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阿刀田高「脳みその研究」

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ある日、俺は脳みその変化に気づいた!
60歳を前に、急に細かい記憶力がよくなった男を描く表題作ほか、幻想的な「海の中道」、映画より恐い「裏窓」など9つの短篇
(文藝春秋BOOKS 内容紹介より)

いま私、とっても読みたい本がありまして。

阿刀田高の短編なんですが、どなたか題名を教えては頂けないものでしょうか。

阿刀田高といえば、和製“奇妙な味”の書き手として有名なお方。“奇妙な味”というのは、以前「あなたに似た人」でもお話いたしましたわよね。

その阿刀田さん、かつては日本ペンクラブの会長さんを努めてらしたり、旭日章をもらったりして、まーおえらいさーん。

よく昭和の作家像として想像される(私だけ?)銀座の文壇バーでブランデーグラスをクルクルしてそうな、ちょい昔の小説家イメージがぴったりくる作家さんです。こういう言い方も失礼かしら。

で、私、むかし阿刀田高にどっぷりハマった時期がございまして。本棚にズラリと並んだ阿刀田作品、ちょー読んだちょーちょー読んだ。しかし、今では全て処分してしまい、我が家には一冊も残っておりません。

処分した本って、10年たつとまた読み返したくなるんだよなー。

後でするから後悔。タイムマシンに乗って10年前の自分に「ちょっと待て!古本屋に売るのはちょっと待て!」と言いたいわ。

過去の私を心で叱りつつ、阿刀田高のご紹介。

父の寝顔をうかがい、ふいに笑いが消えた。
——この人は、姉と妹と、きょうだいを妻にしたんだ——
なにかしら父だけが知っている共通なものがそこにはあったのではないのか。たとえば……語るには少し隠微なことがらにおいて……。

「脳みその研究」は、“奇妙な味”の短編集としては比較的あたらしめの書籍です。新しいとは言っても、21世紀には入ったよ、って位の新しさだけどね。全然新しくはないか。

本家“奇妙な味”のダールやサキに比べて、和製“奇妙な味”の阿刀田作品には、いつもどこか艶っぽい匂いがただよっています。なんというか『オール讀物』感というか。偏見でしょうか。

例えば、収録作品『兄弟姉妹(はらから)』は、温泉旅行に出かけた異母兄弟の話。兄弟それぞれの母は姉妹です。姉が死に、妹が後添いになったのね。

異母兄弟とはいえ比較的血は濃いのに、ずっと似ているところがないと感じていた二人。でも、温泉にゆっくり浸かって、風呂上りにお互いの裸を見比べてみれば。

……まさに兄弟!そっくり!

えーと、どこがかって?いや貴方それを私に言わせるの?

そして主人公が父の来し方を振り返り、上記の引用文につながるのです。ねっ?『オール讀物』感、納得しちゃうでしょ?

艶っぽい要素は皆無だけど、代わりにオトナのお遊び感を感じる作品が『応久礼を捜せ』

主人公が捜しているのは殺し屋。捜すヒントは、とある少女がくれた一枚のメモ。

応久礼という名前と、どうやらそこにいるらしい住所が書かれたメモを頼りに、主人公は東京都港区内を必死こいて探索するのです。

で、主人公は結局、どうやって殺し屋を見つけたと思う?

少女がくれたメモには応久礼の名前と住所が最後まできちんと記してあった。つまり応久礼・港区芝××。わからないかなあ。オー・キュウ・レイ・ミ・ナ・ト・ク・シ・バ××と読めた。090371948……。あなたは090で始まる十一桁の番号に思い当たるものがない?それだよ、それ。

オトナのお遊びスパイスと、ちょいとセクシャルなフレーバーの“奇妙な味”。自分自身が大人になってから、もう一回味わいなおしたい味なんだよなあ。

冒頭の話に戻りますが、どなたか阿刀田高の短編を、ご存知じゃないですか?

“怒り”をエネルギーにして加熱する調理器具の話。ひとつは炊飯器、もうひとつはカレー鍋。

旅行先で食事にありつこうとした夫婦が、その調理器具でカレーを作るために、ある方法で“怒ら”されるという話なのですが…。

ちょっと艶っぽいオチの、お気に入り阿刀田短編。キーワードは『メッコ飯』

ご存知の方、さくらまでプリーズ・プリーズ・テル・ミー・ナウ!

《7月16日追記》
ブログをご覧頂いた方より「食べられた男」にあるんじゃね?とご教授頂きました。どうやら収録作の「カレー&ライス」でビンゴっぽいです。Iさんありがとう!

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