有川浩「三匹のおっさん ふたたび」

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剣道の達人キヨ、武闘派の柔道家シゲ、危ない頭脳派ノリ。あの三人が帰ってきた!書店での万引き、ゴミの不法投棄、連続する不審火…。ご町内の悪を正すため、ふたたび“三匹”が立ち上がる。清田家の嫁は金銭トラブルに巻き込まれ、シゲの息子はお祭り復活に奔走。ノリにはお見合い話が舞い込み、おまけに“偽三匹”まで登場して大騒動!ますます快調、大人気シリーズ第二弾。
(「BOOK」データベースより)

「三匹のおっさん」に続く第二弾。ふたたび、です。

かつて放映されたTVドラマでは「ふたたび」の後、さらに「みたび!」がありますが、原作の方では「ふたたび」までしかありません。
ドラマとごっちゃになって『あれ?3は?』とアセらないよう、ご注意をば。

さて原作の方。“ふたたび”帰って参りましたオッサン三人衆。
ですが2冊目の「ふたたび」では、三人の活躍は若干パワーダウン?実際問題、三人がなーんにもしていない回もありますし。
いやそれは、三人が老いたという理由ではありません。
こちらの本では三人衆の姿を追うよりも、その周辺、家族を焦点としたファミリー・ストーリーが中心になっているという事です。

ああでもね、心配しないでオッサン萌えの婦女子たち!
キミタチのきゅん心を満足させる、おっさんヒューヒュかっちょ良え!な話もちゃーんと用意してあるからね。個人的にオススメなのは第二話よ。書店の井脇さんが良い味出してるよ。チェケラ!

そして私が個人的に思い入れ深い一編が、三人の中でも頭脳派、又の名を“一番危険なおっさん”ノリさんの再婚話を題材とした第三話です。

妻亡き後、長年の男ヤモメを過ごしてきたノリさんに持ち上がった見合い話の相手は、以前ノリさんが押し込み強盗から助けたことのある女性でした。

「あの」と物問いたげな声が追いすがった。
「あなたがたは一体……」
こういうときは何と答えたものか。
「名乗るほどの者じゃございません」
やはりお約束が口を衝いて出る。重雄がちぇっと舌打ちをしたのは自分がそういう決まり文句を言ってみたいのだろう。夜回りの言い出しっぺは重雄だが、今までそういう口上を決める機会には恵まれたことがない。
「この界隈を回っている地域限定の正義の味方です」
清一がぷぷっと吹き出す。

これはまさしく運命の出逢いじゃないか!と周囲は盛り上がり、当のノリさんもまんざらではなさそう。
しかし心中おだやかではないのが、ノリさんの愛娘、高校三年生の早苗ちゃん。
いままで父娘助け合って生きてきた静かな生活に入り込んでこようとする異分子。とはいえ相手の女性も悪い人ではなさそうだし、父の幸せの足枷にもなりたくはない。でもでも…と揺れ動くのが乙女心というもので、受験勉強にも身が入りません。

私自身も母を亡くし、父が新しい奥さんと暮らしている状況ですので、ある程度は早苗ちゃんの気持ちもわかったりわからなかったり。

とはいえ、私の父が再婚したのは、私がいいかげん大人になってからの話ですし、早苗ちゃんに比べて私の性格が雑駁ということもあり、私が早苗ちゃんと同じように心ゆらめいたということはありませんでした。
まあ、それにはもう一つ理由があるんですけど。
それについては後述しますけど。

「後はゆっくり二人で話したら?でも今日はそっとしといてやれよ」
オレンジジュースを一気に呷った祐希はさっさと座敷を下りた。
「おばさんにもう子供じゃないんだからって言われたんだってさ。聞き分けろって。でも俺たちもう子供じゃないけどまだ大人じゃないんだ」

もしも私の母親がもっとずっと昔に死んでいて、まだ私が心柔らかい内に父の再婚話が出ていて、私自身がもっと繊細な人間だったとしたら、私はどんな反応をしていたのだろう?と、小説を読みながら我が身に置き換えて仮想検証をしたくなるような。想像の翼をちょっとはためかせてみたくなるような。
そういう気持ちになるのも、小説を読む時の面白さのひとつなのかもしれません。

で、まあ、結局ノリさんの再婚話がどうなったかっていうのは、実際に読んで確かめて頂くとして。
「三匹のおっさん ふたたび」の最後は、三匹のおっさんそれぞれと、それぞれの家族の成長を予感させるすっきりとした読後感で終わります。
祐希と早苗、ふたりの若者の成長もあり、パパママ中年層の成長もあり、おっさん達だって、還暦すぎてもいつまでも心は成長し続ける。
ドラマとは違い、多分「みたび!」が出版される可能性は低そうですが、それはそれで、明らかにされない未来を想像するのも、また良しかも。

それで、先ほど申し上げていた私の父の再婚話については。
男ヤモメはモテるのか、母亡き後に人生最大(?)のモテ期に突入した私の父。
数多の女性と浮名を流し(?)た後、ひとりのバツいち女性と親しくなりまして。実家を放置して女性のマンションに転がり込んで(!)生活し始めた花のセカンドライフ。

実家と女性のマンションの二重生活が5年も過ぎたころ、しびれを切らした私の姉が父に向かって、いったいこれからどうするつもりだ、大人だったらきちんとしなさいと問うたところ。

「あれー、言ってなかったかー?
 実は2年くらい前に籍を入れて、もう結婚しちゃったし☆てへぺろ!

いつの間にやら新しい母が出来ていた事実にびっくり。
心ゆらめく暇もない。

まあそういう次第で、その経験を踏まえ、私の父から、ノリさんにアドバイスをして頂こう。

「入籍はしちゃったモン勝ち!レッツゴー、花のセカンドライフ!」

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レビュアー: さくら
さくら
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