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伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」

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嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった…はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス。
(「BOOK」データベースより)

ここ10年ほど前から日本の現代作家にハマるきっかけとなった作家の一人が伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)であります。

ちなみに、転機のきっかけとなった他の作家の名をあげれば石田衣良(いしだ・いら)かな。
そして、さくら個人的なミステリ回帰のきっかけとなったのが石持浅海(いしもち・あさみ)。

「い」のブーム来る!今「い」が熱い!

さてさて、その熱い「い」伊坂幸太郎の「陽気なギャングが地球を回す」

内容は一言で片付ければクライム・サスペンスです。

ですが、実際にはこの小説の中ではクライム的要素は、結構どうーでも良いかもしれない。
軽妙洒脱な台詞と、コメディ映画チックなハチャメチャ感で、実際にはありえない銀行強盗が行なわれます。

「陽気なギャング・・・」にリアリティとか、実社会との整合性を求めてはいけません。

銀行強盗が襲撃した後の、警察による執念の捜査などは、横山秀夫にまかせておきましょう。

伊坂ワールドではいくら銀行が強盗にあっても、現金輸送車がジャックされても、旧パチンコ店の廃屋で拉致監禁があっても傷害事件があっても、ついでに(おそらく以前は)一般市民が拳銃を所有していても、警察が逮捕に乗り込んでくることはないのです。

この警察の働かなさっぷりは、週刊文春(センテンススプリング)で報道されたら大問題になるレベルですが、まあ良いです。良いんです。それが伊坂ワールドです。

銀行強盗グループの4名、それぞれは、何らかの特殊能力の持ち主として存在します。

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。

・・・しかし、この中の演説の達人・響野。演説の達人って特殊能力?

しかも特に達人レベルな感じはせず、どちらかと言えば単なるおしゃべり男・・・例えて言うなら明石家さんま・・・いやいやきっと特殊能力。あのエンドレスマシンガントークはきっと特殊能力に違いない。

この響野さんがいるからこそ、軽妙洒脱な伊坂ワールドが展開されるのですけれどね。

会話がなかったら伊坂幸太郎の小説、まわっていかないから。

この「陽気なギャングが地球を回す」、きっと映画になったらすっごくお洒落ですっごく格好良い映画ができるんじゃないかと思います。

誰か映画化して下さい。

2006年の過去は、わ、わすれて。

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