いえでもまちでも、見ない日はないかがみ。少女とかがみをめぐるふしぎなお話。恩田陸と樋口佳絵が描く身近にひそむ恐怖の世界。かがみを見るたびにこわさがよみがえる。
(絵本ナビより)
当代の人気作家5人と絵本作家がタッグを組んで、子ども向けの「怖い」絵本に挑戦する「怪談えほん」シリーズ。
これまで さくらが読んできた「怪談えほん」シリーズは、全10冊のうち7冊。
(うち くうきにんげん とちょうつがい きいきい は過去の書評をご覧ください)
この「かがみのなか」は、まだ読んでない3冊を勘定に入れたとしても、シリーズの中では“怖い”レベルが上から2番目だと思ってます。
不安とか、ゾクゾク、とかやんわり遠まわしな怖さじゃなくって、ストレートな怖さ。
マジ怖え~っすよ鏡。「かがみのなか」。
子供の頃に、誰しも想像した恐怖。
鏡の向こうにいる自分自身が、自分とは違った動き方をして、狂った笑顔で笑いかけてくるんじゃないだろうか。
冷たく硬い鏡が溶けて、鏡の中に引きずり込まれてしまうんじゃないだろうか。
もしあなたが、大人になっても、子供時代の恐怖が忘れられない人でしたら。
この絵本は読まないほうがいい。
恐れていたことが、恐れていたように、起こります。
「かがみのなか」で怖いのは、絵です。なんといっても、絵。鏡の向こう側で変化する女の子の笑顔が、こ、怖い・・・。
鏡の向こうの自分が変わる、と言って思い出すのは志村けんの鏡コントですが。あれは『ドリフ大爆笑』か『バカ殿様』か。
しかし「かがみのなか」を読んだおかげで、鏡コントの志村けんの笑顔ですらホラーちっくに感じてしまう余分なオマケまでついちゃったよ。
もうバカ殿を観られないよ!娘が観てたらチャンネル変えちゃうよ!家庭争議の元にすらなってしまいそうな、ちっくしょう、悪い本を読んだもんだぜ。
「かがみのなか」を読んだ後では、鏡を見るのがちょっと怖くなる。
鏡だけじゃなくって、顔が映るものはほら、あっちにもこっちにも。
銀色スプーンに映る自分も。雨あがりの水たまりも。スマホの黒い画面に映る自分の顔も。
鏡の向こうの自分の、瞳孔が小さくなっていったらどうしよう。
鏡の前で笑ったときに、裂けるほどの口が開いていったらどうしよう。
鏡の向こうの自分が、笑いはじめたらどうしよう。
子供時代の恐怖が忘れられない人は、この絵本を読まないほうがいい。
子供時代の怖い思い出を大分忘れていた私ですら、昔の恐怖を思い出してしまったくらいだから。
ちっくしょう、悪い本を読んだもんだぜ。
ちなみに。
「怪談えほん」シリーズの中で、この本が2番目に怖いと上記で書きましたが。
じゃあ1番目は?と聞かれたら。
あるんです。
これより怖いの。
「怪談えほん」断トツ一等賞で怖い絵本が。
それは何かと聞かれたら。
それは・・・
待って・・・
怖さに立ち向かう気力を振り絞るから、待って・・・