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フレドリック・ブラウン「天使と宇宙船」

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二つの太陽間を8の字形の軌道を描く惑星上では、何が起こるか? 十八万年前に生まれた男から届いた手紙とは? 電力を失った20世紀文明は? 悪魔と坊やとの大決戦は? 既刊『未来世界から来た男』で絶賛を博したブラウンのSFとファンタジー、男性も女性も大人も子供も楽しめる傑作中短編全16編を収録。
(Amazon内容紹介より)

今月から「サバイバルファミリー」という映画が公開されるそうですね。
テレビを見ていたら、役者さんが番組の中で宣伝してました。
 

「サバイバルファミリー」の内容は、“もし地球上から電気が失われたらどうなるか?”
映画の中の東京は、なんだかとっても大変そう。テレビも冷蔵庫も、灯りも電話もガスも、電車も自動車も使えず。考えてみればガス台だって、電気を全く使わない訳じゃないのよね。
乾電池の中の電気まで失われてしまったら、かなーりがとこ、文明の危機。
 

テレビを見ながら家族と『電気が無くなったら何が困る?』という会話をしまして。
ご多分にもれずスマホが手放せない我が娘は、生活面よりもまずスマホが気になっちゃったりしてます。おい、まず他に考えることあるだろうw
 

でも、私は心の中でちょっと思いました。
『電気の無い生活ってのも、なかなか乙だよなあ』
脳裏に浮かんでいたのは、フレドリック・ブラウン「天使と宇宙船」の一編『ウァヴェリ地球を征服す』です。

「稲妻が光らない」ジョージはいった。「稲妻が光らないし、もうすぐ照明もなくなるだろう。やつらは、電話も接収しようとしている。稲妻の光なんかとって、どうするんだろうな?」
「食うんだと思うよ。やつらは電気を食うにちがいない」
「稲妻の光がない」ジョージがいった。「ちくしょう。電話なんかなくても、へちゃらだよ。電灯のかわりに、ローソクやオイル・ランプってのも悪くない……しかし稲妻がなくなるとなると話はべつだ。ぼくは稲妻が好きなんだよ。ちくしょう」

ウァヴェリというのは、遥か宇宙からやってきた侵略者。
とはいえ、巨大な宇宙船が飛来した訳ではありません。タコさんでもないしH・R・ギーガーのエイリアンでもない。
どんなものがって聞かれたら…ラジオ電波のような存在?説明はできないわ。文中に登場する科学者だって説明が出来ないのに、私が説明出来るわけがないじゃない。
 

とりあえず、ウァヴェリってヤツがいまして。
ウァヴェリが電気を食うんですよ。『古いスマホは電気を食うねえ』の比喩的表現ではなくて、本当に食う。パクパクと食する。
ただピュワーンと獅子座の一点から飛んできて、ピュワーンと地球の周りを飛んで、で、地上の電子を食べてしまうのです。
 

実体がないウァヴェリだから、攻撃もできず。
意思疎通の手段もないから、交渉もできず。
何者かもわからないから、対抗もできず。
 

かくて、地上の電力は全て消え失せました。
こういう場合、無血侵略って言ってもいいんですかね?

「——おい、あそこにあるのは、ラジオじゃないか?」
ジョージは、くすくす笑った。
「記念品だよ。ひと財産もらったって、売らないよ。時たま、あいつを眺めては、昔あいつのために、あくせくと、おそろしいコマーシャルをひねり出していたことを考えるのが好きなんだ。それからそばに行ってスイッチを入れるけど、何もおきない。ただ沈黙あるのみ。沈黙ってものは、この世で、いちばんすばらしいものだと思う時があるよ、ピート。」

『ウァヴェリ地球を征服す』では、電気がなくなった後の生活、決して悪いものではありません。
移動は馬車か自転車か、ディーゼル機関車も有。灯はランプ、動力は蒸気機関。人々の趣味はピクニックや芝居、楽器演奏も流行ですね。
文明がちょっと後退した分だけ、スローリーで、穏やかな生活。
なんでしょ、SFというのに、こののんびりまったりとした空気は。非常に読後感が心地良くて、お気に入りの物語です。
 

ちなみに「天使と宇宙船」の中では『ミミズ天使』という短編もオススメなんですが、うーん、読後感の良さと言ったらウァヴェリかなあ。ミミズも捨てがたいんだよなあ。『気違い星プラセット』も楽しいしなあ。困るなあ。
 

…てな事を考えながら、『電気の無い生活ってのも、なかなか良いかもよ?』と夫と娘に言いました。
 

夫曰く『そりゃ困る。僕の商売上がったりだ』
 

あああーーーーーそりゃ困る。確かに世の中から電気が消えたら、IT系の夫も、ついでに私も商売あがったり。
米が。明日の米が。
ウァヴェリさん、地球侵略は、もちょっと待って。もちょっとね。

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