柚木麻子「ランチのアッコちゃん」

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地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み、食欲もなかった。そこへ雲の上の存在である黒川敦子部長、通称“アッコさん”から声がかかる。「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」。気乗りがしない三智子だったが、アッコさんの不思議なランチコースを巡るうち、少しずつ変わっていく自分に気づく(表題作)。読むほどに心が弾んでくる魔法の四編。読むとどんどん元気が出るスペシャルビタミン小説!
(「BOOK」データベースより)

160827

あースッキリしたー!

上記の内容紹介にもある「元気が出るビタミン小説」という言葉はとても正しい。
さらさらーっと読んで後味スッキリ。とっても気持ちの良い短編集でした。

「ランチのアッコちゃん」の主人公は弱小出版社の派遣社員、三智子さん。ちょいとネガティブ思考のお嬢さんです。
“アッコちゃん”は、営業部長の黒川敦子さん。社内でうっかりアッコちゃんなんて呼んだらブッ飛ばされそうなTHE・ねーさん。
とある事情から、三智子さんと黒川部長は、一週間ランチを交換することになりました。

黒川部長は、三智子さん手作りのお弁当。
三智子さんは、その日に手渡される1000円と飲食店メモの店で外食。場所もお店もメニューもバラバラ、毎日変わるランチによって、三智子さん自身も少しずつ変わってきて…。

社内では敏腕営業部長の黒川部長、社外ではスーパーフリーダムの“アッコちゃん”。
なにがフリーダムって、当日に三智子さんへ課すランチのお題がフリーダムです。

2日めの火曜日に渡したアルマーニの紙袋の中身は、唐突なピンクのジョギングウェアとジョグシューズ。
渡されたメモには以下の言葉が。

「千鳥が淵を経由して、お堀沿いから有楽町方面に。国際フォーラムまで走ること。広場にワゴン車の屋台がたくさん集まっているはず。『ジェリーフィッシュ』というスムージーの店で食事。地下鉄に乗って帰れば間に合います

間に合いません。

麹町にある会社から千鳥が淵をまわるジョギングルートを調べたら、4キロありましたよ4キロ。突然そんな走れませんって。
お昼休み時間内に戻れる云々じゃなく、行き倒れないかどうかが心配なレベル。
ああ、もし三智子さんが私と同じくらいの方向音痴だったとしたら、そもそも国際フォーラムに辿りつけない可能性が濃厚ですね。

一週間の“アッコちゃん”のお題は、一事が万事その調子ですので、真面目なからは『ありえない、おとぎ話だ』という評価も受けそう。
まあ、それを否定はしないw日頃運動してない人が突然4キロ走れないのと同じ。
リアルなランナーの苦しみを読みたい方は「ランチのアッコちゃん」ではなく、円谷幸吉の伝記をお読みあそばせ。

そもそも、この小説は『ありえない、おとぎ話』であって良いのです。
この小説を読む人が求めているのは、アッコちゃんがコンパクトにテクマクマヤコンテクマクマヤコンと囁いて起こる変身譚。

女子の皆さん、頭の中で妄想を繰り広げたことありませんでした?

街を歩いていたら『ショーのモデルが足りないんだ!君なら出来る!』と突然パリコレでウォーキング(しかも華麗に決める)とか。

銀行強盗のライフルを素早く奪って反対に強盗を射殺するとか。

実はさる王国の姫君だった自分を守るために、目の前で護衛のイケメンが撃たれ『あなたを…守れて…良かっ…た…(ガクッ)』とか。

巨大生物が現れて『みんな逃げてっ!ここは私が食い止めるっ!』とか。

わ、私だけ?そんな筈は無いわ。それじゃ私がとっても恥ずかしいわ。

「ランチのアッコちゃん」は、そんな女子の妄想を『ほれほれ』とくすぐって、疑似体験をさせてくれるおとぎ話。
三智子さん、2話目ではいきなりアクションドラマの撮影に駆り出され、セーラー服着て爆撃の中を走り抜けるからね。妄想全開バークにまかせろ!でしょ?

そんな短編が4編。読み終わるとあらスッキリ。
元気が出たのは、きっとアッコちゃんがかけたテクマクマヤコンの魔法です。
テクマクマヤコンテクマクマヤコン、女子の妄想よ花開け~。

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レビュアー: さくら
さくら
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