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桜井信一「下剋上受験-両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!」

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目指せ桜蔭!昼はガテン系仕事、夜は娘と猛勉強、そして朝まで娘のための予習…わが子に全てを捧げた父親の壮絶記録。中学受験ブログ人気NO.1著者の書き下ろし。
(「BOOK」データベースより)

「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」は、「ビリギャル」という題名で映画化もされたので、ご存知の方も多いはず。
そのおよそ1年後に、この本が発刊されたのは、ご存知でない方もいるのでは?
 

「ビリギャル」の目指した慶応大学は、日本人のほぼ100%が知っている(多分)有名大学。
対して「下克上受験」の目指した桜蔭学園(中高一貫校)は、関東圏以外には知名度は低いかもしれません。
関東圏のなかでも極一部。中学受験を志した女子持ち家庭に限定されるので、日本国内のパーセンテージで言えばごくごく少数。
 

ですが、関東圏・娘持ち・中学受験を考えた家庭にとっては。
知らぬ者なし。学校名自体がひとつのシンボルとして扱われる、燦然と輝くポーラースター。それが桜蔭です。
 

桜蔭学園が良い学校であるか悪い学校であるかは別として。
偏差値で数値化して考えるならば、女子校としては文句なしのNo.1.他の学校とは群を抜いてトップに位置しています。
 

普通に子供を受験させようったって、そうそう気軽は目指すことすら出来ない学校。
その桜蔭を、受験しようと。
それも小学校5年生の夏から。(少なくとも東京では、中受の勉強は4年生~というか3年生終わりの2月から始めるのがセオリー)
しかもノー塾で、親子の独学で乗り切ろうと。
 

どう考えても無謀。
無謀の極み。三蔵法師が天竺を目指すよりまだ遠い、西遊記のほうがまだ楽な旅路。
 

その無謀な旅路を、娘と共に肉弾戦車隊のように駆け抜けた“中卒”のお父さんのお話です。

この本の中でお父さんは、自身のことを“中卒”と多用しています。
ですが“中学入試の受験勉強”に際しては、父親(および母親)が中卒である事実はマイナスではありません。
桜蔭はもちろん、中学入試って、親がそこそこ高学歴なくらいじゃ教えてあげられない特殊な世界なので。
(なまじ親がおベンキョできる家庭の場合、親が『自分方式』で教えてしまうのが困りモノと言われています)
 

「下剋上受験」で“中卒”がプラスに働いているポイント。

父親が“中卒”だから わからない事を素直にわからないと言える。
父親が“中卒”だから 子供と同じ目線で立ち向かえる。
父親が“中卒”だから “中卒”のデメリットを痛いほど知ることができる。
父親が“中卒”だから 自分を人柱にする覚悟ができる。
 

“中卒”の負のスパイラルを抜け出すために、人柱になろうと覚悟を決めたお父さん。桜蔭の受験を決めた2011年8月後半から、桜蔭受験当日の2013年2月1日まで、正に肉弾戦車隊の奮戦。
壮絶という言葉が足りないほどに。鬱病の診断されても精神安定剤バリバリ噛み砕きながら。
 

1年5ヶ月。つまり17ヶ月。17×30=510日。510×24=12240時間。12240×60=734400分。734400×60=44064000秒。
44,064,000秒間、ずーっとずーっとずーっと受験勉強。
単なる数字の計算じゃないよ。本当に44,064,000秒ずーっとずーっとずーっと受験勉強。少なくとも父親の方は。
付き合いや遊びや冠婚葬祭をallぶっちぎるのは当然としても、これだけのことをして寝る時間があるとは到底思えないという内容です。トイレもお風呂も勉強時間に含むのはあたり前田のクラッカー(古い)。
しかし一番気になるのは、この1年5ヶ月の間、おとうさんは仕事している暇はあったのでしょうか?
 

あ、だから本を出版したのか。
 

学歴主義の、いわゆるおベンキョが出来る出来ないとは関係なく、かなり地頭の良いおとうさん。
本当に『中卒のバカ』(作者曰く)であったなら、この創意工夫と論理的思考に長けた勉強の方向立てはできません。
溢れんばかりの情報と紙資料から、最適最短のルートを分析することも。
 

この親父さんは、なかなかの商売人ですな。
ガテン系の自営だとしたら、ひとり親方か、はたまたトラックの運転手か。個人事業主じゃなく法人成りしてる可能性も。
普通の会社勤めだとしたら、ここまで時間の融通をきかせることは到底、無理。
(経営者だとしてもこの期間は商売あがったりでしたでしょうが)
 

そうやって読み返してみると、なるほどと頷ける箇所がちらりほらり。
テキストのコピーをするために大型コピーを月24000円でリースするなんて、普通の個人じゃリース会社の与信が通らないよ?
 

この親父さんの、商売人フィルターの目を通したら。
作者が娘のことを真剣に思って桜蔭を目指したのは本当だとしても、それだけで終わりにする“ひとつを得ればそれで良い”人じゃない。
経験と得たスキルで、もう一個、さらにもう一個の得を求める貪欲さのある人だ。
 

「下剋上受験」の中で、作者は、親と子の係り方や、中学受験の今昔、受験勉強に何が必要か、具体的に何を学べば良いかを書いている。
それは、中学受験を控える子供を持つ親が求めていることの全て。
そして、自分達も「下剋上」したいという親達が、この親父さんの教えを求めるに違いない。
 

つまり、この本は“中卒”を看板に掲げつつ、親業をコーチングする商売の仮想店舗であったのだ。やられた。
 

《2017年1月追記》
2017年1月13日の夜10時から、TBS金曜ドラマで「下剋上受験」がドラマになるそうです。
関東ローカルな題材で、日本全国放送して観る人がいるのか?と疑問でしたが、おかあさん役のキャストが深キョンこと深田恭子さんとのこと。
深キョンが出るならば、観ねばなるまい。観るのだ観るのだ。

しかし深田恭子、昔は援助交際やってエイズにかかって死んじゃったっていうのに(ドラマですよ勿論)今じゃお母さん役ですか。大きくなったのう、深キョン(感涙)

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