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ユージーン・トリビザス,ヘレン・オクセンバリー「3びきのかわいいオオカミ」

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3匹のかわいい狼は広い世界に出ていくことになりました。「でも、悪いおおブタには気をつけるのよ」 狼たちはれんがで家を作ったのに、とんでもないわるブタはそれを壊して…。「3匹の子豚」の素敵なパロディー。
(「BOOK」データベースより)

時代は変わったなあと感じるとき。
それは、絵本を読んだとき。
 

…かもしれない(ちょっと弱気)
 

グリム童話の昔から、オオカミは悪者だっていうのは定評ですよね?
赤ずきんちゃん然り、七匹のこやぎ然り、ピンクレディーだって『男はオオカミなのよ、気をつけなさい♪』と歌ってる。
 

有名なおとぎ話『3びきのこぶた』でも、オオカミがこぶたを食べてしまおうと、彼等の作った家をぶちこわしておりました。
オオカミって、こっわ~い!
 

でも、21世紀のオオカミは、ちょっと違う。
それに対するブタも、ちょっと違う。

ねっ?可愛げのかけらも見られない、夜の新宿で出くわしたくない面構えのブタでしょ?
 

ユージーン・トリビザスの「3びきのかわいいオオカミ」では、母から自立した3びきのいたいけなオオカミたちに、ブタが襲い掛かってくるのです。

「すみません。そのれんがを すこし わけてくれませんか?」
3びきの オオカミは、カンガルーに たのみました。

オオカミさんたち偉いですね。ハナから、藁だの木片だののチャチな建築はいたしませんよ。
きちんとレンガで煙突付のしっかりした自宅を作成。
悪い大ブタが来ても、最初からレンガだったら話が終わっちゃうんじゃないの?

「そんなら おれさまが ふうーっと ふいて、ぷうーっと ふいて、おまえたちの うちを ぶちこわしてやるぞ!」
ブタは そういって、ふうーっと ふいたり、ぷうーっと ふいたち しはじめましたが、うちは こわれません。

『3びきのこぶた』だったら、レンガ造りの家はオオカミもあきらめて帰ってしまいました。
ところが21世紀の大ブタ、粘り腰。
 

なんと巨大なハンマーを持ってきて、レンガの家を叩き壊してしまいました!
 

バッ…バイオレンス!

オオカミもブタに食べられてしまう訳にはいきませんので(あれ?そもそもどうしてブタはオオカミを襲っているんだろう?)命からがら逃げ出して、今度はコンクリート造りの家を建てました。
 

そしたら今度は大ブタ、電気ドリルを持ってきて家を解体してしまいました!
 

ヘッ…ヘーベルハウスが…っ!!
 

もうすっかり小鳩のように震えるオオカミたち。

もっと じょうぶな うちを たてなくちゃね」
3びきは、かたく こころに きめました。ちょうど そのとき、てつじょうもうや てっこつや てっぱんや おもい てつの なんきんじょうを つんだ トラックが みちを はしってきました。

オオカミたちの建築技術もまた素晴らしい。
鉄骨とコンクリと鉄条網その他モロモロで、要塞のような家を建ててしまいます。
これマジすげえ。パネぇ。大ブタ監視用の見張り台は、まるで旧東ドイツの鉄のカーテン。
 

だが!大ブタも!あきらめなかった!
 

次に持ってきたのは、ダイナマイト。
導火線に火をつけて…。

うちは どっかーんと ふっとんで しまいました。

くっ、くっ、黒部ダム…!!!
 

さてそれで、どうなったのかというと。
基本的に子供向けの絵本なんでね。そりゃハッピーエンドで終わりますよ。
どうハッピーエンドになったのかというのは、絵本を読んでご確認ください。
 

最後はオオカミたちと大ブタは、なかよく『かごめ かごめ かごのなかの ブタは』と遊んでいるんですけどね。
作者ユージーン・トリビザスの住むギリシャで『かごめかごめ』なる遊びがあるのかどうかは、それは私にもわからない。
 

しかし、いや、時代も変わったもんだなあ~。
絵本を読みながら、世の進化に慨嘆する私です。
 

いまならピンクレディーも『男は豚野郎なのよ、気をつけなさい♪』と歌うかもしれない。

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