石持浅海「月の扉」

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沖縄・那覇空港で、乗客240名を乗せた旅客機がハイジャックされた。犯行グループ3人の要求は、那覇警察署に留置されている彼らの「師匠」を空港まで「連れてくること」。ところが、機内のトイレで乗客の一人が死体となって発見され、事態は一変―。極限の閉鎖状況で、スリリングな犯人探しが始まる。
(「BOOK」データベースより)

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「おい、ちょっと待て」座間味くんが遮った。「あんたたち、夏祭りのためにハイジャックをしたのか?」

“クローズド・サークル”というミステリのジャンルでは、限定された空間(ex.雪の山荘や孤島)で事件が発生します。
そのクローズドサークルが大好きな石持浅海が、今回登場人物を閉じ込めたのは、那覇発羽田行の飛行機。
起こった事件は、ハイジャック。

しかしながら「月の扉」は『ハイジャック犯と警察との息詰まる攻防戦!人質乗客を救え!』とかいう話ではありません。
逆に『ハイジャックを如何に成功させるか』のクライムノベルでもありません。

何故なら、警察とマスコミに注目された、密閉空間の航空機内で。
ハイジャック犯に見張られている乗務員および乗客と、
人質達に一挙手一投足を見守られている犯人との間に。

死体がひとつ。

…この死体、どっから来た?

3人のハイジャッカー達としては、武器で人質を脅してはいるものの、誰かを殺す意図はありませんでした。
自分たちが殺した訳でもないのに、一人の女性が死んでしまって、事故なのか自殺なのか殺人なのかもわからない。
殺人だとしたら、誰が?犯人に監視されている時にわざわざ?
自殺だとしても、なぜ今ここで、自分の子供が人質に取られている状況下で?

ハイジャックの最中で忙しい犯人達に代わって、探偵役を命ぜられたのが、座間味島Tシャツを着た男性客。通称『座間味くん』

男は顔をしかめた。「ひどい呼び名だ」
真壁はくすりと笑った。
「じゃあ君は、ハイジャッカー相手に、本名を名乗ってくれるのか?」
男は唇を曲げた。「——座間味くん、でいい」

座間味くーん!はいここで座間味くんの登場ー!

座間味くんは「月の扉」の後も、短編集などで登場するシリーズ物キャラクターです。
ああ、そんなこと言うと、この事件が解決して乗客は無事に解放されるってのは解っちゃうか。でもまあ良いです。大した問題じゃないんで。
スーツ男子LOVEメガネ男子LOVEの、インテリ系に弱い女性達にとっては、ヨダレもんの美味しいヤツでっせ。石持作品ではおなじみの、キレッキレの切れ者でっせ。

しかし座間味くんも大変なんですよ。彼女とキャッキャウフフのダイビング旅行から帰ろうと思いきや、飛行機はハイジャックにあってしまうし。
早いところ解放されて家に帰りたいし。突然探偵役を“外注”されて、転がった死体の謎を解明しなくちゃならないし。そもそもハイジャック犯の目的もどこか謎めいているし。
『あんたたち、夏祭りのためにハイジャックをしたのか?』という座間味くんの発言は、何を意味しているのか。それも「月の扉」の、謎のひとつでもあります。

「犯人は何かにせっつかれているかのように行動している。タイムリミットは、警察ではなく犯人たちにあるような気さえしてくる。それなのに犯人は人質殺害に、手首を切っての失血死という、時間のかかる方法を選択している。彼らの行動には矛盾がある。これほど単純で効果的な犯罪をやってのけた連中が、なぜそんなことをしたんだろう」
—(中略)—
警官たちはモニターに映った八便の姿を見つめた。
「機内で、いったい何が起こっているんだ?」

という訳で「月の扉」で座間味くんが解明しなければならない謎は、整理すると以下の通りです。

1.ハイジャックを如何に解決に導くか
2.ハイジャック犯の目的は何か
3.死体の謎を如何に解き明かすか
4.彼女と婚前旅行に行ったのがモロバレの状況下、彼女のお父さんにどう弁明するか

上記の謎4点を、どう座間味くんがクリアしていくかを、読者の皆様はお楽しみ下さいませ。
多分、座間味くんにとっては、一番重大な課題は「4」だけどね。どうクリアしたかは、読んでのお楽しみ~。

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レビュアー: さくら
さくら
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