堂場瞬一「青の懺悔」

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神奈川県警を辞め、私立探偵の看板を掲げた真崎薫のもとを、高校時代の野球部の仲間で、今はスポーツ選手の代理人を務めている長坂が訪ねて来た。その依頼を受け薫は、やはり昔の仲間であり、メジャーから日本に戻ってきたプロ野球選手の結城と会う。憔悴した様子の結城は、息子が誘拐されたと真崎に打ち明けるのだったが…。横浜を舞台に繰り広げられるハードボイルド小説、待望の第2弾。
(「BOOK」データベースより)

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古今東西ハードボイルドの世界では、警察を辞めた刑事が営むのは探偵と相場が決まってる。
「蒼の悔恨」からはじまるシリーズの主人公、真崎薫についても、それは同じ。

それにつけても一体どうして揃いも揃って探偵業なんでしょうねえ?私の知り合いでは警察を退職して大学の事務職員に転進した人も居ますけど。
それか警備会社に行くとか。セコムもアルソックも、雇ってくれそうじゃありませんか?探偵ってそんなにニーズがあるの?

しかも古びた雑居ビルの一室で看板も掲げず、猫探しとかのつまらない依頼は『俺がやる仕事じゃねーぜ』とばかりにはねのける。
商売に対する意識の低さに、経営コンサルを派遣して性根を叩き直してやりたいわ。

まあ、真崎薫の場合には、前作「蒼の悔恨」で恋人の父親から譲り受けた横浜一等地のビル一棟がありまして、家賃収入だけで食べていこうと思えばいける。
しかし真崎さんも慨嘆するとおり、日本の税金には贈与税ってーものもありまして。新米大家さんは納税の資金繰りだけでもカツカツ。それに、公務員を退職して個人事業主になった後は、社会保険からも脱退しちゃいますからね。
サラリーマンの皆さんにご忠告。脱サラした翌年には国民健康保険料の納付書が郵送されて驚愕する事態が起こるので、当初の資金は潤沢に☆

現金収入が殆ど無い状態の真崎さんですが、相変わらずBMWは維持できてるし恋人の奈津とはよく遊んでるし、食事も相変わらずいいもん食ってます。パンはわざわざ横浜の老舗ウチキパンで購入してるし。
あれっすね。やっぱり親が医者だとボン気質は抜けませんね。親との折り合いは良くない筈なのに、まさか仕送りだけGETしてるのか?成人なのに?ボンでんな!

無聊をかこつ真崎探偵の元にやってきた依頼は、高校時代の野球部チームメイト・長坂。
真崎さんと長坂と共に甲子園を目指した、元メジャーリーガーの結城亮平の息子が、何者かに誘拐されたと。

結城のワガママによって警察への通報はせず、真崎さんは独自に誘拐犯との交渉をはじめることに相成ります。
この結城。叩いてホコリがバンバン出てくる嫌な奴なんですよ。

堂場俊一のスポーツ物って、よく天才アスリートが出てきますよね?溢れる才能故に傲慢になり、ゴーイングマイウェイのいけすかない奴。
堂場スポーツでは、その天才アスリートも何らかの挫折体験を経て、トゲを抜かれて丸くなるのが常なんですが、「青の懺悔」の結城は、これまで鼻っ柱をへし折られてきた経験がありません。
そうか、これまで読んできた数多の堂場スポーツの天才アスリート達がそのままスムーズな選手生活を送ると、こう育っちゃうのか。失敗経験って大事だなあ。

被害者家族の結城に感情移入を持てぬままにストーリーは進み、主人公の真崎をはじめ友人の長坂も、なーんとなく事件に熱情を見出せない。
おかげで身代金の一億円(!)まんまと犯人に奪われ、真崎も怪我をしまいました。
カネは払ったというのに息子は帰って来ない。さらに、犯人からのさらなる要求が…。

彼は露骨に、事件から距離を置こうとしている。何故だ?大事な仕事があるのは分かるが、あまりにも腰が引けてはいないだろうか。最初の勢いは何だったのだろう。何が彼を変えたのか。
「それより、犯人からまた連絡が入ったぞ」
「何だと?」狼狽ぶりが声から伝わってくる。「まさか、そんな…」

二回目の犯人の要求から真崎が感じ取った違和感と、解決のために真崎が仕掛けた罠。そして事件のからくりについては、本を読んでお確かめください。

ひとつだけ言えることは、今回の事件で真崎さんが一円たりとも報酬を得られなかったという事実だけ。
やっぱり警察を退職して探偵になるのは、経済的に難があると思うのよ、真崎さん。
あきらめて猫探しに精を出すか、今からでも遅くない、セコムかアルソックに履歴書をお送りなさいませ。

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レビュアー: さくら
さくら
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