何時間でも、何日でも、何週間でも、何年でも。

ステージの照明がつぎつぎにともり、いつ果てるとも知れぬ今宵の長時間コンサートのオープニングの一曲をバンドが演奏しはじめると——曲は〈アイル・ビー・ドッグゴーン〉、リードボーカルはもちろんマーヴィン・ゲイ——

映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観た人で、フレディ・マーキュリーのステージをもう一度見たい人は、ロックンロール・ヘブンに行けば良いと思うの。
 

帰ってこられるかどうか、保証はできないけどね。

タイトルとURLをコピーしました