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筒井ともみ「食べる女」

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ひとはおいしい食事をすると元気になる。いとしいセックスをするとやさしくなれる―。台所で立ったままかきこむ玉子かけご飯、男が作ってくれる新鮮な魚料理、夫を見返すために作るこってりした肉じゃが、祖母お手製のおはぎ、結婚前に父と囲むつくね鍋…。おいしい食べ物の数だけ、おいしい恋がある。清清しいエロスも心地よい、愛する力が湧きだす物語をどうぞ召し上がれ。
(「BOOK」データベースより)


 

「スローフード・スローセックス宣言」
 

「食べる女」巻頭ページに書いてある宣言。
ほ、ほう。そうですか(汗)
 

食とセックス。どちらも人間の根源的な欲求ではありますが、実際のところ食べないと死ぬけどセックスしなくても死なないよなー、と思う私はもう枯れているのか?
という訳で、冒頭の「スローフード・スローセックス宣言」自体には同意いたしかねる部分もあります。
しかしながら、まずはここでは『食べる』が中心。食べよう。食べよう。さあ食べよう。
 

だって、この本には『食べる』ものが沢山出てくる。
“スローフードで行こう”という割には、出てくる料理は結構ジャンクだったりコンビニご飯だったりするんだけど、何故か“スローフード”でないものこそ私の食欲を刺激する。
「食べる女」の短編で、一番旨そうだと思ったのが生玉子がけご飯だったという私は、「スローフード・スローセックス宣言」の追従者にはなれないのねしくしく。

Q.「食べること」は人の暮らしにおいてどのように重要でしょうか?
 

A.「食事とセックスは、手をぬこうと思えばどこまでも手がぬけて貧しくなるし、大切にしようと思えばどんなにも大切にできます。そのひと次第。
『恋愛』は相手があるからすぐには自由にならないけど、『食事』はあなた次第で、今夜からでも豊かになれますよ。」
(Amazon.co.jp 著者 筒井ともみインタビューより)

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「食べる女」で一番気に入ったのは『多忙少女』という短編。
奔放ママンに翻弄される12歳の少女の話。
 

このママンがもう大変。娘ユーラ(由有羅。しかしスゴイ名前だ)ができて、戸籍上に父親の名前を残すために1日だけ結婚(第1のパパ)し、翌日離婚。離婚しても元旦那に子供を預けてフラフラ。3歳の娘を連れて旅にも出、夜な夜な酒場でピアノ弾き。家に戻ってからも、男からせしめた貯金でフラリフラリ。
新たな男(第2のパパ)を暮らしはじめてからも、今度は娘を置いてフラフラ一人旅。
そして次の男(第3のパパ)を見つけたら。

「ママ、純クンと暮らそうと思ってるの。ユーラは彼のことどう思う?」「ママ。そんなことより哲太パパはどうなるの?」「あら。哲太パパにはユーラがいるじゃない」

母ひとりでそっちに行っちゃって、娘は第2のパパに残され。
その後も、主人公のユーラはママと第1のパパ、第2のパパ、第3のパパの家をいったりきたり、そして短編の最後には“第4のパパ”登場の予感でしめくくられ。
 

これねー、普通だったら子供グレそうだけど、ここまでやったら逆にグレない!グレる暇なし。
児相がすっとんできそうな状況下ではありますが、いっそ笑っちゃうくらい気合の入ったGoGoステップファミリー。
『多忙少女』は、この本の中では比較的“食べる”に比重を置いていない話でしたが、まあ読んで、元気がでるわ。
 

がんばれユーラ。ユーラの名前の由来はユーラシア大陸だ。ユーラシア大陸のようにでっかい女になるぞ。ファ、ファ、ファイト~。

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