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有川浩「フリーター、家を買う。」

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この本を、世のシューカツ者必読図書と勝手認定。

理由は後述。

就職先を3カ月で辞めて以来、自堕落気侭に親の臑を齧って暮らす“甘ったれ”25歳が、母親の病を機に一念発起。バイトに精を出し、職探しに、大切な人を救うために、奔走する。本当にやりたい仕事って?やり甲斐って?自問しながら主人公が成長する過程と、壊れかけた家族の再生を描く、愛と勇気と希望が結晶となったベストセラー長篇小説。
(「BOOK」データベースより)

「図書館戦争」で人気、それ以外にもTVドラマや映画やアニメと、バリバリベストセラー量産作家の有川浩。

私しばらくは男性だと思ってました。どの本も乙女チックワールド全開なので、女性だと知って一安心しました。だってこれを男が書いてると思ったら・・・ちょっと怖いよ。

乙女きゅんきゅん話に弱い人は「全力で逃げてー!」のきゅんきゅん工場、有川浩。

この「フリーター、家を買う。」は、比較的きゅん濃度が弱めなので、きゅんきゅんアレルギーがある人でも比較的とっつきやすいかもしれません。

(とはいえ地味なきゅん成分は健在だから取り扱い要注意よ!)

「フリーター、家を買う。」は、元フリーター男子の一念発起成長譚です。

全くの駄目駄目ちゃんフリーターの誠治くん。母親のウツ病罹患をなんとかせねばと、肉体労働アルバイトしながら再就職を目指す、レッツ労働賛歌。

まあ、今日5/1はメーデーだからね。「ああ、勤労って素晴しい!」と、このブログで謳うにも丁度宜しい日です。あれちょっと違うかな。だいぶ違うな。

この本自体は非常に面白かったし、さわやかな読後感でとても良い、です。

しかしながら、小説の前半と後半とで、誠治君の“ぶっかえり”っぷりに違和感ありあり。

(ぶっかえりとは、歌舞伎での早変わり手法のことです)

フリーター、というより半ニートのマイルームヒキコモラー誠治くん。

それが、彼が無事に土建会社に雇用されたとたんに、超やり手ビジネスマンに変貌しちゃうんですよ。

それまで会社で使っていた台帳はあっというまにデータベース化しちゃうわ、そのデータから建築現場の工程管理もブラッシュアップしちゃうわ、パソコン買った途端にイントラ整備しちゃうわ、合間に簿記の勉強して日商簿記2級まで所得しちゃうわ、営業畑ではスーツのまま現場入りしちゃう「24時間働けますかbyリゲイン」数字の為なら汚れも厭わぬイケイケドンドン営業マン。

・・・そんな訳あるかいっ!

今まで殆どニートの駄目駄目プーが、いくら心を入れ替えたからといっても変わり身が早すぎる。

正社員になって突然、現場&営業&総務&経理&人事&労務の全般をパーフェクトにこなせる能力がある人材だったら、どんな企業であろうとも見逃す筈がないです。

大学の就職活動中でも、新卒で入った会社の新人研修時でも、例えプー時代であっても、そんなお宝人材を放ったらかしにしておくほど経営者はボンクラじゃないよ。

まあ、これはフリーターが夢見るおとぎ話だと思いましょう。

ここからが本題。

もしこのブログを読んでいる中で、これから就職活動をしようと思っている人がいたら、この本は絶対に読むべきです。

さくらは現在、IT系会社で経理事務のお仕事をしておりますが、稀に人事系の業務にも携わる機会があります。

あくまでもお手伝いレベルですが、その関係で、そこそこの数の求人応募を見てきました。

あのねー、いろーんな人がいるのよ実際。「フリーター、家を買う。」の、フリーター時代の誠治くんや他の応募者と同じ、シューカツ時の悪い例を体現する人が。

何故に履歴書を使いまわす?別の会社から不採用になった所以だと、一発でわかるよ?

何故に前職の悪口を面接で語る?そもそも悪口の前に、職務経歴書にばっちり取引先の案件名書いてるけど、雇用時の秘密保持契約ってしてなかったの?

何故に「御社の成長性を感じ~」と言えるの?ウチの主力製品も把握してなかったのに?

ネット求人情報サイトに求人情報をのせると、本当に来るんですこういうのがたーくさん。

Web経由で応募してるんだからインターネット使えるはずなのに、会社のホームページも見てきてない応募者とかね。君の目の前にある箱は一体なんなんだい?

この小説を読みながら、シューカツ系のシーンでは頷ける点が多々あり、ウンウンと首がもげるほど頷きっぱなし。

これからシューカツにいそしむ大学生諸君。

及び、自分の転職活動がイマイチうまくいってない諸君。

シューカツマニュアル本も良いが、この本も読んでみたまえ。読みやすいから。

一冊の本を読んだおかげで、目の前の石に蹴つまずく失敗を回避できる可能性もある、かもしれない。諸君のシューカツ成功を祈る。

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