私はこの小説の主人公、妹尾睦月と友達になりたい。
鞠小路鞠夫―私が密かに思いを寄せる内気な腹話術師・朝永嘉夫が操る人形の名前です。
出会ったのは幼稚園のクリスマス会。園で飼っている兎が死んだ事件を見事な推理で解決してくれました。
そう、「彼」は実は頭脳明晰な名探偵だったのです。
異色の人形探偵コンビが大活躍する青春ユーモア・ミステリー。
(「BOOK」データベースより)
小説のジャンルとしてはミステリですが、中身は“おむっちゃん = 妹尾睦月 → せのお むつき → おむつ”と
朝永さんの恋愛模様にかなり比重が傾いています。
で、おむつの性格が、なかなか良い。
特殊なキャラクターという訳ではなくて、狂言回し的な、いわゆるフツーの女性です。
しかし考え方とか、行動とかが妙にざっくりしてる。
作者の我孫子武丸が女性だったら「この作者、女子校出身なのかな?」と考えるところですが
さすがに“武丸”だしねえ。
あ、「『女子校出身者は箱入りで清らか』と妄想する」人々にヒトコト言っときます。
女子校って、中に入るとかなーり雑駁よ。
皆様の周りで、「雑」かつ「下ネタが好き」かつ「大荷物を自分で持つ」さらに「くしゃみがでかい」女性がいたら
その人は間違いなく女子校出身者だ。
そして、ヒトサマの傷口をナイフでえぐるような毒を吐くのがお上手な人の、筈だ。
閑話休題。
おむつについて。
彼女の人となりを一番現しているのが、実はこの本の中ではなく同シリーズの
「人形は眠れない」の中にありまして。
(じゃあ「人形は眠れない」の感想を書けって?いや、だって「こたつで」がシリーズ1作目なんですもの)
「幼稚園の先生なんて、やっぱり子供が好きじゃないとつとまらないんでしょうね」
と聞かれ(おむつは幼稚園教諭)、
「好きな子供もいるし、嫌いな子供もいます。大人と同じですよ」
と、返す。
そして、答えたあとで
今までに答えたどの答えとも違っていたが、
口に出してみるとこれほどぴったりしていて自然な答はないような気がした。
なぜ今までこう答えなかったのか、分からないほどだ。
と自分で述懐する。
ね?なかなか良くないですか?おむっちゃん。
架空の人物なれど、彼女には幸せな人生を送って欲しいものだと願う私ですよ。
しかしおむつの最大の難点は、惜しむらしくはオトコの趣味が悪いことだ。
なんでよりにもよって、朝永さんのような生活力の無い、売れない芸人に恋をするのか・・・。
おむつこそが女子校出身に違いない。
オトコ慣れしていない女子校出身者はダメんずに引っかかりやすい。
世の女子高生よ!
大人になって自分で稼げるようになった時に、売れない芸人志望がいたら、即効で逃げろ!