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筒井康隆,他「筒井漫画讀本_壱」

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日本SF黎明期を支え、今や正真正銘、日本文学界の大スターとなった鬼才・筒井康隆。その傑作・怪作の数々を、17人の豪華執筆陣が独自の解釈でコミカライズ!SF、スラップスティック、不条理、実験、哀愁と残酷…。広大無辺のツツイ宇宙が、ここに漫画で再降臨!さらに巻末には、原作者である筒井自身が執筆した短編漫画も特別収録!!
(「BOOK」データベースより)

図書館で見つけたこの「筒井漫画讀本 壱」ですが、むかーしむかし、この単行本版を持っていたことがあります。これは文庫本ね。

あらお懐かしい、と手に取りましたところ、なんだか見覚えがあるようなないような?知っているような知っていないような?と不思議な感じでした。

その理由は、収録漫画をひととおり浚った後に巻頭の編集部おことばより判明。

本文庫は、小説家・筒井康隆の作品を、17人の漫画家が独自の解釈でコミカライズしたアンソロジーです。1995年に刊行した『筒井康隆漫画讀本』および2010年に刊行した『筒井漫画讀本ふたたび』2つの単行本を底本としています。

あーなるほどね。私が持っていたのは『筒井康隆漫画讀本』の方です。『ふたたび』は存在すら知らなかった。

どの作品が『筒井康隆漫画讀本』でどの作品が『ふたたび』なのかは、不明。昔は所有していた筈なのに、私の記憶も定かではなく、不明。

い、いつでもフレッシュな気持ち、ってことで(苦しい言い訳)

小説と漫画という表現形態の違いはもとより、描き手の個性、ページ数の制約など、さまざまな要因によって、当然のことながら、原作とは異なった作品に仕上がっています。プロット・設定上の違いはもちろん、大胆なアレンジや省略を加えたもの、原作の想像がつかないもの、原作を解体・再構成したもの、原作のキャラクターを使ったものまで、さまざまです。

“大胆なアレンジ”ってのは収録作品のほぼ全てに該当いたします。かなり原作に忠実なのは内田春菊の『ムロジェクに感謝』(ところでムロジェクって何だろう?)や蛭子能収の『傷ついたのは誰の心』あたりでしょうか。

“原作の想像がつかないもの”はいしいひさいちの『大富豪刑事』が筆頭です。いしいひさいちの漫画は何を題材にしてもいしいひさいちワールドなのね、ということがよくわかります。この1ページだけ週刊文春か週刊ポストに差し替わっているようです。

“原作を解体・再構成したもの”といったら、けらえいこの『妻四態』。ひとつのショートショートを4つの4コママンガに解体→再構成。正直言えば原作の『妻四態』は、妻が冬眠しながら空飛んで卵を出産して脱皮する、あの間断なく続く感じが好きなんですけどね。4コママンガだしね。ひとつに収めようと思ったら1コマ1態だものね。それじゃあ意味わからないわよね。

ところで、17人の漫画家さんの中には先日亡くなった吾妻ひでおさんの名もあります。合掌。

編集部のおことばはまだまだ続く。

現在、筒井康隆作品は、各社からの文庫・電子書籍をはじめ、手に入れやすい状態で流通しています。まだ原作をお読みでない方も、すでにツツイワールドの虜になっている方も、ぜひ原作小説と本書を読み比べてみてください。よりいっそう、楽しく、興味深く読めることと思います。

と、いうことで。

この本に関する説明は、すべて実業之日本社文庫の編集者さんがしてくれた。個人的には、この本に対するそれが一番の感動だったりします。

きちっと説明してしっかり幅を広げて、がっつり宣伝する。営業かくあれかしとはこういうことか。

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