都内で起きた不可解な連続殺人事件。容疑者もターゲットも不明。残された暗号から判明したのは、次の犯行場所が一流ホテル・コルテシア東京ということのみ。若き刑事・新田浩介は、ホテルマンに化けて潜入捜査に就くことを命じられる。彼を教育するのは、女性フロントクラークの山岸尚美。次から次へと怪しげな客たちが訪れる中、二人は真相に辿り着けるのか!?いま幕が開く傑作新シリーズ。
(「BOOK」データベースより)
「姉さん、事件です!」
東野圭吾版“HOTEL”
つい今ほど、過去のTVドラマ“HOTEL”をウィキペディアで調べたところ、あのドラマの主人公は 高嶋政伸演じる赤川一平クンではなく、松方弘樹演じる東堂マネージャーであると記載されていた。
え、え、そうなの?「姉さん、事件です!」って脇役の台詞ですか?
で、東野版“HOTEL”の「マスカレード・ホテル」ですが。
こちらもTVドラマのHOTELと同じく、高級ホテルに到来する様々なお客様とホテルマンの姿が描かれています。
あれね、お仕事紹介モノって面白いよね。特に舞台がホテルだったりすると、お客様のエピソードだけでネタには事欠かなそうですからね。
部屋の無料グレードアップをさせようとゴネる客や、お守りを忘れていった受験生、目の見えないフリをするご婦人、披露宴の新婦に近付くストーカー、etc.etc.
「昔、先輩からこんなふうに教わりました。ホテルに来る人々は、お客様という仮面を被っている、そのことを絶対に忘れてはならない、と—(中略)—ホテルマンはお客様の素顔を想像しつつも、その仮面を尊重しなければなりません。決して、剥がそうと思ってはなりません。ある意味お客様は、仮面舞踏会を楽しむためにホテルに来ておられるのですから」
トゥナイヤイヤイヤイヤイヤイヤ、ティア!
ってー。仮面舞踏会っていうとー。少年隊思い出すしー。
頭の中でグルグル廻りだしちゃう「仮面舞踏会」映像はもちろんザ・ベストテン。困る。
脳内から何とか少年隊を追い出して「マスカレード・ホテル」のもうひとつの見所はというと。
ホテルのフロントクラーク山岸尚美さんと、警視庁の刑事新田浩介さんのかけあい。
新田刑事はですね。都内で発生中の連続殺人事件を解決するために、ホテルマンとして潜入捜査しているのですよ。で、その補佐(もしくはお目付け役)として任命されたのが山岸さん。
ホテルの勤務なんてしたことありませんし、警視庁という職場は接客業とは相反するものがありますので、接客のプロ山岸さんとしては彼の立ち居振る舞いに最初はイライラしっぱなし。
それが日を追うにつれて段々と、お互いの職業意識を尊重しあって結束していく姿が、なかなか宜しゅうございます。
作者が東野圭吾ではなく有川浩だったら間違いなくきゅんきゅん街道を突っ走る流れだと思いますが、東野圭吾の場合にはちょいと匂わせるに留まるあたりが、んもう。焦らすわね。
「私の匂いがわかるんですか」
「それはもう」新田は肩をすくめた。「だって我々は、ずっと一緒にいたじゃないですか」
んもう。焦らすわねー圭吾ちゃんったら!
で、最後の見所というか。
この小説はミステリなんで、当然ミステリ要素ってもんがあるんですけれども。
殺人事件も(何回も)起こりますし、「殺人現場に残された暗号」なる、本格ミステリのエッセンスもちゃんと入ってますし。
まさか!の最後のドンデン返しも、きちんとご用意されてますし。
なのに。
何故か「マスカレード・ホテル」の謎解きは、妙にスルーして心に残らない…。どうしてでしょう?
読者の中で東野作品に対するハードルがブブカぐらいに上がっちゃってるせいなのか、それとも小説全体の『お仕事体験キッザニア☆』的要素に隠されてしまっているせいなのか。
それとも、小説を読みながら読者の脳内でエンドレスリピート再生される「仮面舞踏会」の呪いなのか。
トゥナイヤイヤイヤイヤイヤイヤ、ティア。
先日よりずっと私の脳内でヒガシとニッキとカッちゃんの小人が踊り狂っているので、あなたも共有させてしまおうとこのブログを書きました、はい。
そうです道連れです。
あなたがこのブログを読んで、少年隊が頭を駆け巡り離れなくなっても。
それがわたしのせいじゃない。東野圭吾のせいだ。
トゥナイヤイヤイヤイヤイヤイヤ、ティア。