大人のための絵本作家として世界的なカルト・アーティストであるエドワード・ゴーリー。子どもたちが恐ろしい運命に出会うさまをアルファベットの走馬灯にのせて独自の線画で描いたゴーリーの代表作。
(「BOOK」データベースより)
ゴーリーの絵本はどれもこれも、おっかなさハンパない。
マジでパネーっすゴーリー先生。
Aはエイミー かいだんおちた
Bはベイジル くまにやられた
Cはクララ やつれおとろえ
絵本の1ページ目の最初から、Aのエイミーちゃん死んでます。
見開きでひとりずつ。文章二行、絵は一枚。
理由も詳細も影響も余韻もなく、ただあっさりと死んでます。
これがA(エイミーちゃん)からZ(ジラーちゃん)まで、アルファベット26文字。
都合26名の子供たちが病死・凍死・圧死・転落死・窒息死・溺死・殺害等々で死亡。なにこのダークなマザーグース。
ゴーリーは「アルファベットブック」と呼ばれる類の、頭文字ABCを並べていく形式の本をいくつかアメリカで出版しているそうなのですが、作者曰く。
「迷ったら、アルファベットをやる。素材をまとめる上でこんないい手はない」
…雑っ!
本一冊“売らんかな”で、26人を、殺すなーーーーーっ!
この中で一番やりたくない死に方と言ったら、Xザクシーズの『いたいいたいねずみのは』ですかね。ネズミの大群に襲われてかじられて死ぬなんて嫌です。
マヌケで困るのはEアーネストの『モモでちっそく』かな。桃の丸呑みなんてするから…。
不思議なのがKケイトの『まさかりぐさり』ちょっと待って、この絵のマサカリ大きすぎないか?小学校低学年程度の平均身長が120cmくらいだとすると、マサカリ150cmくらいあるぞ?どこの巨人用だ?
Zジラーの『ジンをふかざけ』は、中では比較的良い死に方なのか…いや良くはないな、うん。
表紙の男はどこにも登場して来ないし、タイトルの“ギャシュリークラム”ってそもそも誰よ?の回答もない。
ただただひたすらに、26人の子供が死んでいくだけの絵本です。
絵はお世辞にもキュートとは言えないし、内容もほっこりとは対極にある絵本ですが。
何だかねえ。クセになっちゃうんですよゴーリー先生の絵本って。
クサヤみたいに。納豆みたいに。ブルーチーズみたいに。
好き嫌いが非常に分かれそうな、ゴーリー先生の「ギャシュリークラムのちびっ子たち」。
苦手な向きには無理強いしないけど、好きになったら、クセになるかも。