坂木司「女子的生活」

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女子的生活を楽しむため、東京に出てきたみきは、アパレルで働きながら、念願のお洒落生活を満喫中。おバカさんもたまにはいるけど、いちいち傷ついてなんていられない。そっちがその気なら、いつだって受けて立ってやる!彼女は、自由。だから、最高の生活を知っている。読めば胸がスッとする、痛快ガールズストーリー!
(「BOOK」データベースより)

ものがたりの始まりは、女子の出勤時コーディネイトから。
アパレル勤務のみきちゃんは、平日のお洒落にも気を許しません。その時々の流行と自分を効果的に見せるアピールポイントを念頭に、ゆるふわモテ系、かつ女子受けも押さえたバランスを見出すのが、オシャンティー女子としての楽しみの一つでもあります。

ファッションメイクコイバナ、友達とのガールズトーク。
小説のタイトル「女子的生活」と、表紙のマンガチックな女の子のイラストと、オンナオンナな小説の出だしに、ああ、これは平成の「東京ガールズブラボー」なのね、予想する事しばし。

しかしながら、その予想は、第一章後半で覆される。

「……小川?」
「はい?」
私は、後藤に向かってにっこりと笑う。ようやくたどりついたな。
「……小川、幹生?」
はい。「みき」こと、小川幹生です。

ゆるふわモテ系のアパレル会社OLみきちゃんは、肉体はオトコ、心はオンナ。で、自らの性質はオンナだけど、好きになるのはオンナのコ。つまりレズビアンのトランスジェンダーっていうことになるのかな。なかなかわかりづらいですね。
でもまあ、みきちゃん自身は、周囲の理解を求めている訳でもなし、ましてや読者の理解を求めている訳でもないので、わかりづらかろーと何だろうと『そういう』人間だ、ってことで、良いのです。

過去記事「1985年の奇跡」では、ホモとオカマは病原菌扱いされていたような昭和の昔が描かれてましたが、二十一世紀のLGBTは、昔に比べりゃまだ生きやすい(ような気がする)
みきちゃんも地方の田舎町から東京にやってきて、思いっきり満喫する“女 子 的 生 活”

やっぱり最初の印象は、ある意味正しかったんだわ。
「女子的生活」は、平成の「東京ガールズブラボー」であります。東京でガールズがブラボー。心がガールズなのでブラボー。
全てオールオッケーな毎日ではなく、日々の闘いは、あるけれど。

宙ぶらりん。ゲイやレズになりきれなくて、でもヘテロでもない、半端者。この先どうやって生きていくのか、これっぽっちもわからない。お手本になる人もいない。それにそもそも、歳をとっても女子っぽくいられるかどうかがわからない。
わからないことしかない。でも、それなら楽しまなきゃ損。
あの女の子たちは、そう教えてくれた。

小説内でみきちゃん自身も語っていることですが『いい時代になったんだろうな』というのは、性的マイノリティな人の働き口について。
みきちゃんはトランスジェンダーを会社に明かした上で、アパレル会社に採用されてます。そういえば能町みね子さんの「オカマだけどOLやってます」とか話題になりましたよね。能町みね子さんは会社にはナイショだったみたいだけども。

私が勤める会社のお取引先でも、トランスジェンダー?ゲイ?の人が最近入社されまして。彼女(彼)曰く、普通の会社(IT系)で自分のようなタイプはそうそう採用してもらえないから、今の会社ですっごく頑張るそうです。頑張ってください。

ちょっと前なら“オカマ”や“オナベ”の人がやる仕事といったら水商売、もしくはギョーカイ。一般企業で一緒に働くなんて予想してた人、おそらく少なかったと思う。

いい時代になった、と、言えるのかな?

「あのさあ、あんたにはわかんないわけ?」
「何がだよ」
「こいつはね、化け物を期待してここに来たんだよ。女になりたくて、女のなりそこないになってるような奴を見て、笑いに来たんだよ」
だって性の問題なんて、最高にジョーカーでしょ。なにをどう頑張っても「でも、あいつオカマなんだぜ」で片付けられるような、スペシャルなトッピング。

二十世紀であろうとも、二十一世紀であろうとも、差別心というのは全く無くなる訳ではないらしく。
みきちゃんも、微妙にチリチリと、サベツの目を感じています。人間がマイノリティを排斥する本能は、否定しようもない。

おおむね生活は普通だけど、ちょっと面倒。
毎日楽しいけど、ちょっと、チリッとくる、ときもある。

そこで小さく縮こまらずに、ドカンと跳ね返すのがみきちゃんの良いところです。
ケンカを売られたら買うし、馬鹿にされれば倍返しするし、くだらないことに一々拘泥していられないと、スルー力も天下一品。

お、男らしいよみきちゃん!
この場合「男らしい」ってのが褒め言葉になるのかどうかは微妙だけど、マジで漢だぜみきちゃん!

多分、みきちゃん本人に「いやぁアンタ、漢だね」と言ったならば。
「アタシもそう思うよ、だってオトコだしね!」って答えてくれそうな、そんなみきちゃん。

闘う女子ってものは、皆さん漢だから。
みきちゃんも、強く正しく美しく、の漢ガール。いや惚れそうだわ。オトコでも、オンナでも。

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レビュアー: さくら
さくら
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