桐野夏生「だから荒野」

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もう二度と会うことはないでしょう。
46歳の誕生日。身勝手な夫や息子たちと決別し、主婦・朋美は1200キロの旅路へ――
「家族」という荒野を生きる孤独と希望を描き切った桐野文学の最高峰!
大反響の毎日新聞朝刊連載に、大幅な加筆修正を施して書籍化。
(「BOOK」データベースより)

kouya

我が家は毎日新聞の購読家庭なので、この小説は2013年の新聞連載時に読んでおりました。

で、この度書籍化したものを読みまして。
あれ?記憶と違うぞ?と違和感。

新聞連載時の「だから荒野」のラストは、主人公の朋美が山岡さん(被爆体験を語るおじいちゃん)の自宅から追い出されて、再び当てのない旅に向かうイメージで終了していたように記憶していました。

でも書籍では、朋美は息子と共に自宅に戻る。
そして、なーんとなく夫と和解し、猫のマロンに擦り寄られてほっこり。
なにこのまったりゆるーいハッピーエンド。

どうやら「BOOK」データベースの“大幅な加筆修正を施して書籍化”にカギがありそうですが、ラストまで変わる?変わった?
書籍化されたこの小説を読了後に、インターネットで「だから荒野」を検索するも、加筆修正がどこに施されたのかの情報までは得られず。

果たしてラストシーンが変わったのは、桐野夏生の加筆修正による変更なのでしょうか。それとも、そもそも新聞連載の時から「だから荒野」のラストシーンは『朋美が自宅に戻る』だったのでしょうか。
私の記憶違い?もしかして夢でもみた?
もし真実をお知りの方がいらしたら、本当に知りたいので教えて下さい。
荒野がパラレルワールドになったのかしら。

さて。今年は2016年ですね。そして、私 さくらは現在、この本の主人公である朋美と同い年の46歳になりました。

まあ、えーとねえ、傍から見ると46歳のオバサンってこんな風に見えるのかと思うと同属嫌悪ですねえ。
小うるさくてドン臭い、世の流行から3歩出遅れて30度方向を違えたような野暮ったさは、多分私自身も同じイメージなのだろうなと思うと、ほんっとにダウナー。極めてダウナー。

そして同属であるが故に、朋美の閉塞感には共感する箇所が多いし、朋美の夫である浩光の嫌味なスノッブさと、妻を馬鹿にする態度には他人事じゃなく憤る。
ほんとに、どうして世のオトコ達は、妻も含めて他者を見下したがるんだろうね?
やじろべえじゃないんだから、相手を下げたからって、自分が上がる訳じゃないんだよ?

小説の冒頭でイライラされっぱなしの状態だったので、朋美の出奔=主婦の反乱 にはひとまず溜飲が下がります。
浩光が世間的に痛めつけらていくのも溜飲がw
朋美自身も出奔の後、皮一枚脱いだようにすっきりと猛々しい女性に変貌して、自立した女性への変身譚。もしくは成長譚。

このまま“荒野”を突き進んでいくか。
もしくは「テルマ&ルイーズ」のように、断崖に向かって飛ぶか。

私の記憶では、それは明かされぬまま小説が終わっていたような気がして、いた、のです、が。
東京タワーの展望台でコイン式の望遠鏡を見ていたのに、タイマー切れでプッツリと視界が隠された時のような突然さが、その後の想像力をかきたててくれていたように感じていたのです、が。
今回の書籍版のラスト。朋美が「ちょっとした小旅行」を終えて、何事もなかったかのように自宅に戻る本の結末は、読後感だけではなくて、小説自体の印象も大きく変えるような気がします。

どっちが好みのラストかと聞かれたら、いちもにもなく新聞連載時のラストですね。
なんかモヤモヤ。ハッピーエンドなのにハッピーを感じない。
「テルマ&ルイーズ」が、バッドエンドなのにバッドを感じないように。

このモヤモヤを解消するために、TSUTAYAに走って「テルマ&ルイーズ」をレンタルしてこようかと、かなり真剣に検討している今のさくらでした。

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レビュアー: さくら
さくら
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