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たばたせいいち「さっちゃんのまほうのて」

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先天性四肢欠損という障害を負って生まれたさっちゃん。傷つきながらも右手の指がないという障害を受けいれ、力強く歩き始める。
(偕成社内容紹介より)

さっちゃんが よろこんでくれるといいな! にほんじゅうのこどもたちが、さっちゃんのこと すきになってくれると もっといいな!
(「さっちゃんへ——えかきのおじさんより」田畑精一)

昨年2015年に発売25周年を迎えたロングセラー絵本。幼稚園ママ&保育園ママの間ではすっごく有名な絵本です。
PTAの読み聞かせ会などでは、どこでも一度は登場する絵本じゃないでしょうか。
しかし絵本を読み聞かせるお母さん方、もれなく号泣。上手に読み聞かせにるには強い克己心が必要な、なかなかに難易度の高い絵本であります。

さっちゃんは ハーハー あらいいきをして たっています。
めが ギラギラ しています。
「おかあさん、さちこのては どうしてみんなとちがうの?
 どうしてみんなみたいに ゆびが ないの?どうしてなの?」

さっちゃんには生まれつき右手の指がありません。
幼稚園でままごとママ役の取り合いでケンカになったお友達から『てのないおかあさんなんて変だもん』と言われるさっちゃん。
これまでさして気にとめていなかった自分の障がいを、ハッキリと認識させられます。
 

これね。お友達がイジワルだとかじゃないと思うんです。
この本は『先天性四肢障害児父母の会』が絵本作家の田畑精一氏に制作を依頼したものらしいのですが、その製作意図というのが“我が子に障害をどう伝えるか”という悩みに答えるための絵本だそうなんですね。
障がい者の存在を認知してもらうための絵本じゃなくて。いや、その意図も当然あるだろうけどね。

生まれつきの障がいを持った子供にとって、自分の身体が他者と違うという事実を知るのって、案外難しいのかもしれない。その子にとっては障がいがある自分の身体が“あたりまえ”だから。
頭で分かることと、胸に刻むことって違うしね。
それを受け入れることって、さらに難しいだろうしね。
 

幼稚園のお友達に限らず、健常者からの心無い言葉も、これからの人生でいくらでも受けることがあるだろうと。
全てオッケーオールハッピーじゃないんだよ、と、伝えておく意味もあると思うのです。
 

さくらの娘が産まれた時、看護婦さんが立会いしてた旦那に産まれたてホヤホヤの赤ンぼを持ってきて『ハイ指数えますよ~、右手が、1,2,3,4,5、左手が…』と、四肢の指をまず見せたそうです。
何よりもまず最初に指の数を数えられたことが、未だに話に出てきます。
その度に思います。さっちゃんのお父さんとお母さんは、辛かっただろうなあと。

「しょうがくせいになったら、さっちゃんのゆび、みんなみたいにはえてくる?」
さっちゃんは おかあさんのかおを じっと みつめて、ききました。

この台詞をスムーズに読み聞かせられるお母さんがいたら、プロ。そのお母さんは読み聞かせプロフェッショナルだ。

お友達とケンカをした日から、さっちゃんは幼稚園に行かなくなります。
でもね、そんなさっちゃんを勇気付けるお父さんが素敵なの。こんなお父さん、とっても良いのよ。

さっちゃんが、ぽつんと いいました。
「おとうさん。さっちゃんも、おかあさんに なれるかな。」
おとうさんは びっくりして、さっちゃんのかおを のぞきこみました。
「さっちゃん、ゆびが なくても おかあさんに なれるかな。」
「なあんだ、さちこは そんなこと しんぱいしてたのか。
 なれるとも、さちこは すてきなおかあさんに なれるぞ。
 だれにもまけないおかあさんに なれるぞ」
おとうさんは、さっちゃんのてを おおきく ふって いいました。
「それにね さちこ、こうして さちこと てを つないで あるいていると、とっても ふしぎな ちからが さちこのてから やってきて、おとうさんの からだ いっぱいに なるんだ。さちこの ては まるで まほうのてだね。」

お父さんの言葉や、家に来た友達や幼稚園の先生の言葉より、さっちゃんはまた、元気に幼稚園に通うようになります。
障がいがあってもなくても、さっちゃんはさっちゃん。
さっちゃんの特別な手は、神さまがくれたまほうの手。
 

もしさっちゃんが実在の人物だったとしたら、20代後半から30歳くらいになってますかね。
さっちゃんは大きくなって、素敵なお母さんになれたかな?
別に子供を産むだけが女性の人生じゃないので、お母さんになったかどうかはこの際どっちでも良いです。でもきっと、もしさっちゃんが実在していたら、素敵な女性になっているだろうなあ。だと良いなあ。
人から認められて、人を認めることができる女性が、素敵でない筈がない。

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