若竹七海「悪いうさぎ」

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少女たちはどこに消えたのか?
家出中の女子高生ミチルを連れ戻す仕事を引き受けた私は、彼女の周辺に姿を消した少女が複数いることを知る。好評葉村晶シリーズ
(「BOOK」データベースより)

前回の「探偵の探偵」をご覧頂いたツイ友のMさんから『探偵っつーよりハリウッド映画のスパイみたいw』とメッセ頂きまして。
だよねー!EAST END×YURIバリにDA・YO・NE~!
リアリティないほどにクール&タフネスな最強探偵(表現微妙)な「探偵の探偵」ヒロインの紗崎玲奈は、ボンドガールかタランティーノのキル・ビルか。

そこで、もちっと現代ニッポンのリアルな探偵ヒロインは居ないものかと本棚を漁ってみたら…ありましたありました。
クールでもタフネスでもない、フリーの女性調査員・葉村晶が主人公の「悪いうさぎ」。

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フリーの調査員といえば聞こえはいいが、要するに何でも屋、フリーターだ。月に六十万以上稼ぐときもあれば、六千円のときもある。忙しいときは寝るヒマもないし、仕事がなければ即、飢える。

六十万円稼いでワッハッハの月はあまり無い模様。葉村さん、お暇な時は一組あたり九十円のイヤリング作りの手内職まで請け負う女工哀歌。
うっうっうっ、フリーター稼業は厳しいのう。

ところで「悪いうさぎ」は葉村晶シリーズの3冊目にあたります。で、長編としては1冊目。
私個人としては、シリーズ中で一番「悪いうさぎ」が好きなのですが、もしもこれから若竹七海の葉村晶シリーズを読もうという人がいるならば。
悪いことは言わない。前2冊の短編から、手を出した方が良い。

ただでさえ災難続きのトラブル体質な葉村晶が、短編ならともかくとして、長編小説だとまるまる1冊分の災難てんこもりドンと来い状態。
細木数子もびっくりの大殺界で、読んでるだけで不幸に腹いっぱい。
んもぅ可哀相で涙ちょちょ切れちゃうよ。作者の若竹七海は、主人公の葉村晶に何か恨みでもあるのかい?!

どこらへんが災難なのかというと、そもそもの最初の1ページ目から。
家出した女子高生を連れ戻す依頼で、足の甲を骨折してナイフで刺されて入院&手術。しかもやったのは同じ調査員仲間よ?
その調査員仲間には謝罪されるどころか、逆恨みされて自宅アパートまで襲撃され、なおかつそいつのモンペママンに『うちの松夫ちゃんに精神的苦痛を与えた』とハンドバッグでぽかぽか頭を殴られるのよ?

家出少女は夜中に警察署まで呼び出すし、その果てに家まで押しかけてくるし、少女の親や知り合いに呼ばれて出向いても、水の一杯も出やしない。
数少ない友人は結婚サギにひっかかりそうだし、忠告しようと思えば逆ギレされる。
玄関にゴミはぶちまけられるしカラスには襲われるし、通りすがりの人には骨折した足を踏まれるし。

拉致されてトラックの荷台に二日間監禁されるわ、そのせいで暗所恐怖症にはなるわ、乗ったタクシーの運転手さんには延々と痔の話をされるわ。

「アルマジロの尿が効くって話を小耳にはさんだんだけれど」
運転手は言った。
「アルマジロの尿っていったいどこで買えばいいのかわからなくて、困ってるんです。これがいまいちばんの悩みですよ」
わたしは彼が心底うらやましかった。

「おまえはいいうさぎだな。前のうさぎたちも、いいうさぎだったが、おまえほどじゃないな。一度罠にかかったうさぎってのは、ホントにおとなしくなるもんだ」

災難続きの葉村さん。
最悪の九日間のしめくくりとして、とある“ゲーム”に参加することになりまして。
“ゲーム”の賞金は200万円。着るのは赤いアノラック。かぶるのは黒い、うさぎのかぶりもの。
どんな“ゲーム”かって?いやぁ、それは読んでのお楽しみ。んー、山登りとだけ言っておこうかな?ただの山登りじゃないけどね。だって賞金200万円だしね。だって災難続きの葉村さんだしね。

山道を行く、赤いアノラックを着た黒いうさぎが、果たして良いうさぎなのか悪いうさぎなのかは判らねど。
いやあ、探偵って大変。ハリウッド映画のスパイとはちょっと違う、現代ニッポンのリアル(?)な探偵哀歌でした。

ところでアルマジロの尿って、いったいどこで売ってるんでしょうね?
きっと葉村さんなら探し出してくれる。運転手さん、ご依頼お待ちしてます。

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レビュアー: さくら
さくら
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