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久坂部羊「廃用身」

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廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく―。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。
(「BOOK」データベースより)

これ、個人的には「やっちまったなぁ~」の一冊です。

小説自体に問題がある訳ではありません。
ただ、この話が老人介護問題を扱っているというところに問題があり。
 

「廃用身」の出版当初のこと。
友人と「最近読んだおすすめ本」のやりとりをし、私が「廃用身」をおすすめした事がありました。
しかしその時すっかり頭から抜け落ちていたのが、彼女が正に義母と同居して、介護スタートまったなし状態であった身の上。

老人介護問題に頭を悩ませている真っ最中の人に、すすめる本じゃないよね、これ。
今は彼女と交流がないため(この本が原因じゃない)感想についてはお聞きできぬまま。
Mちゃんごめん。配慮なかったね私。
 

さて。
「廃用身」はルポタージュ・ドキュメンタリー仕立ての体裁をとっています。
なので、このブログで「廃用身」のカテゴリをドキュメンタリーに入れようかなともちょっと考えました。
ちょっと笑ってくれる人がいるかしら、と。

でも「こいつドキュメンタリーと間違えてるよwプッw」と思われる方にはらたいら100点という気がしたので日和りました。
まだまだ青いな、さくら。
 

内容をザクッと言ってしまえば、介護者の負担と被介護者QOLに支障のある麻痺した四肢を、ザクッと切断しちゃえば楽になるんじゃね?って話です。
んーとまあ、読んで「確かにねえ」とついその気になってしまった私は、実際に介護経験がない無責任な感想を抱いているだけなのでしょうか。
漆原先生の手記(という形式)で、“Aケア”の発想と、それに至るまでの経緯を読むに、ついつい納得しちゃうのよ切っちゃえば良いじゃんって!
実際に自分自身、もしくは自分の家族が同様の状況に陥ったとしたら、また違う感想になるのかもしれません。

でも、実際に実際に自分自身、もしくは自分の家族が同様の状況に陥ったとしたら、異人坂クリニックを探すかもしれないよ、私。

2016年3月18日現在。
Googleで“異人坂クリニック”を検索しても、1ページ目に表示されたのは「廃用身」の書評サイトだけでした。
でも、もし、この先。
この先どんどん、超高齢化社会が進んで。私の子供の世代が、介護問題が今よりもっと大変な時代になって。
そしたら“異人坂クリニック”で検索したら、1ページ目にクリニックのオフィシャルサイトが出てくるかもしれない。
その時代を想像すると、十分あり得る未来なだけに、背中に冷たい汗が流れます。
 

(おまけ)
ちなみに同日、やっぱりGoogleで“Aケア”と検索したら、ビタミンAの効能を謳う「Aケア協会」のページがトップに表示されましたよ。
こ、困ってるだろうなぁAケア協会の皆さん。

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