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河野芳英「ピーターラビットの世界へ」

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ビアトリクス・ポター生誕150周年記念刊行!とにかく可愛い!!世界一有名なウサギ、ピーターラビットをはじめ、時を超えて親しまれるポター作品。作品誕生秘話、知られざる謎に迫るファン待望の書。初公開のイラスト多数!
(「BOOK」データベースより)

先日、当ブログで「ピーターラビットのおはなし」をご紹介した際に、公式サイトの登場人物(動物)紹介でピーターのパパがパイの姿であるとお話いたしました。

そして、公式サイトに掲載されているパパパイの元画像がピーターラビットシリーズ全20冊を読んでもどこにも見つからず、不完全燃焼であるともお話したとおり。

それでですね。実は私、結構粘着質なんですよ。

公式サイトのパパパイがいったい何処からやってきたものなのか、気になって気になって仕方がない。

そこで知人の図書館員に相談したところ、いやあ図書館の人ってすごいですね! パパパイの秘密が載っている研究書をご紹介してくださいました。

その本がこちら「ピーターラビットの世界へ」でございます。

著者の河野芳英さんは大東文化大学の英米文学科教授。専門はイギリス児童文学、特にビアトリクス・ポター研究、とのこと。マジ僕のために研究してくれたようなもの。

ありがとう河野先生。大東文化大学といえば箱根駅伝しか印象にありませんでしたが、 今後は私の中で 大東文化大学は箱根駅伝とピーターラビットの大学として認識されることでしょう。河野先生にとってはどうでもいい話でございましょうが。

余談は終わらせ、さて皆の衆お立会い!パパパイの謎は果たして本書で解明されるのでしょうか!?

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みんな喜べ!私は喜ぶ!パパパイの謎、本書で解明されました!

もともと「ピーターラビットのおはなし」が 世界で最初に出版された、1902年のフレデリック・ウォーン社出版第1刷の中には、挿絵の中にパパパイの絵がちゃんと描かれていたらしいのです(元絵の詳細は不明)

しかしながら子供の読者が怖がるという理由により、1903年の第5刷以降からパパパイが削除されてしまったらしいのですね。教育上の理由なのね。とはいえ文字としてはパパのパイ化が記述されているので、挿絵だけカットしても片手落ちなんじゃないかと思わないでもないわ。オトナの考える情操教育なんてそんなもんよね(八つ当たり気味に皮肉)

ってことは、今日本で出版されている 福音館書店版のピーターラビットシリーズは、パパパイがカットされた第5刷以降の挿絵を採用しているのですね。だからパパパイの絵が見当たらなかったのか。

でも、もともとはパパがどのような形で登場していたのか、気になる人も多いでしょう?

その後、2002年のピーターラビットシリーズ出版100周年記念版の限定ですが、パパパイが復活いたしております!

その絵がこちら。

…ただこの挿絵はビアトリクス・ポターのタッチとはかなりかけ離れて、どちらかというとアメーリカーンな絵面。後ろの子供が控え目な幽霊のようだわ。

そしてさらにその10年後、2012年の出版110周年記念版・2013年のジョージ王子(ダイアナ妃の孫ですね)誕生記念版で、別の挿絵も登場しております。

その絵がこちら。

どうやらこっちの絵の方が、もともとの挿絵に近い… 気がします。 実際のところどうだかは分かりません。

2002年版も2012年版も日本では発売されておらず(多分)、国は不明なれど海外版ピーターラビットシリーズを所有しているマダムKの所有本でもパパパイの姿はなかったので(調べてくれてありがとうKさん)、 今後 日本国内でピーターラビットの絵本が版を重ねても、 パパパイが登場する見込みは薄いのではないかと推測されます。

この「ピーターラビットの世界へ」ではパパパイの謎以外にもピーターラビットシリーズおよびビアトリクス・ポター作品についてと、ビアトリクス・ポターの人となりや生涯について詳しく(多分)楽しくご紹介されておりますので、ピーターラビット好きの御仁は読んでみるととてもよろしいと思うわ。でも私は謎が解明されただけで満足だわ。

河野先生ありがとう。来年に大東文化大学が箱根駅伝に登場したら応援するから、 予選会頑張ってねとお伝えください。

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