吉田修一「悪人」

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保険外交員の女が殺害された。捜査線上に浮かぶ男。彼と出会ったもう一人の女。加害者と被害者、それぞれの家族たち。群像劇は、逃亡劇から純愛劇へ。なぜ、事件は起きたのか?なぜ、二人は逃げ続けるのか?そして、悪人とはいったい誰なのか。
(「BOOK」データベースより)

平成版「昭和枯れすすき」。
「悪人」の光代と祐一は、“貧しさに負けた、いいえ世間に負けた”と歌うさくらと一郎か。

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この小説の中には、悪人がいっぱい出てきます。
中には『悪人になれるよう頑張らなくっちゃ!』と努力する若者もいます。
悪人になるべく頑張る若者は「悪人」の主人公、祐一。
彼は衝動的に殺人を犯しますが、それがすなわち『悪人』という訳ではありません。

彼がやってる悪といえば、母親から小遣い銭をせびるくらいかな?たいした事やってません。殺人以外は。

「欲しゅうもない金、せびるの、つらかぁ」って言うたんですよね。だけん、「じゃあ、せびらんならいいたい」って、私が笑うたら、あの人、ちょっと考え込んで、「……でもさ、どっちも被害者にはなれんたい」って。

自分を捨てた母親に逢うのに、母親を『悪人』にしない為に自分が『悪人』であろうと努力する。
まぁ~努・力・家。
顔はめっぽうイケメンらしいのに、行動と言動が世間の常識からはなはだしくズレているところが彼の残念ちゃんポイント。

タイトルにふさわしく悪人街道を邁進する方々は、もっと沢山いらっしゃいます。

女を山中に置き去りにした男とかね。それでみっともなく雲隠れした顛末をまるで武勇伝のように自慢しちゃう男とかね。
見栄をはって架空の彼氏を設定することで、女同士のマウンティングに勝利しようとする女とかね。
ライバル心から友達を蹴落とそうとする女とかね。
健康食品の押し売りで老人から預金を搾り出そうとするグループとかね。
殺人の被害者家族へも、加害者家族へも匿名で罵声を浴びせる他人とかね。
男の優しさを信じられない女とかね。

でもこれって、『悪人』なのかな。
もしかしてただの『馬鹿』じゃないのかな。

生き辛いというか不器用というか、世間に負けた祐一は馬鹿です。
不器用な自分を変えようとしても、髪を金色に染めるくらいしか思いつかないような馬鹿。
悪賢い周囲にいいように扱われながら、それに気づかなかった、本当に祐一は馬鹿です。

自己評価が低いというか不器用というか、世間に負けた光代も馬鹿です。
身体目当ての男に逢って「自分は求められている!」と感動しちゃうような馬鹿。
祐一が殺人犯だと知っても、彼と一緒にいたいと考えてしまった、本当に光代は馬鹿です。

現実逃避しとるわけじゃないんです。ちゃんと思い出そうとしても、やっぱり自分じゃない誰か別の女性が、そこで動いとるようにしか思い出せないんです。
自分がどういう女なのか、あの事件の間、ずっと忘れとったような気がします。何にもできん女のくせに、何かできると思い込んで……。それまでもずっと、何もできんかったくせに……。

手に手をとって逃亡した祐一と光代が、灯台の管理小屋で警察に踏み込まれた時。
祐一は光代の首を絞めて殺そうとしていました。
それが、光代を共謀者ではなく被害者にしようと考えた祐一のポーズだったのか、それとも本当に衝動的な殺意があったのかは、わかりません。
光代にもそれはわかりません。

佳乃さんを殺した人ですもんね。私を殺そうとした人ですもんね。
世間で言われてる通りなんですよね?あの人は悪人だったんですよね?その悪人を、私が勝手に好きになってしもうただけなんです。ねぇ?そうなんですよね?

祐一は、もっと頑張って悪人にならなくっちゃ。
光代も、祐一を頑張って悪人だと思わなくっちゃ

悪くはないけど、馬鹿、だよねえ。

だからこそ今!さくらと一郎が再結成して、平成枯れすすきをリリースする時であります!
おかみさ~ん、時間ですよ~!

この俺を捨てろ♪なぜ、こんなに好きよ♪
死ぬときは一緒と、あの日決めたじゃないのよ♪

せぇけ~ん~の風のつぅ~めたさに、こぉ~みぃ~あげ~る涙~♪
苦しみに耐える~、ふぅたぁ~りぃはっ! 枯れすすきぃ~♪

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レビュアー: さくら
さくら
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