堂場瞬一「大連合」

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俺たちが組めば、甲子園は夢じゃない!
不祥事と交通事故で突如部員が足りなくなった二つの高校が連合チームを組み、甲子園出場に挑む姿を活写。胸熱の高校野球小説!
(実業之日本社「大連合」内容紹介より)

同じ県ではあるものの、別々の2つの高校野球部が合同チームを作って、甲子園に望みをかけて地区大会に出場する。

…そんなことできるの?

学校が別々なのに、一緒に出場しちゃっていいの?なんかすっごい特別ルールとかを堂場瞬一がフィクションで作って、ありえないファンタジックな「大連合」チームを作るのかしら?

と、読む前にはそう思っていました。

しかしながら、今は複数校の野球部が連合チームで出場するって珍しくはないそうなんですね。2012年の大会から連合チーム出場が認められるようになり、2021年夏の甲子園では過去最多の107チームが参加したそうです。まーびっくり。存じませんでしたわ。

連合チーム……県内でも、部員不足で試合ができないチーム同士が組んで大会に出るのは珍しくない。その数は年々増えており、今は毎年数チームが参加している。高校野球でも、格差は広がる一方なのだ。甲子園常連校には各地から選手が集まってくるので、人数が多すぎて練習や試合のスケジュールを調整するのも大変な一方、「野球部」の看板を掲げてはいるものの、部員不足で満足にキャッチボールさえできないところもある。

とはいえ、リアルでもこの小説「大連合」でも、未だかつて連合チームが甲子園まで行けたことはないそうです。

ふーんやっぱり別々の学校の合同チームはどうしても弱くなっちゃうのかしらね。箱根駅伝の学連選抜(いや今は学生連合か)チームも優勝するのは難しいものね。

さて。「大連合」で連合チームを形成いたしまするは、元々は強豪で甲子園常連校だった新潟県内の2校。うち1校は不運なバス事故で部員の半数以上が負傷してしまった新潟成南高校。もう1校は、昨年に起こった監督のパワハラ問題で部員の大半が退部してしまった鳥屋野高校。

それぞれポテンシャルは秘めているものの、はてさて、この連合チームは甲子園に出場することができるか否か。

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リアルでは未だ成し遂げられていないものを、小説の中で達成する。

かつで堂場瞬一は「チーム」においてそれを検証したことがありました。箱根駅伝の学連選抜チームが優勝を目指すってやつね。

あちらは結局のところ優勝できず、リアルを踏襲したんですけど(未読の人ネタバレすみません)

さて今回はどうでしょう。あくまでもリアルに準ずるのか、それとも日本全国に数多ある連合チームの高校球児たちに、ファンタジックな甲子園の夢を与えてあげるのか。

…それは読んでのお楽しみでございます。

「大人は、高校野球を勘違いしてるんだ」
「勘違い?」
「何か、スポーツの中でも特別なもので、高校のスポーツの代表といえば野球、みたいな。本当はそんなことないだろう?サッカーだって陸上だってあるし」
「ああ。でも。野球が特別だと思う人が多いのは分かるよ」
「その特別な野球を守って欲しい……そうやって訴えれば、大人はぐっとくるんだよ。計算通りだ」
「お前、起業したら成功するかもな」里田が溜息をついた。

「大連合」では成南高校の里田くんと鳥屋野高校の尾沢くんが主軸となって話が進みますが、話が進むにつれて2人の影が薄まる薄まる。

今回の小説では、堂場モノでよく出てくる「ビッグマウス」「ワリくう委員長」とか「飄々おじさん」などの飛び抜けたキャラは登場しません。

強いて言えば飄々おじさんは若林監督でしょうか。とはいえ若林監督、さほどおじさんという訳でもなし。里田くんはビッグマウスほどにはトンガってないし。

だからと言って「大連合」がキャラ薄くてつまらないという訳ではありません。野村監督もびっくりの驚異の観察眼を持つスコアラーの美優ちゃんとか、隠し玉(野球ですから)で登場する謎の彼とか、話にはさほどからんでこないのにラストで青春感を爆発させる坂上くんとか、最後の最後のMVPはダークホースの三宅くんがおいしいところ持っていくとか。主要人物2人の影が薄い…うっうっうっ。あんなに頑張ってきたのに。

しかしですね。

別に、誰か1人のキャラが突出していなくても、別にそりゃ構わないんですよ。

だってほら、野球はチーム競技ですから。

「整列だ!でもその前に…」
全員の目が石川に注がれる。石川が満面の笑みを浮かべ、「1+1は?」と叫ぶ。
「無限大!」

すでに読み終わってラストを知っている私がこう言うのも何ですが、大連合の成南&鳥屋野連合チームには、是非とも甲子園に行って頂きたいものですね。

行くだけじゃなくて、いっそのこと甲子園で優勝しちゃってもよろしいのよ。

それはきっと、日本各地にある複数校の連合チームを組んでいる高校球児たちに夢を与えるに違いない。

長い人生の中のたった3年間、ファンタスティックな夢を見たってそれはいいと思うんです

だって鳥屋野の尾沢くんが何と言おうと、彼らにとって高校野球は特別なものだから。

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レビュアー: さくら
さくら
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