島田荘司「斜め屋敷の犯罪」

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北海道の最北端、宗谷岬の高台に斜めに傾いて建つ西洋館。「流氷館」と名づけられたこの奇妙な館で、主人の浜本幸三郎がクリスマス・パーティを開いた夜、奇怪な密室殺人が起きる。招かれた人々の狂乱する中で、またもや次の惨劇が…。恐怖の連続密室殺人の謎に挑戦する名探偵・御手洗潔。本格推理名作。
(「BOOK」データベースより)

いや、凄いわーーー。

正に驚天動地の大トリック。このミステリの謎を、御手洗潔より先に明かせる人が居たらお目にかかりたい。
「斜め屋敷の犯罪」を初読してからほぼ30年。私 さくらは、今に至るまでこれよりトンデモな推理を見たことがございません。

『私は読者に挑戦する』

材料は完璧に揃っている。事の真相を見抜かれんことを!

こんなん、分かるかーーーーーーっ!!!

とか言っても、未読の方には何のことやらでございましょう。
「斜め屋敷の犯罪」は、現代本格ミステリのラッセル車、島田荘司が書いた御手洗潔シリーズの一冊です。御手洗潔の初登場作品「占星術殺人事件」の次作でございます。
いや「占星術」も凄かったけどね。「斜め屋敷」は占星術を遙かにしのぐトンデモトリックで、当時のミステリ愛好家達をぶっ飛ばしました。

舞台は雪のクリスマス。北海道のお屋敷で開催された、富裕層のホームパーティ。

このお屋敷が、ちょっと変わっておりまして。
傾いて建っているんです。ほんのちょいと、傾斜角5~6度。
欠陥住宅という訳ではなく、建てたときからの施工主の意向でした。おかげでお屋敷を訪れた招待客は、はじめは微妙な傾斜角にとまどい、頭がおかしくなるような混乱をきたします。

とはいえ、クリスマスパーティに集まった招待客たちは、いずれも例年参加の常連さんが主なので、主人の悪ふざけにも慣れたものです。
「足をとられて転ぶことももうないだろうから、私も楽しみがなくなった。また別の家を考えなきゃあならん」と、主人の浜本さんも嘆いています。

窓の外には雪。美しいホワイト・クリスマス。
ツリーとシャンパンとご馳走と、おセレブさん達の会話で楽しく過ごすはずのクリスマス……ひとりが死に、様相が変わります。

人が死んでる、しかも明らかに殺人といったら、法治国家の日本では直ちに警察が飛んで参ります。
宗谷岬に佇む斜め屋敷「流氷館」といえども例外ではありません。“閉ざされた山荘ミステリ”ではございませんのよ。

しかし、警察の捜査が始まってまもなく、さらにもう一件の殺人事件が起こってしまいました。
前回と同様、完璧な密室殺人。確実に人の出入りが不可能な状況で、いったい誰がどうやって殺したのか。

ドアは開いてないわけです」
途端に牛越は、下を向いて唇を噛むような仕草をした。それから顔をあげて尾崎を睨み、
「何てこった!君はひどい男だ。これで正真正銘お手あげになったじゃないか!」
と言った。

2件の密室殺人。これを解決できるのは、名探偵御手洗潔の他に非ず!
と、頼まれてもいないのに乗り込んできた御手洗さん(と石岡くん)

名探偵は、登場するなり自信満々で、犯人を名指ししました。
『ゴーレムとかいうやつです!』

ゴーレムとは、人形好きの主人がお屋敷に飾っていた等身大の木彫り人形。
名探偵・御手洗潔曰く、ゴーレムの屈折した怨念がこの悲劇を招いたと。
彼の怒りを治めるには、木目むきだしの裸の人形に、一刻も早く服を着せて肌を覆わなければならない。ジーパンを履かせて、セーターを着せて。頭もむきだしだから、皮のテンガロンハットなど被せちゃえ。
しかしよくよく考えてみれば、ゴーレムに着せた服はいずれも旅行者達の持参品なんですよね。着古してもう使わない服をわざわざ持参してるのって、荷造り的にどんなもんなんでしょ。

さてさて、ゴーレムに服を着せて、それでゴーレムの呪いがとけたのかと言うと。
そうは問屋が卸さない。
新たにまた、死者が出てしまいました。

御手洗さんの鼻っ柱、ポッキリ。

その時だった、奇蹟が起こった!ゴーレムの足の先がぴくりと動いたのだ!!
その木の関節をきしませながら、投げだした両足をそろそろと体の方へ引き寄せていく。顔には相変わらず例の薄笑いを浮かべたままだ。
ゆっくりと立ちあがる。そして、操り人形のようなぎこちない足どりで、幸三郎の方へ一歩を踏み出した。

で、えーと。本当にゴーレムが犯人なのか、とかそういうのはどうでも良いです。
最終的に明かされる密室トリックは、ゴーレムなんて雲散霧消するような、もんのっ凄い仰天トリックです。お洋服を着たゴーレムと、狂人寸前の名探偵の戯言に誤魔化されてちゃいけません。

『私は読者に挑戦する』

そんな作者の挑戦的な発言にも、乗っちゃいけません。
この謎は、御手洗潔以外には決して解けない。こんなん、分かるかーーーーーーっ!!!

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レビュアー: さくら
さくら
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