小野不由美「残穢」

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怨みを伴う死は「穢れ」となり、あらたな怪異の火種となるのか──。畳を擦る音が聞こえる、いるはずのない赤ん坊の泣き声がする、何かが床下を這い廻る気配がする。だからあの家には人が居着かない──何の変哲もないマンションで起きる怪奇現象を調べるうち、浮き上がってきたある「土地」を巡る意外な真実。著者九年ぶりの五〇〇枚書き下ろし、戦慄のドキュメンタリー・ホラー長編。
(「BOOK」データベースより)

この小説、昨年2015秋に「残穢~住んではいけない部屋~」として映画になってましたが、ホラー映画が苦手な私は未見でした。だって怖いじゃん。

それが、つい最近。娘が「ねえねえ知ってる?」と。

「『リング』の貞子と、vs『残穢』のカヤコ」が、今度映画で対決するんだって!」

怨霊貞子と怨霊カヤコが対決・・・?なんだその「ゴジラ対ガメラ」みたいな話は。

zane

過去に「リング」は読んでいたものの、「残穢」は未読であった私。
これは、ちょっと読んでみねばなるまい。あの“井戸からこんにちは”の貞子とタイマン張れる兵はどんなもんであろうか。

で。既にご承知の方もいらっしゃるでしょうが、「残穢」を読み進めるものの、いつまでたってもカヤコなる人物が登場してこない。
いつ出てくるカヤコ?どこで出てくるカヤコ?Who is KAYAKO?

結局のところ最終ページまでカヤコは登場するとこなく、気付いたら「残穢」が終わってしまっていた・・・しまった!ホラー小説なのに怖さを満喫する前に終わっちまった!
カヤコ探しにばかり気をとられていたうぬが不徳。くくくっ。

《補足》その後に確認したところ、カヤコとは「残穢」ではなく「呪怨」の伽椰子である事が判明しました。

私がカヤコ探しに夢中になっていたという要素を差し引いても、「残穢」はいわゆる“怖い話”ではありません。
正確には、貞子のようなオバケが襲い掛かってくるような内容のホラーではありません。
だから「残穢」を読んだ感想は『すっごい怖い!』『なにこれ全然怖くない』の二分されると思います。

『なにこれ全然怖くない』のタイプは、「殺したのは・・・お前だ!」的な、直接的な恐怖とショックを求めるタイプ。
『すっごい怖い!』のタイプは、不安とか、予感、予兆にゾクゾクするタイプ。
もしあなたが後者のタイプであるならば「残穢」は是非のおすすめ。逃げ場のないような不安感と、読後のお尻の落ち着かなさで、存分にゾクゾク出来る事は請合いましょう。

この小説はドキュメンタリー形式になっていまして、主人公の“私”は、作者の小野不由美本人を模した設定にしています。
作家の“私”が、オカルト体験談を読者募集したところから話ははじまるのですが・・・

この小説がホラーだからと、明るい昼間にささっと読んでしまおうと思っている方。
止めたほうが良い。頭がごちゃごちゃになります。
なにせ出てくる登場人物の数が多い多い。問題があるのはマンションだけかと思いきや、その近辺の戸建分譲住宅一帯も。各家の住人が数ヶ月~数年で入れ替わっていくので、それぞれの苗字を追っていくだけでいっぱいいっぱい。
マンションと分譲住宅が出来る前に建っていた数件の家屋にも、何やらの問題が発生していた謂れがあり、時代もあわせて把握しなければならなくなってきます。
で、家屋の建つ前は鋳物工場ですか。それもまた曰く付きですか。で何ですか、工場隣接の長屋にも問題ありですか。その長屋にも当然人はお住まいですね。
え?ああ、最初の方にでてきたマンションの前住人“何か”に怯えて引っ越した後でも“何か”から逃れられず自死しましたか。長屋から出てった嫁も逃れられていませんか。地域も年代もいっしょくたにall祟られ仲間みたいな状態になっちゃって、ついでに遠く京都にいる筈の“私”にまで火の粉が飛んできて・・・す、すいませーん!年表と人物相関図と、一緒に日本地図もくださーい!

『カヤコ』なんて探している場合じゃなかった。
私の愚に陥らないためにも、これから「残穢」を読む方に向けてアドバイス。
伽椰子が出てくるのは呪怨だからねー!
貞子と対決するのは、呪怨のオバケだからねー!「残穢」じゃないからねー!

落ち着かない気分にさせる、ゾワッと系ホラーをお楽しみになりたい方は、余分な憂いを取り払ってからお読みあそばせ。

いや、でも、今回私が「残穢」にいまいち集中できなかったのは、他にも理由がある。

昨夜、我が家にゴキブリが出たんですよ。

我が家にリアルホラーが潜伏している今現在、私にはフィクションのホラーよりも恐ろしいものがある。
祟りどころじゃないんです。目に見える穢れがいるんです。ホラー小説どころじゃないんです。

~この世には、住んではいけない部屋がある~
黒く蠢く、何かが。

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レビュアー: さくら
さくら
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