ジュリアン・バジーニ「100の思考実験: あなたはどこまで考えられるか」

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列車の暴走で40人が死にそうなとき、5人だけ死ぬほうにレバーを切り替えられるとしたらどうするか?身体と脳・生命倫理・言語・宗教・芸術・環境・格差…「ハーバード白熱教室」で取り上げられた「トロッコ問題」をはじめ、哲学・倫理学の100の難問。
(「BOOK」データベースより)

100の思考実験: あなたはどこまで考えられるか

理性を伴わない想像力はただの空想だが、想像力を伴わない理性は無味乾燥である。
(「はじめに」)

上記は、この本の「はじめに」の最初に綴られている一文。
これ、かっこいーね。

ただの空想でもなく、無味乾燥でもない世界を目指して、たまにはがっつり取り組みましょう100の思考実験。
「四角い頭を○くする」日能研提供でお送りします(嘘)

—もうおわかりでしょう。論理的にも数学的にも、アキレスが亀に追いつくことはできないのです。
ただし、今から亀のほうに賭けるのは遅すぎます。選手たちはすでに位置について……スタートしました!アキレスが近づいて…近づいて…近づいて…亀を追い越しました!信じられない!ありえません!
(74「亀の徒競走」パラドックスはなぜ生まれるのだろう?)

本の中に登場する思考実験の題材は、有名どころから無名どころまでさまざまです。
引用されたテクストも、ニーチェやカント、上記の“アキレスと亀”で有名なゼノンなどの論旨から、小説・映画からの抜粋や、バジーニさんの完全オリジナルとさまざま。

提議の種類もさまざま。

「言論の自由とは何だろう?」
「思考が先か?行動が先か?」
「永遠の命は喜ばしいだろうか?」
「場合によっては拷問は許されるのだろうか?」
「見る人のいない芸術作品は芸術か?」
「犠牲となる命を選べるか?」
「わたしはつねにわたしだろうか?」

まえがきからあとがき、訳者あとがきまで含めて全405ページの本ですが、なにせ思考実験の数は100もありますからね。
1つの思考実験につき、元テキストとバニーニさんの文章あわせて3ページから4ページ。
思考している間もなく、すぐ次の題材がやってきてしまう。そう、これは思考実験わんこそば

ちょー忙しいよ。のんびりしてると、わんこそばのお碗を持ったオバチャンが「ほれほれ」とお碗を突き出してくる。
休んでいる暇なぞない。高速スピードで蕎麦をかきこんで、すぐ次のオバジャン攻撃に備えなければ。

……じゃあ、本なんだし、途中で止めてゆっくり考えれば?ともお考えでしょうが。
個人的なおすすめは、少なくとも最初の1回はフルスピードでお読みになることよ。

次から次へと繰り出されてくる思考実験の数々で作られる、渦の中に引き込まれるような快楽は、ちょっと捨てがたい。

数もスピードもさることながら、著者のバジーニさんもなかなかにイジワルで嗜虐的です。

本書は哲学者を紹介する参考書ではないし、昔ながらの難問への答えを集めた本でもない。むしろ、読んだ人がさらに考えを深められるよう、挑発したり刺激したりすることを目的としている。思考実験のあとに続く文章では、難局から抜け出す道をわたしが示すかもしれないし、わざと反対の立場をとるかもしれない。そのどちらであるかを判断するのは、読者だ。
—(中略)—
本書からさまざまな思考が生まれるだろう。しかし、そのどれも、本書の中で完結することはない。
(「はじめに」)

ホントーに完結させないのよこの人!元テクストの題材から、さらに新たな問題も持ってきて放り出すの!
刺激的?挑発的?いや、やっぱり嗜虐的。
人が思考実験のわんこそばで苦しむ姿を見て喜ぶ、この人Sよ絶対S。

…そして、それにまんまと乗っかる私も、M的嗜好があるのでしょうか?

思考実験わんこそば状態になって、快楽を覚えるか覚えないかは、あなた次第。
「理性を伴わない想像力はただの空想だが、想像力を伴わない理性は無味乾燥である」
サディスティック・バジーニ氏の繰り出す思考実験の数々で、一緒に渦に巻き込まれよう。

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レビュアー: さくら
さくら
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