H・F・セイント「透明人間の告白」

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三十四歳の平凡な証券アナリスト、ニックは、科学研究所の事故に巻き込まれ、透明人間になってしまう。透明な体で食物を食べるとどうなる?会社勤めはどうする?生活費は?次々に直面する難問に加え、秘密情報機関に追跡される事態に…“本の雑誌が選ぶ30年間のベスト30”第1位に輝いた不朽の名作。
(「BOOK」データベースより)

toumei

Googleが「グーグル・ホーム」を開発者会議で発表したと、先月(2016年5月)にニュース報道がありました。
「グーグル・ホーム」とは何かと申しますと、声で家の中の電気とかエアコンとかを操作できる機械のことらしいのですね。
つまり『オッケー、グーグル』で、スマホの操作だけじゃなくて、家全体を操作できる時代になるらしいのです。で、後々は買物などもできるようにしたいとのこと。Google先生曰く。

買い物と言えば、今ではネットスーパーも一般的になりましたし、最近では千葉のドローン宅配特区もあり、その気になればヒトサマに姿を見られないで生活をするのにも、案外苦労がなさそうです。

で、Googleのニュースを見て、さくらが思った感想。
「ニック・ハロウェイには、良い時代になったなあ」

ニック・ハロウェイとは、この「透明人間の告白」の主人公。
普通の証券マンだったニックは、たまたま居合わせた核融合施設の事故により、透明人間になってしまったのです。

もしも透明人間になれたらどうする?
道を歩く人にイタズラしてみたい?それとも女湯のぞいてみたい?
自分が透明人間になれたなら、誰にも見られずに好きなことができる、自由で快適な生活が送れそう…って想像していらっしゃる、あなた。

透明人間は、そんなラクなもんじゃありませんぜ。

「おい!なんだ、あれ!変なかっこうで水が跳ねてるぞ!」
 何事だろうと思って僕は振り返った。
「見ろよ!動いたぜ」
 しばらくたってようやく、連中が話しているのは僕のことなのだという恐ろしい事実に気づいた。僕の体にぶつかって表面を流れている雨は、空中にはっきりと人間のフォルムを浮かび上がらせていたのだ。

自分と、事故当時に自分が着ていた洋服は、一切透明になっています。でもずっと着たきりすずめのままじゃいられないでしょ?
洗濯するのだって一苦労。だって洋服も透明だから、ニック自身にだって見られないのですもの。
だからといってハダカじゃ風邪ひくし。ニックは透明人間になったとはいえ、見た目以外は普通の人間と全く同じなのです。

食事だって大変。
当然のことながら食物は透明でないため、食べたものが咀嚼されて胃の中で消化されるまで、体の中で食物がネッチャラクッチャラとこなれていくのが目に見えるのです。外にも出られないし、第一キモいわ。
よって、彼が栄養補給のために欲するのが『できるだけ透明な食べ物』素晴しきかなブイヨン・スープ。
あ、あとですね。ニック実地検証によれば、食べるときによく噛めば噛むほど消化が早いそうですよ。よく噛むって大事だね!ガッテンガッテンガッテン!

はからずも透明人間に変化してしまったニック。普通の生活を過ごすのにも苦労しているというのに、透明人間を利用すべく企む情報機関にも追われて、さらに増す苦難。
果たしてニックに平穏な未来はやってくるのか?
と、いう小説です。
透明人間になって女湯のぞきたいと思った不埒な男性諸氏よ。今すぐニックにお謝りなさい。透明人間って大変なんだよ。

グーグル・ホームの発表があと数十年早ければ、ニック・ハロウェイも人目につかず生活も買物も出来て苦労が減ったであろうになあ…と、思いながらニュースを見ていたところ。
さくらの旦那曰く、日本ではもっと早くに同様のシステムがあったとか。ヤマハのYIS(ワイズ)というシステムで、1981年に販売されていたそうです。「透明人間の告白」の初版1988年よりも早いじゃないか。先進的だなYAMAHA。
でも高額すぎてあまりにも売れず、今では情報も殆ど残っていないとか。

そうか、ニック、君は産まれた国を間違えていたんだね。
日本に産まれていたら、もしかしたら、YISの恩恵にあずかって、もちっと楽な生活を送れていたかもしれないね。
それか、YISがもっと売れていたらなあ。いくつかの不運といくつかの必然で、透明人間の冒険は続く。

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レビュアー: さくら
さくら
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