内海慶一「ピクトさんの本」

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あなたも必ず見たことがある。あの可哀想な人。世界中で活躍するピクトさんたちの勇姿を一挙公開。
(「BOOK」データベースより)

160810

ピクトグラム(pictogram)あるいはピクトグラフ(pictograph)とは、一般に「絵文字」「絵単語」などと呼ばれ、何らかの情報や注意を示すために表示される視覚記号(サイン)の一つである。地と図に明度差のある2色を用いて、表したい概念を単純な図として表現する技法が用いられる。
(Wikipediaより)

あの非常口の、アレですよ、アレ。
あのマークのことをピクトグラムと言います。そして、その中の人のことを「ピクトさん」と言います。一部では。

そして『日本ピクトさん学会』の会長・内海慶一氏は、こう言います。

街のいたるところにピクトさんはいる。しかしおそらく多くの人は、ピクトさんがどれほど可哀想な存在であるかには気づいていないだろう。
ピクトさんは、いつも酷い目に遭っている。転んだり、頭を打ったり、転落したり、はさまれたり。自らの体を犠牲にして道ゆく人に危険を知らせてくださっているのである。我々はその痛々しいメッセージを、敬意を持って受け止めなければならない。
—(中略)—
ピクトさんの勇敢かつその気の毒な働きぶりを、たっぷりとご覧いただきたい。己をかえりみないその尊い姿に、誰もが心を打たれることだろう。危険を恐れない勇気。どのような苦難にも耐える精神力。ページをめくるたびにピクトさんの偉大さをひしひしと感じるはずだ。

果たして『日本ピクトさん学会』なる団体が公式に認められた団体であるのかは分かりませんが…って公式団体なわきゃないか。そもそも誰が認めるんだ。

ともあれ「ピクトさんの本」で登場する、皆様おなじみのピクトさん。
いや…確かに…これは確かにピクトさんって、大変。

日本のみならず世界中のピクトさんが、転倒したり落下したり感電したり、はさまれたり頭を打ったり衝突したり。
この本の中では様々な受難にあうピクトさん達を、「かけこみ系」「転倒系」など10種類に分類し、それぞれの生態(生き物だから!)の解説をし、鑑賞ポイントが記載されています。

例えば「はさまれ系ピクトさん」を鑑賞する際には『はさまれ系ピクトさんを見る時は、「何の間にはさまれているか」に注目していただきたい。ピクトさんを単体で見るのではなく、サンドされた「具」として鑑賞するのである』が見るべきポイントです。
まるで聖セバスチャンの殉教図の解説を聴くようだ。嘘。
そしてローラー車にもエレベーターにも重機にも電車の扉にも立体駐車場にもはさまれるピクトさん。

これを哀れを思わじ。ピクトニアンの信仰と誇りを胸に殉ずるピクト達に殉教者の幸福を見たるや?

この本の面白さを伝えるのは難しい。
ピクトさんの絵ありきなので、ビジュアルを除いた文字だけではイマイチ説明がつけづらいところです。
とはいえ、ビジュアルだけを見ても、さして面白さを感じないのもピクトさん。だっていつも何気なしに見ているものだからね。

ピクトさんのビジュアルと、内海慶一さんの解説があわさって、はじめて知るピクトさんの面白さ、そして物哀しさと可笑しさ。

粋なピクティストは、いい感じの感電系ピクトさんを見た時、「しびれるね」という言い方をする。
また、感電系ピクトさんを専門に研究しているピクティストは、それ以外のジャンルを扱う研究者のことを「アコースティック」と呼ぶ。「あいつはアコースティックだから、このしびれ具合をわかってくれないんだ」などというふうに使われている。
また、感電系専門のピクティストは、ピクトさんの目撃写真を発表してから次に発表するまでの時間を「充電期間」と呼んでいる。
ぜんぶ嘘である。

嘘なんかーーーーーい。

この本を読んだ後に外出したら、きっと街でピクトさんを探してしまう筈。
そして『あれは転倒系』『あれははさまれ系』と分類し、さらには各々のピクトさんの仕事ぶりを『良い撥ねられっぷりだ』と評価するようになったら、あなたも立派なピクティスト。
学会への入会は、近い。

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レビュアー: さくら
さくら
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